第二講座でお伝えすること
第2講座を担当させていただきます船井総合研究所の松井です。
第2講座は先ほどの第1講座の続きにあたります「④RPAで経常利益を上げる方法を知る」と「⑤具体的な進め方を知る」につきまして、具体的な方法と事例をお伝えさせていただきながらお話をさせていただければと思います。
④RPAで経常利益を上げるには
その前にRPAの導入やAI化が進むことについてお話しさせていただきますと、「人が必要なくなるのではないか」と質問を受けます。
この質問に対するわれわれの回答と致しましては、働いている社員さんや関係するお客様や協力業者の方々が介在する中で今より働きやすくそしてお客様にとってより環境を良くするために単純作業などを自動化していくことを中心に業務改善が進んでおり、関わる人が働きやすい環境を整備するために活用するのであくまでも「人」が中心ですとお伝えさせていただいています。
それから、もう一つこのようなRPAを含めた業務改善をするにはエンジニアを自社で積極的に採用していくべきかとご質問をいただきますが、回答としましては自社で育てていくことをご提案させていただいております。
もちろん優秀で即戦力となるエンジニアを採用できれば問題はありませんが、採用するのも自社でプロ人材を育成するのもハードルが高いです。ですので、これからは入社時にプログラミング言語が使えない状態でもロボティクスに対応するツール類もかなり出てきておりますので、仮に入社時にプログラミング言語が使えなくても好奇心があって勉強好きであれば一緒に成長していけますので中途採用ではなく自社で育てて一緒に成長していくことを提案させていただいております。
そもそも自動化・省人化はもちろん大切です。
そのうえで空いた時間をいかに顧客体験・顧客満足を上げるかが重要になってきますので、あくまでも人が中心でそれ以外の部分を自動化・省人化をしていくとお伝えさせて頂いております。
④RPAで経常利益を上げるには~1)人口減少時代はより顧客満足度を上げる~
そもそも、なぜ顧客満足度を上げる必要があるかと言いますと、理由の一つとして人口が減少している事実があります。
今日ご参加の皆様であればご存知だと思いますが、日本は1億2,700万人をピークに人口減少フェーズに入っております。特に若年層の人口は減っていますし、都心部と地方で格差もあります。地方諸県においてはかなり人口減少フェーズが大きくなっています。
人口が減少すれば当然、市場規模も減っていきますし、マーケットにおける顧客の奪い合いが激しくなります。
そのような状況下で顧客満足度を得るためにはお客様と長い時間向き合って顧客満足度をアップさせていただくことが前提になります。
さらに一つ人口が減少すると共に市場減少も単年度で見れば1%、2%、3%とそれほど大きな減少率ではありません。
仮に3%であっても今このスライドにありますように、例えば仮にこのマーケットがこの証券において100億円のマーケットだったとしても仮に3%減少が10年続いた場合そのマーケットが10年で24%減少し、20年経ちますと56%になってしまいますから毎年の減少幅は軽微であっても長期のスパンで見るとかなりの大きな減少率になってくることが挙げられます。
このような事業環境でいかに売上を伸ばし続けるかと言いますと、それぞれの業務やそれぞれのビジネスプロセスにおいてお客様の満足度を上げていくことだとお伝えさせていただきます。
④RPAで経常利益を上げるには~今後の経営で前提にすべきこと~
そのためにRPAだけではなくて今後の経営の前提として営業利益率や経常利益率だけではなくトップラインの売上成長率も追求し続けていただきたいということです。
当然、業種や業態それからマーケットにもよると思いますが、成長マーケットであれば前年比で150%、200%の成長も可能だと思いますが、仮に安定しているマーケットや衰退産業などの日本の人口減少の影響を受けてしまうマーケットであってもトップラインの売上高を成長させていくことは追求していただきたいです。
こちらは今日の話は違いますが、もちろんトップラインの売上を維持するために一つの業種や業態のマーケットの深掘りやそれからエリア出店など地域1番化を前提として続けていただきたいです。
そのうえで継続的にビジネスを支えていくには毎年の採用を前提とすることが重要になります。
もちろんプロ人材の採用で中途採用を船井総研も積極的に行っておりますが、その割合は7対3から8対2になっており、大きな割合は新卒採用を中心に据えています。
先ほどお伝えさせていただいたように仮にDX化の手法としてRPA導入やAI化をやるとしても人材自体も新卒採用の中から一緒に育成、成長していくことを考えていただきたいと思います。
そのためには原資を稼ぎ続けることが必要になってきますので、既存の事業の生産性を上げていくことで原資を稼ぎ続けてRPAなどの生産性向上に投資して生産性向上するというプラスのサイクルを作ることを前提として事業計画や経営戦略を組んでいただくことを前提にお考えいただければと思います。
④RPAで経常利益を上げるには~二つのRPA活用事例紹介~
そのうえで今から2件、RPAを活用して業務を改善した事例についてご説明いたします。
