◆開催日時:2020年4月10日(火)
◆講師:船井総合研究所 宇都宮 勉、平野 孝、中野 宏俊
◆演題:「コロナ収束後の業界再編の波をいかに乗り越えるか」
有事の後の情勢変化と進む業界再編
(船井総合研究所 金融・M&A 支援部 宇都宮勉)
今回は業界再編を乗り越えるためのM&A の活用ということで、コロナの収束後に業界再編が急速に進むと思われます。
それに当たって、どのようにM&A という資産を使ってこの状況を乗り越えていくかというところを弊社のM&A グループの方からお話をさせていただきたいと思います。
まず私の方から最初に有事の後、情勢変化がどのように進んでいくのかについて、またそれに対しての業界再編の進め方に関してお話をさせていただきたいと思います。
1.有事の前後での大転換
皆様もご存知のように、これまでバブルやリーマンショックの時のように経済に関する有事は起きてきたと思います。
その度ごとに起きる大転換としてまず最初にあることは有事の前の比較的、景況感のいい時、つまりコロナ前の日本経済と同じように企業の価値がお金の価値より高くなるというのが続きます。
これがこれまでのM&A が進んできた1番のポイントです。
企業の価値それが株価であったり色んな測り方があるんですが、それがどんどん上がっていきます。
もう一方はお金に関してですが、銀行が積極的に融資をしていくということろで金利も低く、相対的に企業の価値がお金の価値より高くなっていきます。
そうなっていくとお金のいきどころが不動産屋や土地だけでなく、企業の買収にお金が向いていきます。
そしてM&A を行いたいというところが増えていってM&A 価格が吊り上がっていき、企業の価値がどんどんあがっていくというのがこれまでであったり、リーマンショック前、バブル崩壊前でした。
その後どういった転換が過去を見た時に起きたかというとお金の価値が高くなって企業価値が相対的に低くなっていきます。
昨今株価を見ていても急速に企業の株価が下がってきてます。上場企業の場合、時価総額であったり株価といったところで企業の価値が算定できます。
これは未上場の会社であっても企業の価値つまり、客観的に第三者から見た時にその企業をどれくらいのお金を出して買う価値があるのかがM&Aでいう企業価値になるんですがこれがどんどん落ちていきます。
それに対して後ほども触れますがお金の価値が上がっていくとどういうことが起きるかと言いますと、 M & Aに進むにしてもそこに対しての企業価値はどんどん下がっていきます。
今現在も、2年前3年前に比べるとM&Aの時の売り手につく価格はですねどんどんどん下がってきています。
それにどんどん拍車がかかっていくというのがコロナ騒動の後に起きてくるというように思っております。
それを悲観的的に捉えるのではなく、積極的に企業拡大をしていく会社さんはこれを機に積極的に拡大していきながら、また、もう一方ではきちんと自社の従業員とブランドを守って頂く、その両方の方法がM&Aでは活用できますので、そういった場面でのM&Aの活用法が増えていくのかと思われます。
ちなみにリーマンショックの前後、2007年と2009年ですと全業種の指数がリーマンショック前を100とみるとですね2009年が約84%とだいたい15%~16%くらい業界に大きくインパクトを与えており、実際企業の営業利益率は全体的に見ると3%~5%くらいが下がっています。
これがそのまま売上の減少=営業利益の減少ということにはならないのですが、それぐらいの落ち率になるとです大体5%くらいの営業利益の会社は売上が15%以上落ちてしまうといくらコスト削減努力をしても赤字になってしまうところが出てきてしまいますので、そういった面でこれから大転換というところが起きてくるというのは否めないかなという風に考えております。
もうひとつの大転換としてあるのはこれまで言われてた人不足で物余りかつ金余りという、どこの会社様も業績は好調なんですけど、その業績を支える人が採用できなくて困っていたというのが本当につい一か月くらい前の状態でした。
今、人余りという言い方は非常に良くないですが、やはり勤務待機や雇用の差し止めとかさらには新規採用を抑制していくということがこれから起きてくるので、現実的に人余りで物不足かつ金不足という真反対の情勢になってくるのかなと思います。
この物不足はお金があっても、物が入らない。
特に昨今どこの住宅業界も中国や海外から水回りのお風呂だとかトイレといった、海外から輸入していたものが一斉に供給が止まったということで工事の完了ができないということが起きています。
完了できないとお金が入ってこないということになっているのでそれによって、お金が不足してくきます。
物不足=金不足ということにもなってきますので、今は政府の緊急融資となどで有事を防ぐといった緊急融資もありますが、あくまで緊急融資なわけですからいつか絶対返さないといけないということになります。
さらにしばらく景気、経済が低迷するとよりやはり人も余ってきますので人余り、物不足かつ金不足のような状態になると思われます。
逆に考えると人を雇用する力のある会社、物を調達する力のある会社。資金面で十分な内部留保のある会社というところにとっては大きなビジネスチャンスという風に考えるなくもないかなというところです。
2.業界再編とは
業界再編でどういったことが起きるかと言うと、経営者の中にはバブルもリーマンショックも経験してという方も多く、分かっていらっしゃことかと思いますが・・・
※ セミナーの講演録と当日使用したテキストをダウンロードいただけます。