◆開催日時:2020年11月1日(日)
◆講師:船井総合研究所 小松 靖教
◆演題:「第 1 講座:コロナ市況で重要視すべき財務のポイントとは」
これまでのコロナ関連動向
このコロナ禍における財務戦略を考えるうえで、まずは、これまでのコロナ関連の動向を改めて確認していきたいと思います。
2月に日本にもコロナの影響が出てきたということで2020年2月14日に経産省より、資金繰り支援第一弾が発表されました。
以降2020年4月8日には、緊急事態宣言が発令されたのを受けて、さまざまな資金繰りをサポートする制度が拡充されました。
コロナ関連の資金調達方法
大きくコロナ関連の資金調達の方法というものをまとめております。
上段のほうが、いわゆる融資関連のものでございまして、政策金融公庫や商工中金に代表されるような政府系の金融機関から多くのコロナ関連融資が出ています。
併せて、各都道府県に設置されている保証協会を通じた民間金融機関の資金面でのご支援というものもあるのかなと思っております。
下段のほうには、給付金関連です。
補助金や給付金あるいは、助成金こういったものが、コロナ関連でも出ているのかなと思っております。
Withコロナの現状
今どんな状況にあるかについてですけれども、コロナ関連の融資を主とした資金調達方法が充実としたことと、充実してから一定期間経過しましたので、恐らく多くの企業様が当面の資金繰りの不安はなくなっていらっしゃるのではないのかなと思います。
恐らくこれが現状でございます。一方でこんなお悩みを持たれているのではないかと思っています。
借入れはできたけれどもこの資金をどう運用するのか、あるいは当面の資金繰りは問題なくなったけれども、あくまで借入なので業績が上がったわけではないということです。
将来据え置き期間が終わって、コロナ関連融資の返済も始まりますので、将来の返済に漠然と不安を持っているということです。
あるいは、毎月現預金を取り崩している状態の企業様であれば、言わずもがな期間損益が赤字ですので、来年以降も資金調達しないといけない場合に金融機関から引き続き借入できるかが不安というお悩みです。
皆様ごとに状況は違うと思いますがこのようなお悩みがあります。何かといいますと、根本的な課題解決には至っていないということ、企業の悩みはたちまちの資金繰りの不安はなくなっているということです。
つまり短期の悩みは解決されているけれども、中長期の悩みはまだ残っているという状態なのかなと思います。
ビフォーコロナから現状後まで、会社のお金の流れはどう変わってきたかを改めて整理させていただければなと思います。
従来、コロナ前でいきますと、例えば、現預金が120あったとしますと、借入の返済が40あって、それに対して、返せるお金が30あるということで、返さなきゃいけないお金と返せるお金のバランスというのが、若干返さなきゃいけないお金が多いくらいだったのかなと思います。
このような状況が多くの企業様だと思いますが、コロナが発生してどうなったかといいますと、当たり前ですが、返さなくてはいけないお金は変わりません。
一方で、返せるお金が急激に下がった。もちろん本業が傷んだということですので返せるお金がなくなった。あるいは、ここの10と書かせていただいておりますが、ここがマイナスの状況の企業様が多かったと思います。
手元現預金が40引く10であれば、30マイナスということで、取り崩しが始まった。取り崩しのスピードが、非常に早く例えば、この場合で言うと3カ月間で手元現預金がなくなることに不安を覚えたのではないかなと思います。
これが、短期的なご不安だったのかなと思っております。
コロナの借入をしたあとでいえば、もちろんご返済額は変わっていませんので、業績回復もすぐには見通せないのでこのあたりは変わりない。一方で現預金が非常に多く積み上がっているので当面の資金繰りの不安はなくなったのかなと思います。
恐らく、こういった状況である企業様が、大半だと思います。ここから何をしていかないといけないのかが、これからの部分でございます。
大きく三つございます。
言わずもがなになりますが、手元の現預金が薄いということであればまず、手元の現預金の積み上げもしていかないといけません。
ただ、ここは恐らく皆様、終えられているという企業様が多いと思います。残りやっていくこととしましては、借入金の見直しです。
返済額を軽減することともう一つ、言わずもがなキャッシュフローを増やすことです。
この三つをやっていかなければならないということかと思います。
このうち、恐らく皆様におかれましては、右側の二つ、返済額を軽減することとキャッシュフローを増やしていくこと、この二つに注力していきます。手順としては、進めていく順番も非常に大事になってくると思っております。
弊社としましては、まず、返済額を軽減するということから進めていく必要性があると思っております。
返済額を軽減するお話をしたときに稀にこうおっしゃる方がいます。
「借入は返さないといけないお金だから、返済額を軽減させることに抵抗がある」とおっしゃる企業さんがいらっしゃいます。
ただこういう企業様にこういったご質問させていただくとそのあたりをしっかりできていないということが多いです。
どんなものかといいますと・・・
※ セミナーの講演録と当日使用したテキストをダウンロードいただけます。