最近の若者を指す表現のひとつに「さとり世代」という言葉があります。無駄使いをしない、欲が無いなどと指摘されますが、実はこのような若者の気質とは、世相を反映したものだとも言われます。つまりこの「さとり世代」がもつ「合理的」ともいえる気質が今のマーケティングを考える上で重要であるとも言えます。「合理的」とは目的に合って無駄がない、習わしにとらわれない、ということです。
「東京に、家を持とう。」のキャッチフレーズで東京の住宅業界に旋風を巻き起こした「オープンハウス」という会社があります。都内で好立地なら狭小地でもどんどん戸建てを建てることで業績を上げ続けている会社です。
「戸建て」というとかつての「庭付き一戸建て」という言葉に象徴される郊外の家をイメージします。そのため東京の家として最初に思いつくのはタワマンに代表されるマンションです。しかし都内に家を持とうと考える人の思考を「合理的」つまり、目的に合って無駄が無く、習わしにとらわれない…と定義づけると、まず重視する点は立地です。そして立地を中心に考えるなら、戸建てでも庭付きである必要はありません。しかも、同等の立地でのマンション購入と比較すると管理費や駐車場代も不要で、広さも3階建てであれば100㎡前後とマンションの平均を上回るコスパとなります。
近年オープンハウスではマンションも手掛けながら全国展開をスタートさせています。つまり「低価格な戸建て」だけを売っているのではなく、好立地を求める人に「好立地×コスパ」という価値を売ることに成功していると言えます。価値観が多様化する時代には、ターゲット顧客には「モノ」以上にいかに「価値」を提供するかが大切です。この「価値」への共感がさとり世代に反映される「合理的」な今の顧客へのマーケティングで大切な事ではないでしょうか。
合理的な「さとり世代」から見る、現代のマーケティング戦略
2021年04月22日