
2013.08.07
サクセスサマリー
開発した新商品が単品売上1億円超。現在は1億円商品が4品、売上は4年で2倍の8億円、卸販売や通販含め10億円に。
■船井総合研究所との関わり
【ビフォア】
地域では認知され利益は出ていたが、収益の柱になる焼菓子の商品力に悩んでいた。
【アクション】
大型投資をせず、主力となる焼菓子を開発し、各店単品生産方式で生産性を高める。プロモーションも強化。
【アフター】
開発した新商品が単品売上1億円超。現在は1億円商品が4品、売上は4年で2倍の8億円、卸販売や通販含め10億円に。
仙台と石巻に5店舗を構える洋菓子店。収益の柱を焼菓子にすえて、セントラル工場を設けずに高効率生産を実現。業界では珍しい生産体制について迫る。
有限会社益野製菓 代表取締役 益野英昭 氏

独学で勉強して洋菓子店をはじめました。パティシエは生菓子に力を入れたくなるものですが、勉強する中で、有名店の事例から売上の5割以上は焼菓子でないと経営は成り立たないという事実に直面しました。
しかし、それに気づいても焼菓子は簡単に売れませんでした。寒い土地では味が濃い生ケーキの方が好まれるだろうと思ってみたものの、ずっと焼菓子の主力商品を作りたいと思い続けていたのです。
大投資をせずに生産性をあげる

アルパジョン主力4品
(左上)とろけるクッキー
(左下)アップルポテト
(右上)ふくふくマドレーヌ
(右下)シューラスク
あるとき店舗ごとに工場を併設し、それぞれ主力の焼菓子を持ち、配送しあう「各店単品生産集中方式」プランが浮かびました。通常はセントラルキッチンを設けて、そこから各販売店に配送します。
「各品単品生産集中方式」ですと莫大な投資を避けることができます。しかし実際にやってみると結局、店ごとに必要なものを必要なだけ作るようになり、理想どおりに事が運びませんでした。
この状態で船井総研に相談したところ、強い主力商品作りが先決ということで、ネーミング、パッケージ、商品ストーリーなどアドバイスをもらい、店舗ごとに焼菓子で主力商品の柱をたてていくことになりました。この過程で、船井総研との会議に製造チーフと販売チーフ(パート)にも参加してもらうようになりました。この会議同席は社員の成長をもたらしました。特に販売チーフの成長には目を見張ります。
会議に参加させる前は、「でも・・・」とできない理由を返されるばかりでしたが、会議で数字や物事の理由を知ることで、仕事振りが見違えるように良くなりました。現場ならではの有益な意見を出し、今では数字の管理もしてくれています。
販売は正社員ゼロ。販売責任者もパートですが高効率な仕事振りと「各店単品集中生産方式」で、単品の人時粗利高は4万円(業界平均は8千円)を超えるまでになりました。店売りだけで、単品1億円商品が4商品。2008年3.5億円の売上が2012年には8億円まで成長しました。
実店舗で実績ができるとバイヤーから声がかかるようになり、ネットでの販売量も急増し、8畳の一室から今年は2億の売上が見えています。
業界の非常識、高速道路付近で商圏も拡大
もうひとつ、声をかけていただいたことがきっかけで、2011年に片道2車線バイパス沿いに大型店舗を出店しました。片道1車線の生活道路沿いの出店が業界では常識です。
しかしこの店舗は利休とマクドナルドとの共同駐車場のため、各店舗でついで買いを誘発して単店で3億円を売り上げています。

子供が憧れの職業 パティシエ
見かけより労働環境は苛酷。
子供が憧れる職業、パティシエの労働環境の実態は苛酷です。朝から晩まで立ちっぱなしの肉体労働、特に女性にとっては厳しいと思います。そして、給料も決して高くありません。そのような業界にあって、休みもできるだけ取らせるようにしています。最近、私から積極的に声をかけているのですが、年6回早退することを勧めています。
これは、スポーツ観戦、美術館巡り、映画鑑賞、コンサートなど教養、見識を広めて欲しいという思いからはじめました。
会社が収益を生むことで、社員に還元できることは給与だけではありません。焼菓子は収益をあげられる反面、生菓子は儲からない。だけどパティシエとしては生菓子に精魂込めたいと思うものです。
だから私は大胆に社員に「焼菓子で収益をあげて、生菓子は原価を考えずに趣味でやりなさい」と言いました。すると、従業員の目の色が変わりました。
もうひとつ、従業員の力を活かすために設備投資も積極的です。セントラルキッチンのような大投資をしなくても、質の高い商品を作るための設備、先行投資は必要だと思っています。機械があると、他店では真似できない商品も作れるので差別化にもなります。
先行投資は私自身に対してはプレッシャーになりますが、社員は「他ではこんなことはさせてもらえない」と一層やる気を出してくれます。
今はとてもいいスパイラルに入り、人生で一番不安がありません。社員たちが、「アルパジョンらしくするには・・・」と考えてくれるようになった、哲学をわかってくれたように感じます。

アルパジョンでは原価を考えずに
大胆に生菓子を作らせている。
私は若いときにラスベガスでスケールの違うエンターテイメントに触れて感動したことをきっかけに、自分の仕事を通して人を楽しませたいという思いを柱にしています。
パティシエは一流フランス菓子を作りに走り、お客様が二の次になってしまうのです。気取るのではなく、地域のお客様が欲しいものを作ることが重要で、それができる会社でありたいと思っています。
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