◆開催日時:2020年11月27日(金)
◆講師:船井総合研究所 山根 康平
◆演題:「コロナショックを大チャンスに変えるオンライン採用のススメ」
新型コロナウイルスの影響
まず、このコロナウイルスとはどういうものなのかというところですが、過去の感染症と比較をしてみました。
ここ数年で流行したマーズとサーズの比較をしてみました。
コロナショックの特徴としては、一番の特徴はこれです。
エリアが限定されておらず、全世界で同時にはやっている、これがコロナショックの最大の特徴でこれが一番厄介なところです。
全世界で同時に流行しているので、感染者数が他の感染症と比べると桁違いに多いです。これがコロナウイルス収束のめどが立たない一番の要因です。
実際に、日本でも、一時は落ち着いたとされているコロナウイルスですが、7月にまた再流行になったように過去の疫病と比べても強い感染力を持っています。
今後は、インフルエンザのように再度流行する可能性も高くて、しばらくは自粛ムードやリモートワークが続くのではと思っています。
私もいろいろな会社のコンサルティングをしている中で、経営者の方から質問されますが、「およそどれくらいで収束するのですか」みたいなことを皆さん言われます。
そこで回答しているのは、こういうときはやはり最悪のシナリオを描いておくのが、経営者としては重要かと思われるので、およそ3年は、こういった状況が続くのではないかと考えています。
したがって、皆さんもご認識いただきたいのは、自粛ムードがあと3年は続くことを前提で、今回の採用の話も、経営戦略も考えていただくのがよろしいと思っています。
次に、経済的な側面では、どのような影響がありそうかということですが、一般論ですが、リーマンショックとコロナショックを比較すると分かりやすいと思います。
どのような比較をするかというと、経営の3大リソースであるヒト・モノ・カネに、経済危機はどのような影響をそれぞれ与えたのか少し解説をしていきます。
まずリーマンショックです。リーマンショック自体を一言でいうと、金融システムの危機です。
コロナウイルスとは違って、お金がダメージを受けて、そのあとにヒトとモノに波及したのです。
リーマンの場合は、お金がまわるようにさえなれば解決できた経済危機なのです。
しかし、コロナショックは、全く違い、そもそもリーマンと比較をすること自体がなかなか難しいという見方もありますが、コロナの場合は、まずヒトとモノが同時にダメージを受けて、そのあとに金に波及をしました。
金融システムの危機ではなくて、グローバル経済、実態経済そのものの危機で、ヒト・モノ・カネが同時多発的にダメージを受けているので、リーマンと違うのは、お金がまわるようになったとしても解決しないというのがコロナショックの特徴です。
これも経営者の方によくお話しをしていますが、「一番の問題は、底が見えないことですよ」と伝えています。
どういうことかというと、リーマンは起きた最初の日が最悪の底でした。
そして、そこから徐々に回復をしていきました。コロナの場合は違います。
これから感染者が増えるかもしれない、第二波や第三波が続くかもしれない、今が最悪の状況かどうかも分からない、もっと悪くなるかもしれない、これがコロナショックの恐ろしいところだと思っています。
今日のテーマは、採用です。採用市場へはどのような影響を与えるのか、採用を見直す、縮小をする企業が増えていることは当然なのですが、採用活動のやり方自体が抜本的に変わっています。
当たり前のようにZoomでリモートの面接をしたり、オンラインでインターンシップをしたり、会社説明会をしたり、入社したあとの新入社員研修もオンラインで行ったりと、やり方自体が抜本的に変わりつつあります。
こんなことはおそらくリーマンのときには起きていなかったです。
これは何が違うかというと、リーマンは金融システムの危機であって、コロナショックは実体経済の危機です。
これは余談ですが、リーマンショックともう一つ違うのは、ローカルの企業への影響が大きいです。
今日、ご参加いただいている地方の企業さんも感じられていると思いますが、私も地方出身者でよく分かります。
リーマンのときは、地方の人たちの消費行動がほとんど変わらず、地方の中小企業の倒産は、それほどは聞かなかったです。
どちらかというと、大手企業の倒産やリストラというのがよくニュースにあがっていたと思います。
ただ今回は、ヒト・モノ・カネが同時多発的にダメージを受けているので、言い方は悪いですが、地方の体力のない、資金力のない会社さんから先に倒産をしてしまっているという現状です。
採用に関しても、地方の企業から採用を縮小しているケースが多いです。メディアではいわれていませんが、われわれはコンサルティングを通じてよく分かります。
新型コロナウイルスが採用に与える影響
次に、採用市場では、有効求人の数がすごく減ってきています。
よく有効求人倍率などニュースとかでいわれていると思います。
