「求人広告を出しても、1件も応募が来ない月がある」
「やっと面接に来ても、自社には合わない人ばかり」
「紹介会社に頼っても費用倒れ。ようやく採れた人が3ヶ月で辞める」
――これは、今や特別な悩みではなく、全国の企業で日常的に起きている現実です。
かつて採用は、営業活動の延長線上にありました。広告を出し、面接を行い、採用して終わり。
しかし現在は、採用そのものがまるで“迷宮”のようになり、企業の足元を揺るがす経営課題となっています。
採用が難しくなったのは「やり方」が悪いからではない
ツールや手法を変えても採れない。
営業を変えても採れない。
採用担当者を変えても採れない。
――それは、“採用の前提条件”が変わったからです。
いま私たちが直面しているのは、次の5つの「地殻変動」です。
- 求人広告の限界:出せば集まる時代は終わった。設計のない広告は無力です。
- ターゲット採用の時代へ:誰でもいい、では誰も来ない。求める人を明確に。
- チャネルの分散化:情報発信の形が多様化。求人票だけでは刺さらない。
- 主導権の逆転:企業が選ぶ時代から、求職者に選ばれる時代へ。
- 経営課題への昇格:採用がボトルネックになる時代。現場任せでは通用しない。
この変化に適応できなければ、どれだけ努力しても「採れない側」に残されてしまいます。
採用成果は「トレンド×クオリティ×チャネル」で決まる
採用には公式があります。
それが「トレンド × クオリティ × チャネル」という構造です。
- トレンド:時流を読んだ職種設計、条件設計になっているか
- クオリティ:求職者が共感し、納得できる情報設計になっているか
- チャネル:ターゲットに届く媒体・手段を選んでいるか
この3つのうち、ひとつでも“ゼロ”であれば、成果もゼロになります。
つまり、いくら求人票に力を入れても、チャネルがズレていれば応募は来ない。
逆に、媒体を広げても、内容が薄ければ辞退・離脱が増える。
採用は「詰まり」に気づいた瞬間から始まる
面接辞退、早期退職、応募ゼロ――
それらの“詰まり”は、失敗ではありません。勝ち筋を見つける起点です。
採用を「時流に適応させ」「構造として最適化する」こと。
この2つを本気で整えた企業だけが、「採れる企業」に変わっていきます。
そして、普通の手法では絶対に採れない職種がある
我々が注目しているのが「採用難易度SSランク職種」です。
これらは、普通の方法ではどうやっても採れません。
- 必須資格保持者が極めて少ない
- 専門性が高く、供給がほぼゼロ
- 業務が過酷、もしくは人気がない
- 離職率が高く、定着しづらい
こうした職種の採用に挑む企業は、「個別最適」まで踏み込んだ設計が必要です。
つまり、トレンド適応・構造最適に加え、職種別の戦略が不可欠なのです。
まとめ:採用の“地図”を手にした企業だけが、前に進める
採用の前提は、完全に変わりました。
もう偶然の応募に頼る時代ではありません。
「採れる会社」とは、トレンドに合わせ、構造を最適化し、個別職種に最適化された設計を持つ企業。
逆に、それを持たない企業は、いくら予算や手間をかけても“採れない側”に取り残されます。
採用の迷宮に、いまこそ“羅針盤”を。
この混沌の時代を勝ち抜くには、設計された戦略と仕組みが必要です。
執筆者: 人的資本経営支援本部 副本部長 山根 康平 やまね こうへい |