2013.05.15
サクセスサマリー
上級会員は2011年に開始、会員数が2年で5倍。
会員からの紹介、チラシ流入新規客の施行後の評判で施行件数もUP
■ 船井総合研究所との関わり
【ビフォア】
大手企業の商圏内参入が相次ぎ、業績の低下を懸念。自社の強みを模索
【アクション】
顧客との関係を強固にするために、会員制度に上級会員を設定。一方、新規集客のためのチラシでは単価を開示
【アフター】
上級会員は2011年に開始、会員数が2年で5倍。会員からの紹介、チラシ流入新規客の施行後の評判で施行件数もUP
死の前に「エンディングノート」を書く時代。それは、事前に準備や意思表示をしないと上手に死を迎えられないことを意味しているのだろう。埼玉に、生前勉 強会「友引塾」、葬祭アドバイザー、遺影撮影会といったユニークな取り組みで会員を集客し、施行件数を増やしている葬儀屋がある。斬新な言葉の裏にある、 地域住民との信頼の築き方に迫った。
信者客が2年で5倍。ユニークな会員制度と単価開示で施行件数急増の葬儀屋
医学部を卒業して、葬儀の道に入りました。
私は3代目ですが、小学生のころから店頭に顔を出し、中学生になると祭壇を造る、力仕事を手伝うようになりました。案件ごとにプロデュースし、作り上げるということにやりがいを感じていたので、葬儀の道に入ることは自然なことでした。
医療を学んでいただけに、この選択は驚かれますが、医療と葬儀は死を挟み対岸にありました。医療は患者さんが死ぬと役目が終わりますが、葬儀は死んでからが始まりです。困っている遺族を助けることに意義を感じたので葬儀屋になることを選びました。
社会人1年目で失敗。地縁トラウマ
90年代後半、卒業時には、すでにバブルがはじけていました。実家である埼玉の上福岡はバブル期に建てられた式場が乱立し、経営環境としてはよくありませんでした。そこに知人から「物件を貸すよ。有力者からの仕事もあるよ」と声をかけられ、軽く引き受けて栃木で葬儀屋を始めることにしました。
しかし、フタを開けたら「新参者が何しに来た」とまったく相手にされず、有力者も仕事をくれませんでした。大手なら新しい土地でも切り崩していけるのでしょうが、まったく太刀打ちできず、惨めな思いをしました。地縁の重さを目の当たりにし、トラウマになるほどでした。しかし、その経験があって良かったと思っています。それが今のスタンスに影響を与えています。
1年ほどで見切りをつけて埼玉の実家に戻りました。上福岡は葬儀屋激戦区で互助会、地元の葬儀屋のほか、新規参入のJA、生協、鉄道系とライバルがひしめきあっていました。
お金もないので、豪華な式場は造れない。地元に根付くにも年数は追い越せない。それ以外で伸ばせることといえば会員をつくることでした。
再起に向けて、父の時代の会員100名に対して年賀状を出し、生存確認から出直しました。すると約80名を確認でき、「健康カレンダー」というものを送付しました。そこから、会報誌を定期的に送付して関係を続けていきました。
友を引っ張ってきてくれる会員
会報誌の送付に手ごたえを感じて、コミュニケーションが取れるイベントを本格的に始めることにしました。 式場は友引の午前中が空いています。
そこで、人生の最期をより楽しく生きるための勉強会「友引塾」と命名して開催しました。
これは「やすらぎ友の会」(入会金のみ有、会費無料)に入会していれば、先着で参加できる6回講座です。
ただの勉強会に終わらせず、より関係を強固にするために、運営について船井総研さんにアドバイスをもらい、会員の中でも上級階層である「葬祭アドバイザー」制度を取り入れました。
友引塾ご案内DM 全6回の講座 3回出席すると葬祭アドバイザーに認定される
これは全6回の講座のうち3回出席すれば葬祭アドバイザーになれるというものです。そして、旅行や遺影撮影会、人形供養祭などのイベントで優先枠を用意するなど、ほかの会員とサービスの差別化を図りました。
旅行においては葬祭アドバイザー限定の先着方式で案内をし、会員でない友人も誘ってOKとしたところ、受付開始15分で枠が埋まり、全員が友人を連れてきてくれました。
アドバイザーには認定バッチ、盾をお渡ししています。この目で見えるアイテムが肝で友人や家族に当社のことを知っていただくきっかけにもなっています。
トリックは使わない。安心が付加価値
口コミ以外に新規で会員になっていただくためにチラシも定期的に打ちます。葬儀に対する不安を聞けば、「価格の不明瞭さ」が必ずあがります。葬儀は情報の非対称性があり、消費者に知識が不足しているため、平然とざっくり総額で表記されているものが主流です。
結果、レスポンスも上がりましたし、「チラシ通りの金額で納まった」と口コミしていただけるようになりました。
他社では案内される総額が最低限のサービスで、最終的にオプションを加算する必要が出て、予想よりお金がかかることが多いのです。
これで当社の信頼度はぐっと上がりました。そして、価格の明確化が理解を促し、オプションも加算していただけるようになりました。
アイデアは飲み会議。会議室0%
「アイデアは会議室で生まれない」というような広告を目にした時にピンときて、社内会議はすべて飲食店で行うことにしました。
やってみると会議室では重苦 しい雰囲気に包まれていましたが、飲みの席では意見が活発に飛び交います。先日も新しい式場のネーミングを話し合ったのですが、酔いも手伝って、単純な名前になりました。それは単純ゆえに、検索されやすい名前です。
直感的であることのほか、スピーディーな社内展開が生まれることもいいです。「ワイガヤ会議」と称していますが、お店は私が繁盛店を選び、「なぜ繁盛しているのか」も同時に学べるようにしています。
未来のエース、子育てママを育成中
葬儀はサービス業です。
私は自分がして欲しいサービスを提供できればいいと考えています。それは、他人が望むものはわからないからです。現在は価値観が多様化しているので、良いと思うことも多種多様です。しかし、不快に思うところは共通しているのではないかと思います。
葬儀というデリケートなシーンで、活躍し、実績を出しているのは女性たちです。喪主は女性が多いということもありますが、相談や声をかけるのは女性がいい ようです。そこに気づき、今は子育て中の女性にパートで入っていただいて、将来、子育てがひと段落したら活躍してもらおうと思っています。
当社のお葬式のコンセプトは「アットハートなお葬式」です。すべての取り組みは「心を大切にする」という信念に沿うようにしています。人生の最期を安心して、華やかに迎えることができるよう、チャレンジを続けていきたいと考えています。
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