顧問契約を増やしたい会計事務所へ:顧客に選ばれる「提案型」になる方法

現在の士業サービス、特に会計事務所が提供する税務会計の分野は、お客様にとって専門性が高く、「代行業」というイメージが強いため、「先生業」として敷居が高く感じられがちです。
初めて税理士に相談するお客様は、具体的にどんなサポートを受けられるのかイメージしにくいという状況があります。たとえば、こんな疑問を抱えています。
● 創業融資
金融機関に直接相談するのと、専門家を通すのとでは何が違うの?
● 補助金
どこまで手伝ってもらえるの?
また、「今の税理士には不満があるけれど、料金以外で他の事務所とどう違うのか分からない」「資金繰りに悩んでいても、何をしてもらえるのかイメージできない」といった声も聞かれます。
このような状況で、単にサービスを提供するだけでなく、お客様が抱える漠然とした不安を取り除き、具体的な価値を明確に伝えることが、契約率アップのカギとなります。
「提案型事務所」になるためのクロージング術
船井総研が提唱する「提案型事務所」として大きく成長するには、公的制度支援サービスにおけるクロージング手法を磨き上げることが不可欠です。
このページでは、貴事務所の営業効率を飛躍的に向上させ、顧客獲得と顧問契約率を高めるための実践的なノウハウを凝縮してお伝えします。
受注率の高い事務所の共通点
まず、受注率の高い事務所には、「営業のフロー化」と「適切なツールの活用」という共通点があります。これにより、お客様がどこで悩み、何を求めているのかをいち早く察知し、一貫した対応が可能になります。
H事務所様の成功事例に学ぶ
商圏人口35万人の都市で、大手税理士法人や都心の競合も多い厳しい環境ながら、驚異的な実績を誇るH事務所様の事例を見てみましょう。
● 面談・受注率:80.8%
● 顧問契約率:98.1%
● 新規顧問契約数:年間106件
この成功の要因は、船井流差別化の8要素から分析できます。
H事務所様の「勝ちポイント」
● 集客コンテンツへの圧倒的な差別化と積極投資
○ Web・DMに月30〜40万円を積極的に投資
○ 専門HPのSEO対策や広告掲載で上位表示を獲得
○ ダイレクトマーケティングによる受注比率が70.4%に達しており、集客が受注の起点に
● 営業のフロー化
○ 所長が単独で対応することで、クロージングフローが均一化
○ 誰が対応しても一定の質のサービス提供が可能
○ 電話対応、ヒアリングシート、面談前アンケート、創業計画書、料金表、サービス申込書など、各フローで適切なツールを活用
○ お客様の悩みポイントに早期に気づき、的確な提案を可能に
● 自社の強みを正確に分析・把握
○ お客様アンケートを活用し、強みや改善点を客観的に把握
○ 顧客満足度向上とサービス品質の継続的な改善に繋がる
● 自社の顧客との付き合いの方針を明確に設定
○ 「税務の学校」をコンセプトに、「先生と生徒」の関係性を築き、親しみやすい事務所づくり
○ 決算シミュレーションを重視し、面談ありプランを基本として、お客様一人ひとりに寄り添うサポートを提供
○ ウェルカムボード、ドリンクメニュー、個室完備など、細やかな配慮でお客様に安心できる環境を提供
クロージングの「NGパターン」
一方で、クロージングで陥りがちな失敗パターンも存在します。
1. テレビショッピングのような一方通行の営業
お客様のニーズを無視した説明は、信頼関係を築けません。
2. 質問はできているが“問診”になっている
形式的な質問では、お客様の本当の悩みや目標を引き出すことはできません。深い対話が重要です。
3. 担当によって営業フローが毎回異なる
営業プロセスに一貫性がないと、事務所全体の信頼性が揺らいでしまいます。
4. “現物”が最後まで手元に出てこない
具体的な資料やサンプルがないと、お客様はサービス内容やメリットをイメージしにくく、不安を抱えたままになります。
受注率を上げる!「公的制度支援20のクロージングチェックリスト」
これらのNGパターンを回避し、受注率を向上させるための具体的な行動指針として、船井総研が提唱する「公的制度支援20のクロージングチェックリスト」をご紹介します。
このチェックリストは、アイスブレイクからヒアリング、サービス案内、クロージング、受注に至るまでの営業フロー全体を網羅しており、営業効率アップにも非常に有効です。
【チェックリスト】
1. アイスブレイク編:面談の導入で安心感を与える
● 自己紹介(事務所内でのポジション、経歴など)をしていますか?
● 問い合わせ経路は確認できていますか?
● 事務所を選んでくれたきっかけはヒアリングできていますか?
● 他事務所への相談状況は確認できていますか?
※これらの情報は「面談前アンケート」などを活用し、必ず確認・分析することで、今後の集客・営業活動に活かせます。
2. ヒアリング編:お客様の現状と課題を深く理解する
● 自己資金の内訳(補助金・成長融資の場合は資金繰り)を確認できていますか?
● 信用情報について確認できていますか(必要に応じて、CIC取得を促せていますか)?
● 悩み事を質問などで引き出せていますか?
● 公的制度の活用を通じてお客様が成し遂げたい内容(例:会社設立や創業融資であれば事業規模、補助金であれば売上向上、成長融資であれば資金調達の目的と効果)を引き出せていますか?
3. サービス案内編:サービス内容とメリットを明確に伝える
● 融資または補助金に関する基本説明の内容は適切ですか?
● 申請資料作成のポイントを説明できていますか?
● 実際の申請資料サンプルや事例を提示できていますか(ただし、個人情報マスキングを徹底し、サンプル通りに申請すれば良いわけではないことも必ず伝える)?
● 審査通過後に必要な手続きについて説明できていますか?
● 初回面談の段階で顧問サポート内容および顧問開始までの流れも説明ができていますか?
4. クロージング編:お客様の決断を後押しする
● 融資または補助金サポートのメリットを適切に説明できていますか?
● 次回面談日を面談の場で取り付けていますか?
● サポート申込書(確認書)を提示し、記入をお願いできていますか(サービス申込書や補助金支援申込書兼重要事項説明書などのツールを活用)?
5. 全体チェックリスト:営業活動全体で意識すべきポイント
● 各フローで適切な資料を活用できていますか?
● 「資料を読んでいるだけ」になっていませんか(お客様の要望・知識レベルに応じて提供する情報の取捨選択ができていますか)?
● 事務所の実績を適切にアピールできていますか?
● 契約に関する事務所方針は、所内全体で共有できていますか?
これらのチェックリストは、貴事務所の営業を具体的に改善し、お客様との信頼関係を深めながら、最終的な契約に繋げるための実践的な指針となります。
単なるマニュアルとしてではなく、お客様一人ひとりに合わせた「提案型営業」を実現するための羅針盤としてご活用ください。
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