本セミナーの目的
今日、皆様に、知っていただきたいテーマのお話をさせていただきますと、全部で五つございます。私の第1講座の中からは、上の三つをご紹介させていただきます。まず、一つ目が「RPAの基礎知識を持っていただく」、二つ目が「RPAの活用方法を知っていただく」三つ目が「RPAの選び方と導入前に確認すべきこと」という点を、私のほうからお話をさせていただきたいと思います。
そして、後半の第2講座では、四つ目、五つ目のところをお話させていただきたいと思いますので、本日1日よろしくお願いいたします。
①RPAの基礎知識RPAとは
では、まずRPAの基礎知識、RPAとは何かという点なのですが、RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略称で、「仮想知的労働者」や「デジタルレイバー」と呼ばれているものになります。ロボットの作業の自動化というのが直訳というところです。これを、RPAというふうに呼んでおります。
RPAは、そもそも何ができるのかというところでございますが、人がパソコン上で行う業務のフローやルールを記憶し、自動でその業務を実行するものです。人と違い、労働基準法が適用されませんので、24時間365日いつでも働き続けることができるというのがRPAができることでございます。
そこで、どんな業務が向いているのかという部分ですが、反復が多い業務や取り扱うデータ量が多い業務、工数が多い業務、複数人で取り掛かる業務などが向いています。簡単に言いますとパソコン上でコピー&ペーストをする業務があると思いますが、そのコピーと貼り付けの作業を人間よりも速く正確に大量にこなすことができるというのが一番の有利性と認識していただければと思います。
次に、どのようなことを任せればいいのかという点ですが、定型的な業務、同じ業務をひたすら行うものや毎日行うような業務や人の判断が不要な業務です。
毎回、人が判断してイレギュラーな対応をしないといけないというものは向かないものになります。また、情報をデジタル化している業務や紙ベースのFAXで送られてきたものをスキャンするのは、人の手が必要になってきますので、デジタル化されているExcelなどのようなデータを処理することができるという点になります。
このあたりは、基本的な部分ですので、より具体的なお話をしていきたいと思います。
①RPAの基礎知識 RPAのメリット
RPAは、人が行うルーティンワークを代行する役割で、コピー&ペーストが得意です。しかし、全てがRPAに置き換えられるわけではなく、人と人の間の業務を担うというのがRPAの上手な使い方です。
入力フォーマットを作ることや、どういう項目にするか、何のデータを集計するかなどは人が介在しないといけないですが、それを一回ルールを決めたらそれをひたすらやってくれるのがRPAのロボットです。情報収集、入力、転記、メールの送付など、定型の業務を得意とするロボットとなります。
しかし、確認をすることやイレギュラー対応という部分は人が必要になってきますので、人と連動させて効率を上げていくというものになります。RPAを導入したからといって、全ての人の仕事がなくなるというわけではなく、人は人にしかできない仕事をしていくという点が大事なポイントになっていきます。
RPAを導入するメリットになりますが、五つございます。
一つ目は、社内業務の生産性向上、業務の効率化です。
RPAの導入によって、社内業務の生産性向上と、業務効率化が実現します。ベテラン社員が、ひたすらコピー&ペーストしているというのは、社内業務内の生産性がなかなか上がりませんので、そこを効率化させて、生産性の向上をさせていくということです。
あと、定型業務からの解放です。単純作業の多い定型業務から、従業員を解放するという点で、これも業務効率化に近い部分ではありますが、社員がひたすら同じ作業をすることから解放されるということです。
三つ目、生産性の高い業務にシフトすることができるということです。
人がすべき付加価値の高い、いわば人の判断が必要な業務、それ以外は、RPAに任せていくというところです。
四つ目、人件費の削減です。
RPAを入れたことによって、人がやっていた何時間分の作業の人件費が何百万、何千万円も変わったということです。特に、事務ワークが占める割合が多い業界というのは、これの比重が多いです。
したがって、金融関係の銀行や証券や保険など事務ワークであるホワイトワーカーの多い状況の会社さんに関しては、人件費の削減につながるということになります。
五つ目、人より速く、正確に、大量に処理できるということです。
大量の業務を24時間休むことなく稼働してもミスやエラーは発生しないです。初期設定を間違うとエラーを起こしてしまうのですが、そこだけしっかりしておけばエラーは発生しませんし、従業員と違って休憩時間や有給休暇は必要ではないので稼働し続けるという点です。
①RPAの基礎知識RPAに期待される役割
では、なぜRPAが重要視されているかといいますと、日本は急速に労働力が減っていくという部分があります。その背景は、人口も伸びていかないですし、GDPも平成の30年間でほとんど変わらなかったのです。
