昨年はコロナ禍で足元の業績立て直しが急務でしたが、今年は前年よりも改善してきているというお話を経営者の方から伺うことも増えています。そして、私からは「ただ単に前年より実績が上がって終わる2021年にならないように」とお伝えしております。前年よりも実績が見込めている時こそ、さらに持続的に業績向上を実現するために、新規事業を検討するなど中長期の経営課題を考え実行することが重要なのです。
本日は、経営課題の中でも新規事業を考えていただく際に盲点になりやすい点についてお伝えしたいと思います。それは「成長している事業構造を自社の業界に導入する」ことです。特にその際に意識したいのは自社の業界よりもライフサイクルの早い業界です。ライフサイクルの早い業界というのは、要はお客様の購買頻度が高い業界です。お客様の購買経験が豊富になりますので、お店も進化していかなければお客様に飽きられてしまうからです。
例えばライフサイクルの早い業界としては飲食業界になります。そして、コロナ禍でも成長しているのは「ゴーストレストラン」です。外食店が落ち込み、テイクアウト、デリバリー等の内食へシフトしています。調理するスペースと、設備だけで「Uber Eats」「出前館」に手配して収益を上げる事業構造です。低投資で収益性が高いことから、既存の外食店からの参入や、ゴーストレストラン専門のお店も急成長しています。
これはリアルの店舗がありながら、ゴースト店舗(オンライン専門店で成り立つ業態)をつくるというヒントを与えてくれます。私は自動車業界のお手伝いが多いのですが、個人向けレンタカー店が法人向け長期レンタカーの専用サイトを立ち上げて落ち込んだ需要の補填を行うということも実際にでてきています。新規事業を考える中で「成長している事業構造を自社の業界に導入する」という視点が抜けていないか見直しをされてみてはいかがでしょうか。
成長している事業構造を自社の業界に導入する
2021年05月10日