放課後等デイ「集客の鍵」安定経営へ

放課後等デイサービス事業を展開されている皆様、そしてこれから事業を始めようと検討されている皆様へ。
近年、放課後等デイサービス業界は社会的なニーズの高まりとともに事業所が増え、競争が激しくなっています。
このような状況で事業を安定させ、継続的に成長させるためには、利用者の安定した集客が欠かせません。
集客は、事業所の存在を多くの方に知ってもらい、提供するサービスの価値を伝えるための重要な活動です。
特に、障がい児支援という専門性の高い分野では、サービス内容を正確に伝え、保護者様との信頼関係を築くことが、選ばれる事業所になるための第一歩となります。
安定経営のための3つの重要指標(KPI)
事業を安定的に運営していくためには、以下の3つの重要指標(KPI)を常に意識し、改善を続けることが大切です。
1. 月間延べ利用回数
営業日数にもよりますが、月間240回から280回を目指しましょう。
2. 週の平均利用回数
お子様一人あたり週に2~3回の利用を目標とします。
利用回数を増やすためには、お子様の成長を記録し、保護者様との面談で具体的に共有することが効果的です。
3. キャンセル率 キャンセル数を10%以下に抑えることが重要です。
稼働率が高いほど、キャンセルによる売上損失は大きくなります。
保護者様が放課後等デイサービスよりも優先したいことがある場合にキャンセルは発生しやすいため、日頃から質の高い療育を提供し、保護者様からの信頼を得ることが非常に重要です。
これらの数値を管理し、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことで、安定した運営を目指すことができます。
効果的な集客方法:3つのアプローチ
放課後等デイサービスの集客方法は多岐にわたりますが、効果的な手法は対象とする人数や福祉サービスの認知度によって異なります。主な集客手法は、「訪問営業」「Web活用」そして「イベント開催」の3つです。
1. 成果を出す「外部への営業活動」
集客手法の中でも、特に重要で他社との差別化に繋がるのが、外部への営業活動です。その理由は、競合他社の多くがまだ積極的に取り組んでいない点にあります。だからこそ、先んじて取り組むことで優位性を築けるのです。
外部営業の最大の目的は、皆様のサービスを広く知ってもらい、相談支援事業所や学校などの関係機関から紹介を得ることにあります。適切なアプローチを行うことで、具体的な紹介や問い合わせに繋がりやすくなります。
障がい福祉業界における営業活動を成功させるためには、以下の4つのポイントが重要です。
①高精度:ターゲットを絞る
限られた時間と人材で効率的に紹介を獲得するには、紹介を得やすい営業先を選ぶことがカギです。
具体的には、小・中学校の特別支援学級、特別支援学校、そして相談支援事業所が優先すべき営業先です。
規模が小さくても、障がい児に関する相談件数が多い事業所は、効率の良い営業先と言えます。
②高頻度:継続的な関係構築
継続的に紹介を得るためには、定期的な訪問が重要です。
理想は週に最低2~3件の訪問ですが、難しい場合は月に1回程度、活動内容などを伝える通信を送るだけでも関係性を維持できます。
③高再現性
誰でも成果を出せる仕組み 誰が営業に行っても同じような結果が出せる状態を作ることが理想です。
そのためには、以下の準備が有効です。
○ 営業ツールの作成:アプローチブックやパンフレットなどを作成し、自社サービスの魅力や特徴が正確に伝わるようにします。
○ 営業トークフローの作成:事前に伝えるべき内容を準備し、漏れがないようにします。
○ 模擬練習(ロープレ)の実施:スタッフ同士で営業の模擬練習を行うことで、初めての訪問でも安心して臨めるようになります。
④営業管理:記録と共有の徹底
営業活動を行った後は、「いつ・誰が・誰に・何を話したか(渡したか)」といった詳細な記録を残すことが非常に重要です。
特に「誰に」という記録は、単に学校名や事業所名だけでなく、〇〇学校の〇〇先生、△△事業所の△△相談員のように個人名まで記録するのがポイントです。
同じ営業先でも、話をした相手が違えば再度説明が必要になる可能性があるためです。
この記録を参照することで、次回の訪問時に誰にどのような話をすれば良いかが明確になり、より効果的なアプローチが可能になります。
2. 現代の必須戦略「Web活用」
現代の集客において欠かせないのがWeb活用です。その中心となるのが自社サイトです。
自社サイトでは、放課後等デイサービス自体を知らない方向けの概要説明から、提供している具体的なプログラム内容の詳細、さらには無料体験会などへの誘導を行います。
自社サイトの構成例
● 「放デイとは?」といった基本的な説明
● 「他の事業所とはここが違う!」といった差別化ポイント
