◆開催日時:2020年4月3日(金)
◆講師:船井総合研究所 石田 武裕
◆演題:「危機事象発生時に採用すべき財務戦略」
近時の危機事象と金融関連法案等の振り返り
歴史をひも解いてみることから始めさせていただきます。まずは、近時の危機事象を振り返ってみたいと思います。
私の社会人経験で一番古い危機的な事象は、2008年9月に起こったリーマンショックが代表的なものの一つにあげられます。
二つ目は2011年の3月の東日本大震災、このような危機的事象が起こっておりました。
そして不幸にして、今回の危機的事象が発生しておりますので、この危機的事象において、中小企業の皆様は、経営にどのくらいインパクトを与えるのかというと、一番インパクトを与えるのが自社の財務、つまりお金が足りなくなることが想定されているというところでいうと、今回の新型肺炎の影響がどれくらい大きくなってくるかは、まだ未知数ではあるんですけれども、リーマンショックの時もしくは東日本大震災の時にどのようにして中小企業が資金繰りを危機的な情勢のなかでも安定化させて立ち直れたのか、立ち直るためにこの危機的な事態を乗り切るために皆様が何をしたらいいのかということをお伝えさせていただく動画になっております。
まず一番インパクトのあった危機的な事象で申し上げますと、やはり中小企業において、近時の最大の資金繰り危機はリーマンショックだと確信しております。
その時に中小企業の資金繰りは相当なピンチを迎えました。当時のことを経験則と事例ベースでこの後お話させていただきます。
実際に2008年9月以降に創業された方も多くいらっしゃると思いますし、東日本大震災の後に創業している方、もしくはその当時働いていたけれども実際に経営者ではなかった方もご覧いただいていると思いますので、経験されていない方は、「こういう風になってしまうんだな」と確認していただければいいと思いますし、経験されている方は、「確かにそんなことがあった」と思い起こしていただきたいです。
ここからは私自身が経験した事例を一つ、お話させていただきます。
リーマンショックの時に起きた中小企業における資金繰り危機
リーマンショックの時に起きた中小企業における資金繰り危機の一つの例をあげさせていただくんですけれども、当時働いていた地区、N県の県央地区の自動車メーカーの一時下請けの会社で実際にあった事例でございます。
外的な要因といたしまして、リーマンショックが発生したことによってこの会社は自動車メーカーの一時下請けでしたので、受注先である自動車メーカーが、一時生産を停止してしまいました。
自動車メーカーが生産を停止したら、下請けである当社については、同時に生産が中止される、という状況に陥ってしまいます。
そこで財務的に何が起こったのかを整理させていただきます。
当社で起こったのは、2009年の3月に単月の売上高がゼロになってしまいました。
その翌々月、2009年5月の3月分の入金が全く0ということが確定してしまいました。
私が見た資料でいうと、2009年3月の試算表の損益計算書をみると、売上、粗利、営業利益、経常、税引き後利益がのっているんですけれども、一番上の本来は計上されているべき、生産が停止していなければ、売上高が計上されているはずだったところが、まったくもって0になった試算表を見たことがあります。
この会社は最終的に立ち直れてはいるんですけれども、その当時は仕入れや支払いがどうにもならないということで、資金繰り破綻・資金ショートする一歩手前までいってしまいました。このような危機を経験していない方ですと、最悪の事象を想定してくださいと言ったときに、私が必ずいうんですけれども、最悪は何なのかと考えたら、売り上げが0これに勝る最悪はないと思います。
ですので、皆様については歴史に学ぶ、このような最悪の事態が起こりうる、2009年に実際に中小企業で全国各地で起こった事を思い返す、もしくは認識していただいたうえで、今回の新型肺炎の影響がどのくらい拡大するのかはまだまだ未知数ではあるんですけれども、何回も言います、先手先手、スピードが勝負です。
先手先手で資金繰り対策をしなければ、この事例の会社は立ち直れましたけれど、もしかしたら倒産に至ってしまうかもしれないということを想定したうえで、どのように資金を確保していけばいいのか、その優先順位ですとか、方法に関して、この動画では具体的な策までをお話させていただきます。
平時と有事の財務戦略の違い
続きまして、平時と有事で申しますと、今回の新型肺炎はまさに有事にあてはまると思っています。
ただこの時には財務戦略は違うということを最初にお話させて頂きたいと思います。
有事と平時で財務戦略は違う、ただここで皆様に大事にしていただきたいのは、平時と有事の違いをわかったうえで、財務戦略は攻めと守りのバランスを大事にしていただきたいということです。
ここでは、平時と有事の財務戦略の違いをお話させていただきます。
財務戦略は攻めと守りのバランスが肝要 平時~有事に備えつつ、攻める~
平時の時は、端的に申し上げて、攻めと守りの順番でいうと攻めが先だと思っております。有事に備えつつ攻める、これが大事だと思っています。これを2019年の1月まではお話させて頂いています。
攻めの財務戦略でいえば・・・
※ セミナーの講演録と当日使用したテキストをダウンロードいただけます。