今さら言うまでなく、「デジタルトランスフォーメーション=DX」を一言で言うと「デジタルでの改革」ですが、「アナログトランスフォーメーション」とは、「アナログでの改革」と考えてください(このワードは一般用語ではなく私の造語です)。
強調してお伝えしたいのは、「DX」成功の最大ポイントは「アナログトランスフォーメーション」だということです。現状をそのままにしておいてデジタルツールだけを導入しても、大きな成果は得にくいものです。デジタルツール云々を言う前に、まずは現状の業態・ビジネスモデルや営業プロセス、業務プロセス、管理手法や進め方を改革・改善させることが先決だということです。
言い方・書き方を変えると以下です。
「DX」=「デジタルトランスフォーメーション」
=「アナログトランスフォーメーション」+「デジタルツール」
上記の「アナログトランスフォーメーション」が肝です。
例えば、ある飲食チェーン店で、AIによるアルバイトシフトシミュレーションを開発しました。このチェーン店では、1店舗当たりのアルバイト人数が数十名くらい在籍していて、当然ながらアルバイトにより年齢・経験やスキルが違います。また、シフトとして入れる曜日・時間帯が違います。例えば、Aさんは21歳で2年在籍していて厨房業務全般が出来て週5日入れる、Bさんはまだ入りたてでホール経験しかなく週2~3日シフトに入れる等々・・・。通常、店長クラスがこのような多種多様なアルバイトのシフト作成をしますが、結構、この作業は属人的アナログ的で、店長任せになることが多いものです。この能力の差で店舗運営能力が変わると言っても過言ではないかもしれません。
AIによるアルバイトシフトシミュレーションとは、そのような多種多様なデータをデータベース化してAIで最適なシフトを自動で作らせて、かつ、シフト該当アルバイトにシフト日を自動メール送信するというものです。
ここで大事なことは、AIシステム云々の前に、アルバイトの年齢・経験・スキル・シフト条件等々を数値化・データ化する作業です。それまでの各店長の属人的な感覚を揃え合わせて標準フォーマット化して整理しなければいけません。それをしなければAIは動きません。それと、店長自身の業務の棚卸が必須です。「自動化により店長業務が楽になります」ではなく、「自動化によって手が空いた時間で、これまで出来なかったもっと付加価値の高い別な業務をどうしていくのか?」という視点が必要になります。
つまり、「アナログのトランスフォーメーション」が必要です。
この「アナログトランスフォーメーション」こそがDXの効果を最大限引き上げるポイントです。
そのDXちょっと待った!アナログトランスフォーメーションでアナログ改革
2021年09月22日