整骨治療院の時流
それでは早速、講座に入っていきます。私も日々コンサルティングをさせていただいている中で、大きく三つ、この業界に重要なキーワードとして挙げさせていただきますと、一つ目は、療養費削減の加速化というのがかなり大きいのではないかなと思っております。そして二つ目は、利益率の低下が非常に進んでしまっているということです。そして三つ目は、そういった中でM&Aというものが増加しています。これは良い悪いではなくて、恐らく大手さんについてはより店舗出店をしていきたいという背景があり、本日はその背景をお伝えしたいと思います。
一方で、こういった療養費の削減の加速化ですとか、利益率の低下によって経営がなかなかうまくいかずに、廃業するまでに他社さんに経営権を譲るという理由でM&Aを実施するということもあります。ぜひ、自社が目指す姿について、こういった時流の中から一つのヒントを得ていただきたいと思っております。
療養費削減の加速化 施術所数と柔道整復療養費の推移
早速一つ目の、療養費削減の加速化というところですけども、今こちらに載せているデータは整骨院の件数、そしてそちらで使える柔道整復療養費というものがどういった推移を辿っているかという図になります。今、比較しているのは20年度と28年度と30年度ということで、30年度はこれから出てくる最新データになっております。簡単にお伝えすると、施術所数が104.3%という増加傾向になっておりまして、いまだに整骨院というものは増えているということになっております。そして、一店舗あたりの療養費、こちらは削減されていますので64.7%と伸びていないということになっています。つまり療養費を使う側が増えていて、使えるものが減っているということで、外部的な要因で一店舗あたりの年収が下がってしまっているということですので、これは何も変化、そしてイノベーションを起こせなければ勝手に売り上げが落ちていくというのは仕方ない部分かなと思っております。
療養費削減の加速化 三部位以上の請求比率
が下がっているということです。この三部位ということですが、怪我した場所が三カ所で請求をするということですけども、今は、一度の請求について二部位、こちらは大体1.5から二部位ぐらいが平均になっているということで、過去には療養費については色々な問題があった中で、緩かったという時代があるわけですけれども、そこから正しい使い方をしていこうという流れになりました。療養費を正しく使う中で、この三部位以上というのは見直しをされたということです。結局部位数の請求において、もちろん多ければ多いほど請求額は多いわけなので、見直しがされて適正化されてきているということは、非常に良い傾向だと思っております。
療養費削減の加速化 施術所数とはり及びきゅう療養費の推移
そしてこちらは一方で、鍼灸院の先ほどの療養費と店舗の比較になりますけれども、こちらは整骨院と同様に施術所数は134.3%で増えております。そして、一店舗あたりの療養費というのは、整骨院や柔道整復療養費と比べてそこまでは減少していないということになりますけれども、こちらも96.3%ということで削減をされているということです。こちらも整骨院と同様の傾向で、使う側が増えていて、使えるものが減っているということになっています。
療養費削減の加速化
ということで、弊社にも日々多くの整骨院の皆様からの問い合わせをいただくのですけれども、なかなかこの健康保険の依存体質から抜け出せないという会社様が非常に多いです。感覚的なお話をさせていただきますと、先ほど5万ちょっと店舗数があるとお伝えしましたが、まだ6割7割は健康保険に依存してしまっていて、整骨院の経営が苦しいというようなことが多いのではないかなと思っております。
結果的にこういった外部環境要因で、先ほど言ったように整骨院はまだまだ増えている、そして三部位の請求以上のものがなかなかできなくなってきているということで、売り上げが減少する治療院さんが増えています。対策としては、やはり健康保険に依存するのではなくて、実費治療ですとか、交通事故治療、こういったことに舵を切って、一店舗あたりの売り上げの比率というものを徐々に変えていかないといけないかなと思っております。そして外部環境の対策、こちらも同様に、自費治療の導入、そして自費治療の割合を増やしていく、そして地域で交通事故に遭われて困っている方はたくさんいらっしゃいますので、こういった方への認知、そして集客というのはやっていかないといけません。そしてそのためには、それに取り組む技術の導入ですとか、知識を得るとか、ノウハウを知るなんてこともありますけども、日々整骨院で働かれている先生の皆様にはそういったことを習得する時間の確保をしていただきたいです。そして整骨院の皆様は、なかなか数字を取っていないことが多いです。経営数値というものですが、今日の売り上げはいくらなのか、患者数がどれぐらい来ているのかとか、お聞きしてもなかなかぱっと出てくる会社さんというのはかなり少ないですので、こういった時間の確保や経営数値の管理というのはかなり必須になってくるかなと思っています。
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