売上の成長率が今後人口減少などで鈍化をしていくと、会社も新しいポストが生まれず人材の採用もできなくなり、社員の平均年齢も上がっていくという状況になります。そして、事業規模も次第に現状維持から縮小になっていくと、優秀な中堅社員の方が離脱をすることが考えられます。なかなか若手に仕事を任せられず、付加価値の高い仕事ができないので、力のある社員の方が「この会社、未来がないな」と思って、辞めてしまうということになるからです。
そのために新しい投資やチャレンジが難しくなります。これは、資金面だけではなくて、やはりやる人がいないと新しい事業への投資が困難になり、昨今では中小企業が中堅企業になっていこうというような国の方向性も出てきていますし、最近では事業再構築補助金も話題になっております。
しかし、事業として働く人がやっていかないといけないことは、付加価値の高い仕事をやっていかなければなりません。そのために従来やっていた業務のLDワークの部分はRPAに任せられるところはどんどん任せていき、人がする仕事は人がしていくというところが注目を浴びている部分です。
これを聞くと、導入したいと思われる経営者はは多いと思います。ただ失敗するケースもございます。RPA導入自体は非常に簡単なのですが、使いこなせていない会社というのが9割存在するというふうにいわれているのです。
①RPAの基礎知識RPAでの導入失敗理由
なぜ、そのようなことが起きるのかといいますと、大きくこの五つの理由に分類されると考えられます。
一つ目は、RPAツールを購入したのですが、何から着手をすればいいか分からないということです。
初期投資もそれほどかからなかったのでとりあえず買ってみたが、実際に現場で「使用してみてほしい」と伝えると、「何に使うのだろう」というところで、進まないという点です。
二つ目、導入責任者や担当者が明確になっていないので、導入が頓挫してしまうという点です。
実際に誰が責任を負うのか、誰が実行するのかということが決まっていないので、結局ことが中ぶらりんになってしまい、失敗に終わってしまうということです。
三つ目、RPAの推進を内製化できず、日々のエラーに対応できなかったということです。
RPAもたまにはエラーが起きます。そのエラーに対応しないと、やはり手入力のほうが良かったと思い、エラー対応の部分が不十分になります。
そのためには、RPAの操作を社内で内製化する必要があります。毎回、これを外注していただける業者さんはあります。初期の段階では、力を借りるというのはぜひ行っていただきたいですが、少しの修正でも外部にお願いするとなると、コストも高くなってきて、生産性を上げるのにコストのほうが割高になってしまいます。そのため、内製化することは重要になってきますが、なかなか内製できないツールであると、日々のエラーに対応できず、「やっぱりなんか使い勝手が良くない」と思い、使わなくなってしまったというケースです。
四つ目、RPA向きではない業務をRPA化しようとしてしまったということです。
RPAに向かない業務もあます。それは人の判断を要するようなものや、作業が発生するようなものです。RPAがひたすら稼働してくれるのですが、人のチェックが発生する作業があると、そこで一度中ぶらりんになりますので、いま一度体制を整えなければいけないです。
五つ目、複雑な業務から入り実用化までは至らないということです。
RPAは、最初は、できれば簡単でかつ効果の出る業務からスタートしていただきたいと思います。難しいところから入り、実用化するまでに何カ月もかかってしまうと、他の日常的な業務もありますので、実用するまでに至らなくて中ぶらりんになってしまうというような点が、現場で起きやすい部分です。
上記の五つは、今日ご参加いただいている皆様や既に導入されている企業様、これから導入を検討されてるという企業様など複数いらっしゃるかと思いますが、誰が、何を、どのようにRPA化させるのかという導入後の想定をきちんと事前に固めておかないとうまくいかなくなります。
したがって、いかに失敗理由を起こさないかというところを対策も含めて、みていきたいと思います。
②RPAの活用方法RPAとはデジタルワークスタイルの一部
まずは、申し上げました五つの課題になるわけなのですが、主に、表記が1、2、3という部分と、4、5という部分で分かれてくるということになりますが、RPA購入したが、何から着手すればいいか分からない。明確になってない。内製化ができないといった、ようするに、人がらみの部分です。
社長がツールを購入するだけではうまくいかなくて、社内で誰が行うのかという部分をまず決めていかなければならないです。そうすると、まず、社内でプロジェクトチームの立ち上げを行うというのが必要になってきます。
いきなり社員全員で実施しようとすると、誰が責任者なのかということも不透明になりますので、推進者または責任者を置き、社内で推進をさせることをしていき、推進者にはRPAとはどういうものなのか、なぜやるのかというところを、社長を含めて、理解をしていただきます。
その際に、責任者が全部1人で責任や実行部隊をするとなるとうまくいきませんので・・・