前回は「社員のデジタル変革」がDXの近道である、という提言をさせていただきましたが、今回は「社長のデジタル変革」を取り上げたいと思います。DXを経営やビジネスモデルのデジタル変革と位置付けると、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」をいかにデジタル化するか、中小企業であれば圧倒的に影響力が大きい「人財」のデジタル変革が大本命であると考えられます。
3年前に深圳に視察に訪れた際、ご一緒いただいた参加者の中で、まさに「デジタル経営者」と表現できるワークスタイルを目の当たりにしました。
それは
①そもそも視察クリニックが世界のデジタル最先端企業ばかり
②ネット接続の難易度が高い中国でも、常時PCを開き、業務対応をこなしている。業務対応だけでなく、視察のレポートを記録しながら、Facebookでアウトプット
③視察中もデジタル関連の面白い製品を試してみたり、積極的に触ってみたり、見たことのない技術に好奇心旺盛
④②と③を通じて、参加者の中でもデジタルに長けた経営者同士が仲良くなり、加速度
的に学びや気づきが深まる。帰国後もその関係性が続く
といった光景でした。常日頃から、デジタルサービスをよく使い込むスーパーカスタマーでもあり、顧客もデジタル系の企業、ネットワークや担当コンサルタントもデジタルに強い、と取り巻く経営環境がデジタル漬けだということでした。
3年前は成熟産業において、ここまでデジタル特化する意味合いは薄く、上手に便利でコスパの良いツールを取り入れれば良かったのですが、現在地点ではいかがでしょうか。上記のワークスタイル、ライフスタイルが当たり前になった方が、ストレスなく経営を執行できるのではないでしょうか。紙媒体よりもデジタル媒体との接点が増え、対面よりもスマホやPCに向き合う時間が多くなり、コスパだけでなく成長性や顧客満足度ですらデジタルの方がベターなのかもしれない、そんな環境に変わりつつあるのではないでしょうか。
ご自身の周囲の環境を「デジタル漬け」にしてみると、ユニークなアプリやそれに伴う面白いサービス、デジタルだと突然力を発揮し始める社員が発見できたり、イノベーションのきっかけと出会えるかもしれません。