一つ目が養豚場でのリアルタイム経営の事例になります。
IoTとBIを活用した事例になりますが、IoTについてご説明いたしますと、Internet of Thingsの略称になりまして、全てのものがインターネットに繋がっていくような改革をしながら、BIはBusiness Intelligenceの略称になりまして、様々な指標の可視化をリアルタイムで行うことで業務を改善し本質的に豚と向き合う時間を増やすことによって業務を改善していった事例が一つ目になります。
二つ目がホテルの価格調整の自動化の事例になります。
ホテルの宿泊の料金は皆さんもご存知だと思いますが変動します。繁忙期と閑散期に応じて価格を調整するわけです。今までは人が行っていましたが、AIを活用して価格調整を行うことで時間を短縮し、短縮された時間でお客様と向き合う時間を増やせたという二つの事例をお伝えさせていただければと思います。
いずれの事例においてもデジタルとリアルを融合して顧客満足度をあげられるかが非常に重要になってきます。それでは事例についてお話させていただきます。
④RPAで経常利益を上げるには~RPA活用事例紹介①協同ファーム:「リアルタイム経営」~
まずは協同ファーム様の事例の一つ目になります。
宮崎にある会社様でリアルタイム型をすることで業務を改善されました。協同ファーム様は約1万頭の豚を飼育されていまして、設備をIoTでつないで様々な各種指標BIを活用して可視化してリアルタイムに管理する仕組みを整えた事例になります。
写真を見ていただきますとお分かりになるかと思いますが、養豚場は広いのでセンサーを設置し、それをインターネットにつなげることで異常などを感知する仕組みを導入されました。
仕組みを導入すると、水道管の破裂などを知らせてくれます。実際に仕組みを導入しないとなかなか気づけませんし、もし起こったとしても発生源を探すことから始まっている状態でしたが、センサーをつけることによって発生源が一目瞭然になりました。
そう言っても常に見ているわけにはいかないので、エラーになった場合に自動的にスマホに知らせてくれる仕組みを導入したというのが一つ目の事例です。
④RPAで経常利益を上げるには~RPA活用事例紹介②Rホテル:「価格調整自動化」~
二つ目の事例として餌の残量管理があります。
餌場はスライドのように分けられておりまして、餌の残量がこのように把握できるようになっています。
仕組みを導入する前は餌のタンクを叩いて餌の残量を把握していた状態でした。広い養豚場でタンクを叩いて回るのも属人的ですし、正確な残量が測れず、かなり時間と労力がかかる業務でしたがセンサーを取り付けること画面上で餌の残量が把握できますし、餌の残量を正確に測ることができましたということです。
豚車などにIoTのデバイスをスライドの写真のように設置していただいてトラブルの発生時にはスマホへアラートを鳴らして、それから餌の残量だけではなく様々なものをBIダッシュボードに表示することでリアルタイム運営を可能にしましたという事例です。
そうすることで養豚場の設備データや環境データを一元管理した効果として水道管が破裂した場合復旧までに約10時間かかっていましたが1時間に減りましたし、餌の残量の確認作業も毎日2時間かかっていましたが、30分で済むようになり、その他の作業も減っていくことで豚と向き合う時間が増えて豚の育成や豚の品種を向上させる本質的な業務に人間の時間を使うことができるようになったという事例です。
続いてはホテルの価格調整自動化をRPA導入をして行った事例です。
あるホテルチェーン様になりますが、皆様おそらく泊まったことがあるホテルかと思います。ホテルは需要に応じて価格を調整するレベニューマネジメントという仕組みがあり、ホテルの部屋の稼働率に応じて価格を調整する業務が発生するのですが、人がやる場合問題点がありまして、一つ目に時間がかかること、二つ目が属人的になってしまうことです。
つまり、価格を決める際に感覚的に価格を決めていた部分があったわけですが、まず価格テーブルを一緒に作成させていただいて、RPAの機能で現在の稼働率を計算して稼働率に応じて価格テーブルの枠から最新の価格を自動的に反映させることによって、6ヶ月先まで価格の価格を反映できるようにし、属人的だったレベニューマネジメントの完全自動化に成功しました。
効果の一つ目としてRevPARを約10%程度押し上げる効果がありました。
従業員が調整するときは結構競合他社の単価を参考に調整を行っていました。それも一つの参考材料ではありますが、単価だけを参考にすると競合よりも単価を下げて部屋の稼働率を上げ部屋を埋めようとしていました。競合の情報も大切ですが、自社の稼働率に応じて価格を調整していくことが重要で効果としてRevPARを10%上げ、さらに月間で約45時間をお客様とのやり取りに向けられた事例となっております。
ホテル、旅館に向けたRPA業務においてこのように三段階に分けて業務の切れ目が出てくるのですが、残室状況を確認して最適価格を確認し最適価格を設定していく業務をRPAを活用するだけで自動的に客室の単価を調整してくれるようになっています。これがなぜ成功したかと言いますと、下に書いてありますが三つの成功ポイントがありまして、一つ目が・・・