従業員80名程度の製造業N社でのDX化事例を紹介します。N社では、工場やビルや病院等で使用する大型設備(長さ2~10m、奥行2~5m、高さ2~3m程度)を顧客注文に応じてオーダーメイドで製造しています。同じ製品を大量に作るような大量生産型ではありません。住宅に例えるならば、注文住宅のようなものです。それを売る為の営業部門には10名弱の営業マンがいますが、顧客ニーズに対応したオーダーメイド型なのでどうしても営業マンの個人スキルに依存してしまい、営業の属人化が課題でした。
その営業の流れはこうです。問い合わせを頂いた顧客に対して、まずは営業マンが訪問してニーズをヒアリングして、それを整理して社内に持ち帰り設計部門に相談します。設計部門の方でそのニーズを把握したら、20名程度いる設計スタッフがCADで簡易的に図面化して概算見積をします。その後、その図面と概算見積を営業マンが持って顧客に提案します。つまり、「顧客⇒営業マン⇒設計スタッフ⇒営業マン⇒顧客」と言う流れになります。その結果、最初の顧客ヒアリングから提案&見積まで、平均して1週間、遅ければ2週間くらい掛かっていました。当然ながら、キャリアのあるベテランとキャリアの少ない若手では、その対応スピードや受注率において非常に大きな個人差がありました。
そこで、営業提案のDX化に取り組んで、結果として以下のように営業改革をすることができました。まず、共通フォーマット化した顧客ニーズカルテを作り、それを最初の顧客訪問のヒアリング時にタブレットでニーズを入力します。全項目を入力した後、インプットボタンを押したら、そのニーズに従った内容でCADにより簡易図面が自動作成されます。さらに、過去のデータに基いて簡易見積が出ます。簡易図面と簡易見積が出るまで30分間程度。つまり、それまで顧客ニーズヒアリングから1~2週間程度掛かっていた提案&見積が顧客の目の前で約30分間で出来るようになった訳です。これはまさに革命的な営業改善です。提案&見積が早まることで、受注率が良くなることはあっても悪くなることはありません。
さらに、営業改善以上に効果があったのは設計スタッフの負担が劇的に減ったということです。それまでは営業マンの話を聞いて設計スタッフが簡易図面と簡易見積を作成していていました。そこで失注でもしたら、それこそ設計スタッフの工数がそのままマイナスになります。それを営業マンが出来るようになったので、設計スタッフのその工数が丸々なくなり、設計の業務改善に繋がりました。約20%程度の効率化になった計算です。
以上の事例は、営業が属人化・アナログ化していた企業の事例です。このようにアナログ化している企業ほど、実はDX化効果が確実に高くなります。アナログな部分こそDX化のチャンスです!そして、そのアナログ部分が大きい企業ほど効果は出ます。
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アナログ化している企業ほどDXが成功する!
2022年04月11日