ここで言う「DX経営」とは、一言でいうと、「経験と勘に依存した経営」から「データに基づく経営」のことです。
DX化を単にDXツールの導入と捉えるのではなく、経営全体をDX化しようという意味が含まれます。
ただし、経営全体と言っても、ゼロの状態からありとあらゆるものすべてを一気にするべきではなく、また、それが一気に出来る訳もありません。
自社の課題の整理や現状分析が必要で、それを基に戦略を構築して具体的な計画を練って、優先順位を付けて順を追って進めなければいけません。
DXを分かりやすく分類すると、どんな業界でもまずは「集客・営業DX」「業務・現場DX」「管理DX」と3つに大別することが出来ます。
①「集客・営業DX」・・・「集客⇒営業⇒受注」に至るまでのDX
②「業務・現場DX」・・・「受注⇒〇〇⇒納品」に至るまでのDX
③「管理DX」・・・「売上仕入在庫管理・業務管理・人事総務管理・会計管理」等の管理に関するDX
※注)②の〇〇は業界によって異なり、建設住宅不動産業界ならば「設計・施工」、医療業界ならば「診察・治療」、製造業ならば「設計・生産」といったワードが入る
上記3つ以外で言うと、業界・業種によって(重要性によって)、例えば、以下のような分類を追加しておくと良いでしょう。
④「企画・開発DX」⑤「ロジスティックDX」⑥「海外グローバルDX」⑦その他
例えば、アパレルや広告関連の企画・開発専門会社ならば④、物流会社ならば⑤、貿易商社ならば⑥が主要業務でしょうから、これらのワードは外せません。
DX経営で大事なことは、これらの分類を意識して、まず、どの分類・分野が自社にとって主要な課題なのか、ボトルネックなのかを整理することです。
実は、それは自社の過去の成長要因だったものが今やボトルネックになっているケースがあります。
例えば、人的な営業力(営業マンの属人的スキル)に強みを持っていて、それで成長してきた企業ほど、実は「集客・営業DX」化が最優先になります。
コロナ禍でリアルな接点が思うようにならなかったり、時代的にそもそも優秀な営業マンが育ちにくくなっているからです。
あるいは、受注後の業務に特殊な資格が必要で、これまではその資格者に業務を依存していた企業の場合、いくら受注が好調でも、資格者不足の影響で業務遅延して売上が上がらない、そんなケースがあります。
このような企業の場合、「業務・現場DX」が最優先になります。
このようにDX経営では、まずは、自社のどの分野を優先してどうDXを進めていくのか?という経営判断が非常に大切です。
これこそが経営者の仕事です。そして、その優先順位というのは、前述したように自社の内部要因(強み・弱み)で決まります。
経営者は経営視点でまずは自社の内部要因分析をしてみてください。
“DX経営” 経営者の仕事
2022年01月27日