建設業界の新潮流:建て貸し事業と福祉施設への特化戦略

建設業界では、新規の土地取得が難しくなる中、既存の土地を有効活用する「建て貸し事業」への注目が高まっています。特に、地主が信頼する地域の不動産会社と連携し、潜在的な土地ニーズを掘り起こす動きが活発です。
一方で、高齢化社会の進展に伴い、福祉施設の需要は増加の一途を辿っており、建設会社にとって新たな受注機会となっています。しかし、一般的なアパートやマンション建設は競合が激しく、差別化が難しいのが現状です。このような状況下では、特定のニーズに特化した商品開発や営業戦略が、建設会社の成長に不可欠と言えるでしょう。
成功事例:建設会社A社の建て貸し土地獲得戦略
船井総研の資料「不動産未経験のパートでも半年で7件の建て貸し案件を獲得 不動産会社営業による建て貸し土地案件獲得事例」では、東北地方の建設会社A社が、地域の不動産会社との連携を強化することで、効率的に建て貸し土地案件を獲得した事例が紹介されています。
背景と課題
A社はこれまでアパートやマンション建設を主力としていましたが、新規地主からの建て貸し案件の安定的な獲得に課題を感じていました。同時に、福祉施設の運営事業者から施設開設の依頼を受けていたものの、用地不足に悩んでいました。
新たな取り組み:不動産会社との連携
そこでA社は、地域の不動産会社への営業活動を通じて建て貸し案件を創出するという新たな戦略を採用しました。
具体的な営業活動
A社は、以下のステップで具体的な営業活動を展開しました。
1. 広範囲なアプローチ: 県内の約1,000社の不動産会社に対し、建て貸し地主を紹介してもらうための営業活動を開始。
2. 集中的なテレアポ: 不動産未経験のパート女性2名が、週2日、1日3時間の体制で約6か月間、テレアポを実施。
○ 営業エリア:県庁所在地市を含む5市
○ テレアポ回数:1社あたり3~5回
○ テレアポリスト:913件
○ リストのランク分け(A:紹介、B:アポ取得、C:見込み有、D:追客不要)を実施し、効率的なアプローチを実現。
3. 個別面談の実施: テレアポの結果、34社から新規の個別面談を獲得。
4. 案件紹介の獲得: 約6か月の活動で、5社の不動産会社から合計7件の建て貸し案件の紹介を獲得。
獲得した土地案件の特徴
● 敷地面積:311坪~1,000坪と幅広い
● 提案された土地活用商品:すべて介護施設
これらの案件は、テレアポをきっかけに直接コンタクトを取った不動産会社や、Cランクの企業からの紹介を受けた近隣の不動産会社からの紹介によるものでした。
営業活動の流れと活用ツール
A社の不動産会社向け営業活動は、DM発送、テレアポ、個別面談という流れで行われました。
● DM発送
直接的な反響よりも、テレアポや訪問営業時のフックツールとして活用。2か月に1回内容を変更し、カラー郵送やFAXなど形式にも工夫。
● テレアポ
船井総研作成の営業トークスクリプトを活用。端的かつ福祉施設の土地活用を魅力的に伝え、「代表や担当にいかに繋ぐか」に重点。
● 個別面談
不動産会社向けに作成された福祉施設土地活用商品提案資料と運営事業者の出店情報資料を活用し、福祉施設土地活用のメリットを明確に訴求。
成功のポイント
A社が建て貸し案件の創出に成功した要因として、以下の3点が挙げられます。
● 間接営業の選択
競合が多い地主直接営業ではなく、地主からの信頼が厚い不動産会社に営業をかけることで、効率的な案件獲得に繋げた。
● 福祉施設への特化
一般的なアパートやマンションではなく、福祉施設という特定の用途に絞って提案することで、差別化を図った。
● 短期集中と工数確保
パートの女性2名という体制で集中的に営業活動を行うことで、行動量が案件紹介数に比例するという成果を得た。
この事例は、間接営業と福祉施設に特化した土地活用商品を組み合わせることで、建設会社の民間建築受注拡大を実現できる可能性を示唆しています。
福祉施設土地活用の魅力
資料では、福祉施設の商品概要についても触れられています。
● 立地: 二等立地でも活用が可能
● 賃料: 長期一括借り上げにより、長期間満額保証の家賃が見込める
● 対象施設: 住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅
● 規模の目安:
○ 床数:19床~30床
○ 土地面積:180坪~300坪程度
○ 建築金額:1億5千万円~3億円程度
● 構造: 木造、鉄骨造、RC造など多様な選択肢
福祉施設の建築受注スキーム
福祉施設の建築受注は、一般的に一括借り上げスキームで行われます。
1. 土地オーナーが建設会社に建築を依頼。
2. 完成した施設を運営事業者が一括で借り上げる。
3. 建設会社は土地オーナーと運営事業者のマッチングをコーディネートし、設計・施工を担当。
このスキームでは、土地オーナーの投資に加え、運営を担う借り上げ運営会社の存在が不可欠となります。
福祉施設建築ビジネスの手法
福祉施設建築ビジネスにおける具体的な手法として、集客・営業・商品に関する情報が提供されています。
● 集客:
○ 運営事業者に対するDM販促
○ 専門WEBサイトの作成とリスティング広告の活用(地域に特化した専門サイトは少ないため有効)
● 運営事業者の集め方:
○ 土地提案によるアプローチ
○ 施設の開設・事業計画書作成のサポート
○ 事業者や関連業者のリスト作成とDM・WEB集客による能動的な営業
● 商品設計: 福祉建築に特化した設計が重要であり、実績を積み重ねることが信頼獲得に繋がる
船井総研は、このような建設会社の領域における様々なサポートを提供しています。
船井総研への経営相談のご提案
A社の事例は、不動産未経験のパートの方々でも、明確な戦略と実行力によって、短期間で建て貸し案件を多数獲得できることを示唆しています。
特に、競合の少ない福祉施設に特化し、地域の不動産会社との強固な連携を築くことは、建設会社にとって新たな成長の機会となる可能性があります。
もし、貴社が現在の事業展開に課題を感じていたり、新たな収益の柱を模索されていたりするのであれば、このA社の事例は非常に参考になるはずです。
しかし、成功要因を自社に取り入れ、実際に成果を出すためには、より具体的な戦略策定や実行支援が必要となる場合もございます。
船井総研は、これまで数多くの建設会社様の経営課題解決をご支援してまいりました。
市場の変化に対応した新たなビジネスモデルの構築や、営業戦略の策定、実行支援まで、幅広いサポートを提供しております。貴社の現状を詳細に分析し、建設会社 民間建築受注拡大に向けた最適なソリューションをご提案させていただきます。
ぜひ一度、船井総研にご相談ください。貴社の持続的な成長と発展のために、私たちが持つ知見とノウハウを最大限に活かし、共に未来を切り拓いていくことをお約束いたします。
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