【インタビュアー】株式会社 船井総合研究所 船井 あゆみ(以下:船井)
【インタビュイー】株式会社 リチカ デジタル広告部 部長 砂川様(以下:砂川)
船井
本記事のテーマは「動画広告」です。
動画広告はハードルが高いのか、実際に効果の出る動画広告の作り方などをご紹介します。
株式会社リチカのご紹介
砂川
会社は2014年の設立です。
元々WebCMの制作会社で、1本数百万円で撮影まで請け負っていました。
しかし動画に対するハードルの高さや、属人化の問題がありました。
誰でも簡単にマーケティング動画や静止画が運用できるように「リチカクラウドスタジオ」を提供しています。
世の中にはAdobeなど様々な動画生成ツールがあります。
当社は特にマーケティングに特化している点が主な違いです。
当社のマーケティングではYahoo!やFacebookなどのプラットフォーマーと認定パートナー提携をしています。
プラットフォーマーと連携して見えた成果を言語化しツール上で提供しています。
大手事業会社を中心に2,000社以上の支援実績があります。
支援成果もデータに落とし込めることが当社の強みです。(図1)
図1 株式会社リチカの実績
船井
2,000社以上を支援することで、実際に動画を活用した効果検証を基に、効果がある動画をデータとして積み上げているわけですね。
砂川
はい。広告代理店も含めて様々な企業を支援しております。
動画広告市場の伸び
船井
デジタル広告の中で、動画広告は伸びていますか。
砂川
動画広告市場規模推計・予測<広告商品別>によると、2020年~2022年で倍近く伸びています(図2)。
今後3年間でさらに倍になる予測です。
予測の理由は、動画メディアの発達があります。
TikTokが2018年に始まり、YouTube shortsが2021年に始まりました。
データを見ると、もはや動画を使うことが当たり前になっています。
図2 動画広告市場の伸び
市場の環境変化
砂川
大きな市場の環境変化の要因が主に2つあります。
①顧客や顧客視点の増加
②プライバシー保護の流れ
動画広告に限った話ではなく、広告業界全体の領域です。
コロナ禍で自宅にいる時間が増えたため、動画コンテンツを見る人が増えました。
広告自体の動向としてはCookieレスの動きがさらに加速し、プライバシー保護の動きがさらに注目されています。
このような動きに合わせてクリエイティブすることが重要です。
動画と静止画を併用
船井
これからは動画媒体に注力すべきということでしょうか。
砂川
少し違います。
動画媒体活用の動きは今後さらに加速していくと思います。
しかし、動画媒体にだけ注力するではなく、成果を出すための観点として動画と静止画両方への注力が重要です。(図3)
静止画を全て動画に置き換えるわけではなく、併せて活用します。
2020年頃までは動画を活用しているだけで最先端のような市場状況でした。
今はそれが当たり前になっています。
図3 静止画と動画
動画広告で成果を出すためのポイント
砂川
ポイントは各社の創造力で差がつきます。
調査会社ニールセンのデータによると、デジタル広告の購買貢献率は各社のオリジナルデジタル広告が47%で1位です。(図4)
先述の通りCookieレスの動きが加速するため、ターゲッティング広告の割合は徐々に小さくなっています。
そのため、クリエイティブ広告以外では差が付きづらくなっています。
図4 購買貢献率
船井
どのようなクリエイティブ広告が良いのでしょうか。
砂川
よくあるパターンはCMを数百万円かけてつくったから、Web広告にも流用するケースです。しかしそれだけでは成果が出ません。
船井
個人的にはCMはこだわって作っているイメージがあります。
そのCMを流用するのは良くないのですね。
砂川
はい。そのまま流用することを避けたいです。
媒体ごとに作り替えて活用すべきです。
クリエイティブ広告を以下の2つの視点で分けて考えるべきです。
・誰に何を伝えるか「コンテンツ」
・どのようなデザインで配信面の最適化をするか「デリバリー」
CMの場合、コンテンツはこだわっています。
しかし、、他媒体に広告を出す場合に、デリバリーが疎かになります。
そのため、デリバリーにも気をつけることが重要です(図5)。
図5 クリエイティブ広告
媒体ごとの広告の見せ方
船井
TVでの見せ方とFacebookでの見せ方では大きな違いがありますね。
砂川
はい。ただ、配信面の最適化が行えていない企業の割合が92%です(図6)。
図6 配信面の最適化率
船井
気づいてない企業様の方が多いということですか。
砂川
はい。
Facebookが動画広告を推進するために動画広告のフォーマットを出しています。
しかし、フォーマットを守らず配信している企業が多いわけです。
船井
自社で頑張って作ったコンテンツなので、そのまま使いたいのは重々わかります。
それでも、見本に従うべきなのですね。
砂川
まずはそこから始めてほしいです。
具体例で説明します。(図7)
左の広告は手の込んだ撮影をしているため、一見良さそうです。
しかし、広告を見たときに瞬時に
キャンプ場なのか、テントなのか、焚き火台なのか
判断が付きづらいです。
船井
何を売りたいのか分からないですね。
砂川
動画広告は音声があるので音声を聞けば判断がつきます。
しかし動画広告はほとんどサウンドオフで見られるため、細部が伝わりにくいです。
配信媒体に合わせて、テキストで補足が必要です。
横長の動画はサイズが小さくなるため、正方形や4:5の縦長の動画広告が良いです。
図7 配信面への最適化
動画づくりへのハードル
船井
動画を撮る、作ること自体のハードルが高い企業もいます。
そのようなハードルはどのように解消できますか。
砂川
動画を作ること自体のハードルはTikTokなどからわかるように下がっています。
動画を作るだけならCanvaやCapCutなどのアプリを使えば、簡単に作れます。
ただ、当たる動画広告を作る場合は、ただ作ればいい訳ではありません。
その点ナレッジを持っている企業はまだ少ないため、ハードルが高いです。
当たる動画広告を作るためのポイント
砂川
たくさんありますが、最低限に絞ると、配信面の確認です。
出稿先でどのように動画が観られるか確認してください。
船井
・配信媒体に合った動画広告を流す
・伝えたいことが分かりにくい動画広告を流す
では、見え方や見せ方が異なります。
そのためYouTubeやFacebookなどの配信媒体ごとに確認すべきですね。
砂川
普段TikTokを見ない企業が、TikTokが流行だからといって、考えずに動画を出すケースが多発しています。
まず、配信する媒体を確認して、どのようなタイミングで広告が表示されるかを確認します。
可能なら競合他社のクリエイティブ広告を検索します。
これをすると、どのような方向性で広告を作ればいいのかが見えてきます。
船井
これから始める場合、まずユーザーになり、どのような広告を作るべきなのかを知ることが大事なわけですね。
外部の力を借りて迅速に成果を出す
船井
迅速な成果を求めている会社様の場合は外部の力を頼るのも有効ですよね。
砂川
はい。
動画広告のナレッジを当社は蓄積しています。
船井
リチカ様や、パートナー企業、船井総研へ相談いただければご期待に沿えると思います。
動画広告を当たり前に
船井
今回お伝えした動画広告を取り入れている企業は今はまだ少ないです。
しかし今後伸びていく市場です。
また、若い世代の方々は当たり前のように使っています。
これからの企業は当たり前のように取り入れていくべきものです。
次回の記事では動画広告の成功事例もご紹介します。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。