● 保護者様の困りごと・悩みへの共感
● プログラム内容の紹介
● アクセス情報
自社サイトへの集客を増やすには
● Googleアナリティクスの活用
アクセス状況を分析し、改善に役立てます。
● Google広告の利用
広告を出稿してサイトへの訪問者を増やします。
業界ではまだ広告活用例が少ないため、特に地方では月1万円程度の予算でも上位表示を狙える可能性があります。
ポータルサイト・SNSとの連携
自社サイトへの集客を強化するためには、ポータルサイトやSNSの活用も重要です。
● ポータルサイト(LITALICO発達ナビなど): 利用者様が地域で事業所をまとめて検索する際に利用されます。
● SNS(FacebookやInstagramなど): 最近ではSNSで事業所を探す保護者様も増えています。
これらのポータルサイトやSNSに自社サイトのURLを掲載することで、そこからの流入経路を作り、より多くの潜在的な利用者様を自社サイトへ誘導できます。
ポータルサイトなどを経由した問い合わせ獲得コストは、1件あたり3,300円から5,000円程度が目安とされています。
3. 来所を促す「イベント開催」
イベント開催も効果的な集客手法の一つです。企画から契約までの流れは以下の通りです。
1. 企画
2. 決定・チラシ作成
3. 集客(チラシ配布、Web集客)
4. 当日実施
5. 参加者への追客(電話、メールなど)
6. 契約
成功事例として代表的なイベントを2つご紹介します。
①無料体験会
実際に提供しているプログラムを体験してもらい、保護者様との個別相談に繋げることを目的とします。コロナ禍においては、「完全個別体験会」や「オンライン療育説明会」として実施する事業所も見られます。無料体験会は、訪問営業先へ直接チラシを配布する販促方法が有効であり、普段の療育を実践するだけで特別な準備が不要であるというメリットがあります。
②講演会
講演会の大きなポイントは、教育委員会の後援を取得することです。これにより、作成したチラシを学校から直接生徒を通じて保護者様へ配布してもらうことが可能になります。さらに市の後援も取得できると望ましいでしょう。ただし、幼稚園・保育園への配布は園長先生の判断となるため、日頃からの関係構築が重要です。
講演会には、療育の専門家や特別支援学校の教員などをゲスト講師として招くと、専門的な視点からの話が聞けるだけでなく、第三者評価として事業所の利用に繋がる効果も期待できます。
〈講演会のポイント〉
● 開催日時
働いている保護者様も参加しやすい土日が理想的。
● プログラム
2時間程度のプログラムが良いでしょう。
● 会場
地域の公民館や会議室など、100名程度収容できる場所を借りるか、自園を活用することも可能です。
託児所として別室を確保できると、さらに参加しやすくなります。
● 集客
開催の1ヶ月前には学校へチラシを配布することが効果的です。
その他、相談支援事業所などの関係機関や、Web、SNSでの告知も併せて行いましょう。
〈その他のイベント〉
上記のほかにも、以下のイベントが利用者様の満足度向上や利用回数増加、集客・定着に効果的です。
● 参観日や成長事例発表会
利用者様が集まった時期に開催し、満足度向上や利用回数の増加に繋げます。
● 関係機関向け説明会
連携を深めます。
● 季節ごとのイベント(ハロウィンやクリスマスなど)
利用者様や保護者様に楽しんでいただき、集客や定着に繋げます。
まとめとご案内
放課後等デイサービスの利用者を増やすための多様な集客方法について、そのポイントや具体的な実施方法を解説しました。
ご紹介した通り、集客には様々なアプローチがあり、それぞれの事業所の状況や地域性に合わせてこれらの手法を組み合わせ、継続的に実践していくことが成功への鍵となります。
放課後等デイサービス事業の経営には、集客の他にも様々な課題が存在します。船井総合研究所は、中堅・中小企業を対象に、多岐にわたる業種・テーマのコンサルティングを提供しており、特に現場に密着し、経営者に寄り添った実践的なコンサルティングに高い評価をいただいております。
もし、放課後等デイサービス事業における集客方法についてさらに詳しく知りたい、あるいは他の経営上の課題について専門家のアドバイスを受けたいとお考えでしたら、ぜひ一度船井総合研究所の無料経営相談をご利用ください。
経験豊富なコンサルタントが、皆様の事業の成長と安定化に向けて、最適なサポートをさせていただきます。お電話またはWebフォームにて、お気軽にお問い合わせください。
関連するダウンロードレポート
ご相談の流れ
- 以下の流れにて、まずはお気軽にお問い合わせください。
貴社からのお問合せ
コンサルタントからご連絡
※目安1~3営業日以内無料経営相談
※45分~1時間程度