6月までのデータで見ると、緊急事態宣言のあった4月で一気に有効求人の数が減り、解除された6月以降はゆるやかに伸びてきています。
そして、また7月に再度コロナが流行して、求人数が再び減ってきているような状況です。
これは何が言いたいかというと、各企業が、採用の要件のハードルを高めているということがいえるのではないかと思っています。
採用基準が上がっています、そしてかつ、採用自体にストップをかけている状況といっていいのではないのかと思っています。
3月までは、日本の採用市場は、過去の求人件数を記録したら、求人倍率が常に上がり続けていました。
しかし、今は全く状況が変化し、比較的買い手市場になっていて、採用しやすい、人材を選びやすい状況になっているのではないのかと思っています。
実際に、売り手市場から、買い手市場に変わることでどのような変化があるのかみていきたいと思います。
まず、学生や転職者の視点でみると、今まで転職市場に出てこなかった優秀な人材が、業界によっては不安から転職を考えるようになってきます。
これまで安定していた業界で働いていた優秀な人材が市場に出てくるようになります。
リモートワークが今はやっていますが、ようは働き方が多様化します。
また、求職者も増えてきます。副業で働くニーズも増えています。
あと、コンビニやホテルで、おそらく見ない日はないと思いますが、コンビニに行くと外国人の店員さんがほとんどだと思っています。
外国人の方の失業が増えているというのが今の状況です。
転職者や学生や仕事を探している側は、非常に不安を抱えていて、厳しく不利な状況だと思っています。
一方で、採用企業側は今どういう状況かというと、採用縮小しています。
業種によっては、休業や雇止めが起きています。
そのため、この機会に、人ではなくて、システムや新しいツールを導入して、省人化や業務効率化について検討する機会が非常に増えている会社が多いのではないかと思っています。
最近はタクシーに乗っていると、業務効率化のシステムのテレビCMが多く、弊社はコンサルティング会社ですので、いろいろな企業から、「オンラインで営業する方法を教えてほしい」といったことや「リモート商談の上手なやり方を教えてほしい」などの問い合わせも増えており、業務効率化や省人化の検討を強制的にやらざるを得ないとわれわれも実感しています。
あとは、採用活動を、これまで通り継続していたとしても、繰り返しにはなりますが、採用の基準を上げている企業が多いと思います。
この状況で、厳しい採用コストやリソースを割くわけで、やはり優秀な人材を取りたいということです。
あと、これまではなかなか応募者が来なかった、転職希望者が来なかった企業にも、競合さんが雇い止めや、採用縮小していて人が集まりやすくなっており、選べる立場になっています。
よって、採用の基準はどんどん上げている企業が多いというのが、全体的に日本の採用市場をみていえることだと思っています。
具体的にどのような影響が出ているのかということをまとめたのが、スライドの三つです。
まず、1番目です。説明会や面接がオンライン化して、リアルで行なっていた採用業務がほとんど全てオンラインに置き変わっていると思います。
これによって、移動の必要がなくなりました。
そのため、遠方の人材やリモート前提であれば働きたいといった人材と接点がもてるようになったというポジティブな見方もできるかと思っています。
例えば、地方の方が、東京の仕事ができたり、あとは東京の会社が、これまでは近隣の大学からしか採用していなかった会社が、大手など支店のないエリアの人材もリモートで採用できたり、そういうことができるようになってきたのかと思っています。
逆に言うと、いろいろな見方ができますが、自社が採用できるエリアの範囲を広げることもできますが、競合も採用の範囲を広げてくるので、そういった意味では、オンライン上での人材の獲得の競争が激化する可能性はあるかなと思っています。
2番です。転職市場自体が活性化しています。分かりやすく言えば、販売や外食などのコロナの影響で不況のあおりを受けている業界を中心に、転職希望者が増えています。
百貨店や外食なども営業時間が短縮していたりするので、やはり手元に入るお給料自体は当然減ってきています。
最近のニュースでも、オリエンタルランドが賞与を7割カットしたようなことはいわれており、接触営業や接客を前提としたサービス産業に従事されている方々は、不況のあおりを受けています。
今後も、この流れが続くのは目に見えているので、キャリアチェンジを検討する人が業界をまたいで増えてきていると思っています。
逆に言うと、今まで不人気とされていた業種が、人気業種になれる可能性もあります。
私も、介護業界の企業さんの採用のお手伝いとかをするケースがありますが、言い方は悪いですが、介護の業界というのは、人気のある業界とはなかなかいえなかったと思います。
ただここにきて他業種からのチャレンジや転職を前提とした応募者というのが増えるようになってきて・・・