DX化で大きく成功するには、実は、その前に「アナログ化」が必須になります。ここで言う「アナログ化」とは、「標準化・マニュアル化・見える化」のことです。例えば、DX化の1つにRPA(Robotic Process Automation:自動化)活用があります。本コラムを読んで頂いている方々の中には、社内ですでにRPAに取り組まれていて、効果を出して、かつ、当たり前のように活用されている方々も多いかと思います。各業界・各企業・各業務でRPAがかなり推進されてきているのは紛れもない事実です。そのRPAに取り組むには、まずは該当業務の「標準化・マニュアル化・見える化」が必須です。
例えば、それまで人力で行っていた受発注・在庫管理業務をRPA化したい場合を考えます。人力で行っていた時の流れが「顧客からの受注⇒受注情報の手入力⇒各種在庫確認・在庫の付け合わせ⇒発注情報の手入力⇒発注」で、その流れを自動発注にしたい場合、まずは、これまでの受発注・在庫管理業務を標準化・マニュアル化することが必要です。それが、担当者によって進め方・やり方が違う、担当者によってレベルが違う、担当者によって判断が異なる、そのような状態ではRPA化は不可能です。まずは、誰がやっても同じ流れにできるマニュアルが必要なのです。そして、そのマニュアルに基づいて業務を行うことが必要です。言い方を変えると、ルーティン化です。アナログ的にルーティン化した後にRPA化が可能になります。
で、その時のポイントはアナログ的なルーティンの方法です。実は、その時にこれまでの業務を変える必要が出てきます。変える必要が出てきた時に、現場スタッフから反対意見が出ることがあります。しかも、その反対の急先鋒は該当業務に詳しいベテラン社員になるケースが多いです。「その方法はこれまでとは違うので、●●が悪くなって、逆に効率や精度が落ちます」とか言い出します。
これです!
これがDX化が進まない最大要因です。デジタルスキル云々というレベルではなく、アナログ的に(もっと平たく言うと、“気分的に”)嫌なだけなのです。何らかのDX化をするということは、これまでのやり方のどこかを100%変える必要が出てきます。これまでのやり方・慣習を何も変えずにDX化はあり得ません。
「DX化の前にアナログ化」・・・、これ、大事です。
DX化の前にアナログ化
2021年07月28日