人口減少が進み、国内市場が縮小する日本において、現状維持はもはや緩やかな衰退を意味します。いま地方の中堅・中小企業に求められているのは、積極的な成長こそが唯一の生存戦略であるという覚悟です。
2025年、中小企業庁は売上100億円を目指す企業を支援する「100億宣言」を開始しました。本稿ではこの宣言が持つ真の効能と、100億企業を目指す経営者が今後1年以内に実行すべき5つの具体的取り組みについて解説します。
「100億宣言」がもたらす2つの効能
「100億宣言」とは、経営者が自ら「売上高100億円」という野心的な目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを行うことを公に宣言するものです。この宣言には、精神的側面と実利的側面の2つの大きな効能があります。
第一に、経営者の「覚悟」が決まることです。成長し続けるために不可欠な要素の筆頭は「経営者の覚悟」です。宣言によって退路を断ち、従来の成功体験を捨ててでも自己変革を続ける決意を固めることが、組織全体の視座を引き上げます。
当然ではありますが宣言企業における目標値としている平均成長率は、全国の企業の平均成長率よりも高い数字になっており、その数字にコミットし、企業を変革させること自体が成長を加速させる機会になりえます。
第二に、最大5億円の「中小企業成長加速化補助金」への申請資格が得られる点です。
この補助金は100億企業を目指す成長志向型の中小企業による、工場・物流拠点の新設や自動化設備などの大規模投資(投資額1億円以上)を支援するもので、補助率は1/2、上限は5億円です。
この強力な資金支援を受けるための必須要件として、ポータルサイト上での「100億宣言」の公表が義務付けられています。つまり宣言は単なるスローガンではなく、成長資金を獲得するための「切符」なのです。
100億企業を目指す企業が1年以内にやるべき5つの取り組み
宣言を行った企業は具体的に何をすべきか。100億企業への壁を最短で突破するために、1年以内に着手すべき5つの取り組みを提言します。
1. 「100億企業化ロードマップ」の策定(バックキャスティング)
多くの中期経営計画は、現状の延長線上で考える「積上げ方式(フォアキャスト)」で作られがちです。しかし、100億企業化には、10年後のありたい姿から逆算する「逆算方式(バックキャスティング)」でのロードマップ策定が不可欠です。直近3年は現実的な計画だとしても、それ以降は非連続な成長を描く必要があります。
2. 地域コングロマリット経営への転換
地方都市において単一事業だけで100億円を達成できる市場は限られています。既存事業の基盤を活かしつつ、時流に適応した複数の事業を展開する「地域コングロマリット経営」へのシフトが重要です。例えば、自動車販売から開始し、不動産、海外事業へと展開した事例のように、本業の周辺市場や成長分野(「探索」領域)への進出を図る「両利きの事業開発」を進めてください。
3. 「間接管理経営」への移行準備
売上が数十億規模になると、経営者がすべての決裁を行う「直接管理」は限界を迎えます。社長が事業・人事・財務の責任者を兼任する状態を卒業し、権限委譲を進める「間接管理経営」へ移行する必要があります。これには、経営者よりもその領域に詳しいプロフェッショナルなCFO(最高財務責任者)やCHRO(最高人事責任者)の採用・育成が急務です。
4. 攻めの財務戦略と資金調達
100億企業化には、M&Aや大規模設備投資など、多額の成長資金が必要です。メインバンク依存から脱却し、20行程度の金融機関と取引を行うなど、調達ルートを複数化してください。また、前述の「成長加速化補助金」のような公的支援をフル活用し、投資リスクを低減させる財務戦略を今すぐ実行に移すべきです。
5. 良質な経営者ネットワークの構築
自社だけで得られる情報には限界があります。すでに100億企業化を達成した企業や、本気でそこを目指す志の高い経営者とのネットワークに参加することで、視座を高め、成功事例や最新のノウハウを共有し合う環境(弱くて強いネットワーク)に身を置くことが成長を加速させます。
人口減少化の日本においては、高い目標、高い成長率を実現する企業へ人材・資金はより集中することが想定されます。
まず100億企業化になる目標を掲げ、100億宣言を行い新たな挑戦を始めましょう。100億企業への挑戦が日本の再成長のカギとなります。
未来への第一歩を踏み出していきましょう。
【ご参考】100億宣言・100億企業化に関連するおすすめの動画
| 執筆者: 100億企業化ロードマップ推進部 マネージング・ディレクター 鈴木 圭介 すずき けいすけ |
