様々あるレベニューマネジメントのお悩み
宿泊業に参入した直後から長く経営されている企業様まででいらっしゃいますけれども、最初の段階で出てくるお悩みは全然手が回っていないというケースです。その中には社長が自ら作業をしていて、これを早く他の社員さんに渡すところから始めたいというお悩みもありますし、そこを超えると今度は現場が大忙しでやっていられない、大変というお悩みもあります。
そこを抜けてくるとレベニューマネジメントにもある程度時間を使えるようになって、独学で様々な勉強をしてみてやっているが、この方法で本当にいいのか不安だというお悩みが次に多いかと思います。
さらにそこを超えていきますと今度はチェーン展開で複数店舗を持つようになりますので、支配人様やそれぞれの施設の担当者様にレベニューマネジメント業務を移行していきます。しかし、支配人のキャラクターやその人それぞれの特性によって「この施設はしっかりマメにやってくれているけども、ここの店舗は放置になっている」というように店舗によって成果にもばらつきがあって、これをなんとか統一できないだろうかということやセンター管理に移行できないだろうかという悩みも伺います。
最後は、ある程度しっかり任せられて成果も出ているというベテランのレベニューマネジメントの担当者様が育ってきてはいるものの、一方でその人が辞めてしまったら自社の価格設定は誰がやるのだろうといった、辞められたら困るということもよく伺います。
これら五つをご紹介しましたが、このお悩みそれぞれはやはりレベニューマネジメント業務が人にしかできない業務で、かつ経験と勘に依存してしまっているからこそ起こる問題だと思いまして、外注できるような業務でもないですし、ホテル経営の重要な部分であるからこそ起こっているお悩みだと思います。
次にここから人に依存すると言いましたが、それではレベニューマネジメントで成果が出せる人はどのような人だろうかということを考えていきたいと思います。
サンプルとしてエリアの図を出してみましたが、日本の多くのエリアでは競合ホテルが存在することのほうが多いのではないかと思います。エリア内に競合のホテルがあっても、自社が選ばれる価格設定をできる人がレベニューマネジメントで成果を出せる人という視点で考えてみますと、先程の図に駅を足してみました。そしてBホテルが自施設だとすると、近隣の施設で、Aホテルは駅が近い、Cホテルは温泉が付いているということなど、エリア内のそれぞれのホテルと自社の立ち位置というものが出てくるかと思います。ですのでAよりは安くないと予約に影響が出てくる、Cより高くても大丈夫だといった様々なエリア内の要素を考慮して価格設定をしていかなければならないということになります。
そのような要素を考慮した上でより多くのお客様が自社を選んでくれる価格設定を365日出し続けられる人が成果を出せる人ということになってきますし、当然自社だけでなく他の競合の施設にもレベニューマネジメントの担当者様がいますので、エリア内でレベニューマネジメントの王者決定戦が行われている状態と言ってもいいのではないかと思います。
先程はエリア内での立ち位置というホテルのスペックに近い部分をお話しましたが、当然予約に影響するような毎週の観光客の動きやコンサート、スポーツ大会などのイベントが日々ありますので、このような周辺の状況を探りながら自社の価格を決めていくという点でいきますと、一日一日、価格を設定していくと考えますと非常に細やかさが求められる業務ですし、きちんと行おうとすればするほど永遠に時間をつぎ込める業務なのではないかと思います。また、ここ数年はコロナ禍ですが感染者の増減によってイベントの状況も日々変わり、中止や延期になってくるとエリア内での総需要も変動していきますので、とんでもなく困難な環境の中でレベニューマネジメントの王者決定戦が行われている状況と言えるのではないかと思います。そのため少しさぼると出遅れていくという切羽詰まった状況で日々価格設定がされているのではないかと思います。
そこで考えていくと自社の今の担当者の実力は問題ないだろうか、王者決定戦で十分に勝ち残っていける実力なのか、そしてその方のノウハウが明文化されているのか、次の後任者の育成までしっかり進んでいるのかという点も重要になってきます。
経験と勘に依存したレベニューマネジメントが招く悲劇
これができていないとどうなるかということで経験と勘に依存したレベニューマネジメントが招く悲劇というところで考えていきます。やはり担当者の実力という点でいくと、業務特性上細やかさなどが求められてくるので向き不向きが存在し、誰にでもできる業務と言うのは難しいと思いますし、向いている方であったとしても経験と勘が備わってくるまでには少し時間がかかってしまうところも難しいと言えます。
また、ノウハウが明文化されていたとしても先程の感染者数の増減のように常にエリア内の状況は変化しているので、自分の頭で考えて行動するということはやはり避けられないという点も難しい部分の一つです。
そして後任者の育成という点でいくと、第一講座でも人手不足というキーワードが出ていましたが、これだけ重要な仕事を任せられる優秀な人を欠かさず育てていくという点もまた難しいことです。
この三つがそれぞれ循環していく形になりますので担当者が退職で変わった、引き継ぎで変わったというパターンもそれぞれあるかと思うのですけれども、担当者が変わることで経験と勘を含めて一旦全てリセットされてしまうというのは、レベニューマネジメント業務が経営の土台となる点から考えてもリスクの多い状況の中で日々実行していかなければならない業務ということになります。
そこで次に考えるのは、どうすればいいかということになってくるかと思います。そこで出てくるのが今回のセミナーのテーマにもなっている宿泊業DXです。
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