中小・中堅企業の持続的成長
まず初めに、中小・中堅企業の持続的成長の選択としまして、3つの選択があります。既存事業の拡大、M&A、コングロマリット化ということです。
既存事業の拡大という部分でいいますと、数億円の時は2桁成長ができますが、数十億円や数百億円になってくると、やはり105%や110%の伸びということになると思っています。M&Aという部分でいいますと、うまくいけば業績アップ〝超〟加速するということができます。ゲスト講師のような形でうまくM&Aがいけば非常に業績が上がっている部分もありますが、うまくいかないケースもあるということです。そして、コングロマリット化ということでこれが一番リスクなく2桁成長できる部分だと思っています。これも先程ゲスト講師からもありましたが、既存事業が元気なうちに新規事業に投資すればうまくいくというところもありますので、既存事業と新規事業をどう展開していくか、事業ポートフォリオをどう構築するかということが今後重要だと思っています。
地域コングリマリット企業の特徴
次に、地域コングロマリット企業の特徴についてお話ししていきたいと思っています。
大体主力事業でいいますと、売上が20億円や30億円になってくると、ある意味壁みたいなものがあり鈍化していきます。これはライフサイクルといいますか、業種の成長期が過ぎていって成熟期や衰退期になってきて鈍化するという部分も非常に多いのではないかと思っているのですが、これは皆さんの企業努力ではどうにもならない状態ということです。
そして、本業が鈍化している時に収支が安定しているという、収支が安定している時に本業を担保に新規事業に投資するという考え方が大事だと思っています。ゲスト講師も既存事業が元気な時に新規事業を展開していって、事業ポートフォリオが徐々に変わっていく、パチンコの比率が下がっていくというお話があったと思うのですけれども、そういうことかなと思っています。まずは本業周辺の業種から新規事業を開拓して、そして他力を使って成功事例を高めていく。その時に新規事業に関しては自前で作っていくとなかなかうまくいかないのです。例えば、フランチャイズに頼ってみたり、コンサルタントに頼ったりして新規事業を立ち上げていくということが一番成功率が高いと思っています。
そして、新規事業を複数展開してコングロマリット化していき、2桁成長、高収益を実現していくということが大事だと思っています。そうすることによって数十億円から百億円にいくという部分でいいますと、やはりコングロマリット化していくということが非常に重要でありますし、新規事業を選択していくという部分の一つのポイントとして営業利益率が高いビジネスモデルを選択していくということが重要だということをご理解いただければと思っています。
地域コングロマリット企業の事例
私が5年程お付き合いをしている会社で、元々エネルギーやガソリンスタンドで40億円の会社が100億円になったという事例です。
元々プロパンガスとガソリンスタンドは昭和から平成へと伸びていった部分ではありますが、徐々にエネルギー産業が衰退してき、新規事業をやることによって結果的に既存事業が伸びていきました。
まずはリフォーム事業を立ち上げましたが、特に、最初はこの赤字事業を何とかしてくれと言われ、リフォーム事業のコンサルティングをさせていただきました。総合リフォームという何でもリフォームを行うのではなく、キッチン、お風呂、トイレ、洗面という形で水回りだけのリフォームに特化し、展開を変えていって、それが4億円から10億円になりました。
不動産売買という形でハウスドゥ、フランチャイズ型なのですけれども、4億円ぐらいで少し鈍化していたのですが、そこに対して営業改革を進めていき7億円になっていったという形です。
そして、飲食事業という部分を2億円から4億円ということで、まず新規事業の再生から始まっていき、次に新しい事業をもっと突破していきたいということで不動産の買取再販という形で、有名な企業でいうとカチタスというところになると思いますが、それと同じようなビジネスモデルを展開してゼロから20億円になりました。
最近キンライサーなどテレビCMでもおなじみになっていますが、給湯専門店という形で6億円に伸びていって、最終的に新規事業は5年で4.5倍以上になりました。
当然、プロパンガスの既存事業が30億円から53億円と約2倍になりましたが、実は新規事業でやったノウハウが既存事業に反映することによって、新しい顧客に対応できるようになり、そこで既存事業も伸びていったという形で40億円から100億円に伸ばしたということです。プロパンガスの既存事業に関しては、営業利益率で5%くらいですが、新規事業に関しては全て10%以上のビジネスになっており、高成長が見込めるということです。既存事業が非常に元気な状態の時に新規事業を展開して、ゲスト講師のように成功した一つの事例です。
ビジネスモデルと、ライフサイクル
ここで皆さん、新規事業をやる上で重要な部分が、事業のライフサイクルがどこのポジションにいるかということを把握していただくということです。事業や様々な業種にはやはりライフサイクルがあります。そのライフサイクルによって、どういうふうに営業展開、事業展開していくかということが重要になります。
まず、導入期の定義という部分において、売上は微成長、数%しか成長しないということで、まだ市場には認知されていないという状況です。しかし、粗利率は高いです。粗利率は高いものの、広告費や人件費がかかっているので営業率は低いということです。
では、成長期に変わるとどうなるかといいますと、いきなり2桁成長し始めます。例えば、120、130、150%の成長ができています。そして粗利率が高い、また営業利益が10~20%のビジネスモデルだということです。これが成長期という定義です。
成熟期ということで言うと、売上がなかなか2桁成長がしづらくなってきている。安定しているということですが、ここで粗利率ということで、競争が増えてきます。プレイヤーが増えてきますので、粗利率が減ってきています。しかし生産性が上がるので、営業率の高さを維持しているということが成熟期の定義かなと思っています。そして衰退期は、売上も減少して、粗利率も営業率も減少しているということです。
この定義を踏まえて、皆さん方の事業がどこにあるかということをお考えになっていただきたいです。今後コングロマリット化していく時に、このライフサイクルを見てどこの事業のポジションにあるかということを見ながら、戦略的な事業ポートフォリオを組んでいくことが大事だと思っています。
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