経営者としての役割は多岐にわたりますが、10年後の自社のために経営者として取り組んでいることはありますか?
経営者としての悩み
先日、ある経営者とお話していて以下のようなご相談がありました。
・業績も安定しており、経営者(代表取締役/オーナー)としての目標がなくなってしまっている
・今の事業は従業員を中心に運営できており、経営者だからこそ行うべき役割を探している
・一定の報酬も受け取っており特段不満もない
・会社の価値を上げても報われるのは自分(オーナー)だけであり、一緒に頑張っている幹部も報われる形にしたい
・売上や利益の目標はもっており経営者として目指しているものの達成感が満たされない
・10年後も今の従業員が活躍できる環境を作りたい
・いずれ後継者にバトンタッチできるような体制づくりを今のうちにしておきたい
経営者としての決断
このようなご相談があり、その経営者は以下のようなご決断をされました。
「5年後の上場を目指す」
その経営者の考えとしては以下のようにおっしゃっていました。
・10年後の自社のことを考えて行動することを代表取締役(オーナー)の役割としたい
・上場を目指すといういままでなかった会社としての目標を掲げて全社で取り組む
・陣頭指揮を代表取締役(オーナー)として実施することが自分の新たな役割としたい
・上場準備の過程で権限移譲や管理体制の整備を行うことで、自分自身に依存している体制を変えていきたい
・今頑張っている他の経営陣や幹部メンバーが報われるようにしたいので、ストックオプションなどを付与したい
・事業承継の視点で、自分がオーナーとして残りつつも、代表取締役をバトンタッチして経営の承継ができる状態にする
ということでした。
但し、今すぐ上場を目指すといっても、今まで全く意識してこなかった状態ですので、
上場という視点では、社内管理体制が整っていないだけでなく人員も不足している状態です。
また、上場することで外部株主が入ることによるオーナーとしての影響力の変化も気にしておられました。
そこで、オーナーとして残りつつ(現在の株式比率を維持しつつ)上場でき、「より自由度の高い上場基準・開示制度での上場の仕組み」である、東京証券取引所が運営する「TOKYO PRO Market」への上場を目指すことを意思決定されました。
「TOKYO PRO Market」とは
「TOKYO PRO Market」は
・株主数や利益の額など上場時に求められる数値基準がない
・新規上場時の監査証明が1年で足りる(他の市場は2年必要)
・四半期開示や内部統制報告制度の適用が任意
など自由度の高い上場基準・開示制度となっています。
また、「TOKYO PRO Market」への上場を目指すにあたっては東京証券取引所から認証を受けた「J-Adviser」が上場適格性の有無の判断を行うというのが特徴的です。
直近、新規上場した(予定)の会社の直前期の規模は以下になります
・環境ミカタ株式会社:2021年9月期売上18.7億円
・ブリッジコンサルティンググループ株式会社:2021年9月期売上9.7億円
・株式会社manaby:2021年3月期売上5.2億円
J-Adviserとしての船井総研
2022年4月11日に船井総研は株式会社東京証券取引所より、「TOKYO PRO Market」の「J-Adviser」として承認され、今後、「J-Adviser」として「TOKYO PRO Market」への上場をサポートすることが可能になりました。
今まで、新規上場(IPO)に興味のなかった方も、一度「TOKYO PRO Market」という市場がどのような市場かだけでも確認されておくのはいかがでしょう。
出口 恭平