- TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)とは?最近上場数が増えている第五の株式市場
- TOKYO PRO Market(東京プロマーケット) 関連コラム
第五の株式市場と呼ばれるTOKYO PRO Marketとは
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)というのは、
東京証券取引所が運営する市場で、「第五の株式市場」と呼ばれています。
TOKYO PRO Marketは、東京証券取引所の市場で、買付けができる投資家を「プロ投資家」に限定することで、自由度の高い上場基準・開示制度を実現した市場です。 東京証券取引所から認証を受けたJ-Adviserが、上場のプロフェッショナルとして、東京証券取引所に代わって上場希望会社の上場審査を実施するほか、上場後は担当する上場企業の情報開示やファイナンスの手続きなどをサポートします。新規上場時の監査証明が1年間で足りるうえ、四半期開示や内部統制報告制度の適用は任意です。
TPM | 他の市場 | |
開示言語 | 英語又は日本語 | 日本語 |
形式基準 | 数値基準がない | 株主数、時価総額基準等に 関する数値基準あり |
申請から上場承認 までの期間 | 10営業日 (上場申請前にJ-Adviserによる 意向表明手続きあり) | 2~3ヶ月 |
上場前の監査期間 | 最近1年間 | 最近2年間 |
実質的な審査の主体 | J-Adviser | 主幹事証券+証券取引所 |
内部統制報告書 | 任意 | 必須 |
四半期開示 | 任意 | 必須 |
主な投資家 | 特定投資家(プロ投資家) | 制限なし |
まだまだ上場企業数は決して多いとは言えないのですが、
ここ最近、非常に注目度が高くなっています。
2020年度末で41社が上場していますが、実はそのうち10社が2020年に新規上場しています。
結構長くある市場ですが、しばらくの間、そこまで新規の上場がありませんでした。
しかしここ数年で上場企業数が増えてきて、かなり注目されています。
なぜ注目されているかというところをお伝えしますと、
まず一つがこのTOKYO PRO Marketを扱うJ-Adviserという会社が増えてきたという点です。
マザーズやジャスダックの場合は、
主幹事証券ということで証券会社さんがサポートしてくれるのですが、
TOKYO PRO Marketを目指す場合は、J-Adviserという東証から認定されている会社が
サポートすることになります。
当然一部証券会社さんが既にJ-Adviserではありますが、証券会社さん以外のアドバイザーもおられます。
このJ-Adviserさんが全国の企業さん、金融機関含めて一般の企業さん向けに
TOKYO PRO Marketの啓蒙活動も行っており、
地方でもTOKYO PRO Marketのことを知っている会社さんが増えているように思います。
今、TOKYO PRO Marketが注目される理由
プロの投資家のみが購入できる市場であり、審査の基準が柔軟で、
準備コストも抑えられるのですが、資金調達が困難です。
一般の株式市場から資金を調達するのが難しい市場になっておりますので、
マザーズ、ジャスダックに上場した時とは違い
資金調達という一番大きな醍醐味を得ることが難しい市場ですが、
なぜ注目されているかというとこで行きますと、一つが「事業承継」があると思っております。
本社が地方にあって後継者がいない、ご子息を後継者にできないケースで、
従業員に経営は任せようとなった場合、
では株式どうしましょう?という話に直面するかと思います。
従業員上がりの後継者に株式を持ってもらおうとなった場合、
その従業員は銀行からの個人保証を入れてその株式を買い取ってくれるかというと、
なかなか勇気がいることでハードルが高いというのは実情かと思います。
ですので結果的にM&Aで会社を売却するというようなケースも
多いんじゃないかなと思います。
とはいえご自身で創業されて、やはりM&Aで会社を売却するのは少し嫌だな、
従業員のためにもM&Aは避けたい、という方もいらっしゃると思いますので、
そういった経営者さんがTOKYO PRO Marketへの新規上場を目指されるというのも
TOKYO PRO Marketが注目されている大きな要因の一つかと思います。
