ある資材商社N社でのDX化の取組事例(受発注業務)をお伝えします。
N社では、事務員が販売先から電話で受注を受けて、それを受注システムに入力して、在庫を確認し不足在庫は仕入先へ発注して、その後に発注システムに入力するというのが基本的な受発注の流れです。そのような受発注業務に関わる事務員が10名程度おり、小さな通販会社のような感じで、電話オペレーター的な業務をしていました。販売先や仕入先はそれぞれ数百社と数多く、取扱点数も数千品目と非常に多種多様で、発注ロットは1個から数千個と幅広いのが特徴です。すべてネット取引に移行できればベストですが、業界自体が古く、取引先や仕入先もなかなかネット環境に馴染めない…そんな課題がありました。
そこで、導入に取り組んでいるのが音声AIです。事務員の声を音声録音して、それをAI解析して文字にして、それを受発注システムに自動入力していきます。これまでは事務員が販売先から聞いた発注内容を手作業で入力していたのですが、音声録音してAIが文字変換をして、それを自動で入力させることにより、事務員は入力作業が必要なくなりました。事務員は販売先と電話で会話するだけで良いのです。今はまだトライアルの段階で、事務員10名全員すべての分を完璧に実現できた訳ではないですが、今後の方向性が明るく見えてきたのは確かです。
この事例でのポイントは、「事務員の電話での会話の標準化・フォーマット化」です。当たり前ですが、販売先は勝手に発注を言ってきます。例えば、会社名や製品名を省略したり、発注数も「〇〇個」と「個」を付けたり付かなかったり、「いつもの・・・」と言ったり。これまでは、それをベテラン事務員が上手く翻訳して、受発注システムに入力していました。それでは、AIは上手く働きません。
「分かりました。復唱致します。〇〇様、製品は〇〇、〇〇個、納期〇〇ですね」と決めた順番通りに標準化・フォーマット化することが必要になります。逆に、それさえ出来れば、その声が文字になり、固有名詞や数字の部分だけをシステムに入力することが可能になります。
このように、DX化成功のポイントは「業務の標準化・フォーマット化・データ化」です。DXツールが凄いというより、そのDXツールがしっかりと動くように人間の業務を分類して整理して、標準化・フォーマット化・データ化することが決め手です。
DX成功のカギは人間なのです!
実は、古い業界ほど、伸びしろ(効果)は大きいです!
DXで本当にそんなことが出来るのか!?
2021年03月31日