製造業においてビックリするようなDX化事例を紹介します。それは、社員数わずか10名で10台のロボットが稼働しているS社です。
通常、世間一般の常識では、製造業で社員数10名というのは完全な中小零細な町工場と思われています。そして、製造現場では50~60歳代の高齢の職人達が熟練の技を駆使して長年の経験と勘でモノ作りをしているイメージがあるでしょう。そこには、練りに練り上げられた匠の技により、まさに「アナログ感」満載のイメージがあり、DX化とかデジタル化とは程遠い世界と思われる方が大半です。
しかし、S社はそのイメージとは全くかけ離れています。S社で働いているのは20~30代の若手が多く、全員がロボットの操作が出来ます。「デジタルネイティブ世代」と言って、当たり前のようにデジタルに接して活用している世代です。ロボットデータの解析からロボットプログラミング、ロボット制御、ロボットオペレーション、さらには、ロボットメンテナンスまで、10名全員がロボット操作をします。そのようなロボット人材が同じ製造現場に10名もいるというのは、実は大手企業の現場でもほとんどありません。「日本一ロボット人材が集積している場」と言っても過言ではないでしょう。
ロボットに何をさせているかというと、高度で高精度&高品質な加工です。通常、ロボット活用と言うと、誰でも出来るような簡単な作業をただひたすら何時間も繰り返し動かすというイメージがあるかもしれません。しかし、そう思われるのは全くの勉強不足の方です。S社では、職人でも出来ないような加工方法をデータ解析してデジタルプログラムで作り、それをロボットに覚え込ませて動かしていきます。アナログな職人技術ではなく、高度でデジタルな制御技術なのです。その結果、S社のロボットにしかできない技術があり、それが差別化となって競合他社に勝っています。ロボットだから安く作れるのではなく、ロボットだから高品質のものを高利益で作れるのです。熟練技術こそDX化です。
職人のアナログ技術だと、匠の技を習得するのに10~20年は掛かるかもしれません。しかし、デジタルネイティブ世代にとってのデジタルプログラミングは1~2年で習得してしまいます。そして、それを好む若手は喜んで働くでしょう。ロボット活用により人材の活性化が出来るのと、若手人材の採用もしやすくなります。ロボット活用で、省人化ではなく「増人化」も目指せます。
DX化は人材の活性化に繋がるものこそが本物です。
社員数10名で10台のロボットが活躍する会社
2021年11月29日