TOKYO PRO Marketに上場することによって
なぜ事業承継に意味があるのかというところで言うと、
一つが「所有と経営の分離」です。
TOKYO PRO Marketに株式上場してパブリックな会社になりますと、
プロ投資家のみという制限があったとしても、
株式を市場で自由に売買できるようになります。
所有株式というところが今までと違った形になります。
その上で、例えば今まではオーナーと社長が同じ方だったり、
創業者がオーナー兼代表取締役をなさっていた企業でも、
これから代表取締役は従業員から上がってきた信頼できる人に任せようという風な
形にすることができると思います。
当然未上場の場合でもそのようなことは可能といえば可能なんですが、
やはり未上場の会社で「100%オーナーが株式を持っている会社の雇われ社長」ということと、
「上場している会社の代表取締役社長」であるのとでは、
当然社長になる人の受け止め方というのは違いますので、
そういった点で考えても、上場は事業承継において意味があります。
また後継者候補がなかなかいないというケースでも、
いずれ上場会社の社長になれる可能性があると
優秀な社員が集まってくる可能性が高まるというのは実際にあるようです。
上場した会社さんとお話しする際に「上場して良かった点」を必ず聞いてるのですが、
その時に必ずといって出てくるのは「採用」です。
優秀な社員を採用しやすくなった、親ブロックがなくなった、
母集団自体も多くなった、そして学歴が上がった等という形で、
上場した結果、採用面でのメリットがあったことを挙げられる経営者さんが非常に多いです。
反面デメリットとしては、安定志向の応募者がくるようになったという声も
聞かれることではあるんですけれども、
当然メリットの方が大きいかなと思いますので、
事業承継でお悩みの会社さんはTOKYO PRO Marketに上場し、
次世代に会社を渡していくというのも一つの選択肢としていただくのも
良いんじゃないかなという風に思います。
また事業承継についてお考えではなくても、
採用面で採用を強化したいという方にとっては上場は意味があることだと思いますし、
資金調達という面でもメリットはあります。
いわゆる公募での調達というのは難しいという風に書いてはいるんですけども、
金融機関さんとの取引という面では優位になる部分があると思っております。
本文章を読まれている皆さんの中には、個人保証をつけられて
金融機関から融資を受けられている会社さんもいらっしゃると思うんですけれども、
基本的に上場する場合は、個人保証を外してくださいということになります。
これはのTOKYO PRO Marketも例外ではないので、
個人保証を外して次世代に会社を残したいという場合は、
TOKYO PRO Marketに上場して、
金融機関さんの資金調達という面でも整理しておくというのも
一つ大事なポイントかと思います。
そういった背景から、ここ数年、
TOKYO PRO Marketが注目を浴びて上場企業数も増えているのです。
今後TOKYO PRO Marketの上場もハードルが高くなる?
さらに、マザーズ、ジャスダックが、グロース、スタンダードと変わることによって、
若干ハードルが上がると捉えていただいて差し支えないと思いますが、
そうすることによって、今後まずファーストステップとして
TOKYO PRO Marketを目指そうという会社さんも増える傾向にあると思っております。
そうなると、今後もしかしたらTOKYO PRO Marketへの上場も
少しハードル高くなるのではないかという風に想定しています。
その理由として、先ほどお伝えしたJ-Adviserというサポートがあります。
このJ-Adviserという東証から認定されている会社のサポートが上場に必要なのですが、
J-Adviserにも当然キャパシティというものが一定程度あります。
今までは基本的に相談するとサポートを受けてくれる、という流れですが、
今後TOKYO PRO Marketへの上場を目指す会社さんが増えてくると、
そのキャパシティがオーバーしてしまい
「ちょっと今は受けられません」と言われる可能性も当然出てきます。
もし少しでも興味がある、目指そうと思われる会社さんがいらっしゃいましたら、
まず早めに動いてアプローチしてみるというのがまず大事です。
そういった点に気をつけて見ていただければと思います。