印刷会社A社は、営業所が全国に数拠点あり、営業マンは約20名います。取扱製品は製品パッケージ、カタログ・パンフレット、ポスター、書籍、屋内装飾、WEB制作等々、多岐に渡って種類が多く、顧客の多様なニーズに対応する営業力が強みでした。その昔、営業の進捗管理はグーグルのスプレットシートを使って情報共有していました。しかし、実際は、それだけではなく、営業マン個々人がエクセル等で個人管理している情報もあり、中には、独自で作ったメモ帳等で手書きしていた営業マンもいました。なので、むしろその手書きのメモ帳の方が営業の実態をストレートに表しているとも言える状態でした。
それでは前近代的だと思ったA社の社長は、DX化を進めて、クラウド型のSFA(営業進捗管理システム)とCRM(顧客管理システム)、そして、同様にクラウド型の名刺管理システムを導入しました。これにより、前述のメモ帳等を廃止して、すべての営業進捗情報や顧客情報をこれらのシステムに登録することで、営業情報の一元化が出来ました。
このような例は非常に多い事例で、多くの企業で導入されているものです。時々、「DX化をしたいが、どんなDXを進めて良いのか分かりません…」という相談を頂きます。その時の最もシンプルな答は「今、現実にアナログで困っていることがDX化に向けたヒントになります」です。「最先端のDXって何か?」とか、「最新のDX化をしたい!」とか、「レベルの高いDX化を目指したい!」とか、そのようなトレンドを追い掛けるような動機は良くないということです。
企業経営において、「今、現実的にアナログで困っていることは何か?営業なのか?商品開発なのか?現場業務なのか?総務・事務・経理なのか?人事管理なのか?」、まずは分類して整理してみてください。まず、営業だとするならば、「営業のどんなことがアナログで困っているのか?具体的には何なのか?」をリストアップしてみてください。営業以外でも課題はあるでしょうから、相当な数をリストアップできると思います。いわゆる、「アナログの困り事見える化」です。自社の中でそれもしないで(見えていない状態で)、何かないのか?と調べても上手く行かない可能性が高いです。「灯台下暗し」と言うか、「灯台見えていない」という状態です。
皆さま、「アナログの困り事見える化」、出来ていますか?
アナログで困っていることがDX化のヒント
2021年04月14日