新・獣医療広告ガイドラインに沿ったWeb集患強化法

2024年、獣医療広告ガイドラインが改定されました。
これにより、従来は制限の多かった動物病院の情報発信について、一定の条件を満たしたうえであれば、適切に伝えることが推奨される時代へと変化しています。
一方で、「どこまで発信してよいか」「どの表現がガイドラインに抵触するのか」といった判断は、現場レベルでは依然として難しく、対応に迷われている先生方も多いのが現状です。
株式会社船井総合研究所では、2024年改定の内容を正しく理解したうえで、ルールを遵守しつつ、戦略的なWeb集患体制を構築するためのご支援を行っております。
・自院のホームページやSNSは問題ないか
・どこまで表現してよいのか
・広告ガイドラインに沿った集患設計の進め方とは?
こうしたお悩みに、動物病院専門のコンサルタントが個別に対応いたします。
規制への正確な理解と、Web集患対策による成果の両立を目指すために、ぜひ一度ご相談ください。
獣医療広告制限の見直しと対応について
令和5年10月13日に公布され、令和6年4月1日から施行された「獣医療法施行規則の一部を改正する省令」(令和5年農林水産省令第52号)により、獣医療の広告制限に関する特例が追加され、「獣医療広告ガイドライン」も改正されました。
以下に、改正の主な内容と、動物病院が今すぐに対応すべき事項について解説します。
「広告」の定義(獣医療法)
獣医療法において「広告」とみなされるには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
● 誘因性:患者(飼育者)を誘い込む意図があること
● 特定性:獣医師の氏名または診療施設の名称が特定できること
● 認知性:一般の人が認識できる状態であること
上記のいずれか1つでも満たさない場合は、「広告」には該当しません。
広告に該当するもの・しないもの
■広告に該当するもの
・テレビCM、ラジオCM、新聞広告
・インターネット広告(GoogleやYahoo!などの検索連動型広告を含む)
・看板、ポスター、チラシ、ダイレクトメール、はがき
・インターネット上のホームページ(インターネット広告を行う場合)
・鍵なしのアカウントによるSNS発信
■広告に該当しないもの:
・学術論文、学術発表
・新聞・雑誌の記事
・患者の体験談・手記など
・診療施設内の掲示物(POPなど)
・診療施設内で配布するパンフレット
・患者からの求めに応じて送るパンフレットや電子メール
・通常のインターネット上のホームページ
・行政機関の広報やポスターなど
広告が制限される事項(原則)
獣医療広告ガイドラインの基本的な考え方として、専門知識を持たない飼育者が不確かな情報に惑わされ、不利益を被ることを防ぐため、獣医師または診療施設の技能、療法、および経歴に関する事項の広告は原則として禁止されています(獣医療法第17条第1項)。
ここでいう「診療」とは、単に病気の診断や治療だけでなく、獣医師の獣医学的判断と技術をもって行う必要があり、飼育動物に危害を及ぼす、またはそのおそれのある一切の行為を指します。ただし、個々の行為が診療に該当するかどうかは、社会通念に照らして判断されます。
■技能、療法に該当するものの例(原則として広告不可)
・疾病の診断(診断書の交付)
・治療、指示書・処方せんの交付
・採血、注射、放射線照射、麻酔、手術、縫合・抜糸、帝王切開、投薬
・犬パルボウイルス感染症の遺伝子検査など
■技能、療法に該当しないものの例(広告可能)
・動物の保定、健康相談、保健指導
・体温測定、脈拍測定、呼吸数測定、血圧測定
・血液や尿などの検体検査
・トリミング、シャンプーなど
広告可能な事項(例外)
獣医療法第17条第2項および獣医療法施行規則第24条第1項により、以下の事項は広告が可能です。
今回の改正で、特に新しい項目が追加されています。
1. 専門科名
2. 学位、称号
3. 獣医師免許を受けていることおよび診療施設を開設していること
4. 獣医師の専門性に関する認定を受けたこと(NEW)
5. 高度獣医療を含む診療内容に関すること(NEW)
6. 医療機器を所有していること
7. 牛の体内受精卵移植用に供する受精卵の採取
8. 犬または猫の避妊去勢手術を行うこと
9. 予防注射を行うこと
10. 寄生虫病の予防措置を行うこと
11. 飼育動物の健康診断を行うこと
12. マイクロチップの装着を行うこと
13. 獣医師の役職および略歴
14. 家畜防疫員であること
15. 県家畜畜産物衛生指導協会等が行う自衛防疫事業の指定獣医師であること
16. 獣医療に関する一般社団法人または一般財団法人の会員であること
17. 農林水産大臣の指定する診療施設であること
18. 愛玩動物看護師が勤務していること
19. 農業共済組合等の嘱託獣医師または指定獣医師であること
広告可能な事項に関する注意点(特に重要なもの)
● 4.獣医師の専門性に関する認定を受けたこと(NEW)
農林水産大臣が指定するものが認定した専門性に限り広告可能です。
「専門獣医」という単独の表現は認められず、「獣医師〇〇〇〇(●●認定◎◎◎◎専門獣医)」のように、認定主体を明記する必要があります。
非常勤の獣医師を広告する場合は、常勤と誤解されないよう、非常勤である旨や勤務日時を明示する必要があります。
● 5.高度獣医療を含む診療内容に関すること(NEW)
提供する全ての診療内容を併記する必要があります。承認前の医薬品等の広告や、品名が特定できる形での広告は禁止されています。
● 6.医療機器を所有していること
医療機器の販売名や型式などが特定されない一般的な名称で広告する必要があります(例:「MRI〇台導入」)。診療内容を併記する場合は、「問い合わせ先」「通常必要とされる診療の内容」「診療に係る主なリスク、副作用等の事項」「費用」の全てを併記する必要があります(NEW)。
● 9.予防注射、10.寄生虫病の予防措置、12.マイクロチップの装着
ワクチン、予防薬、マイクロチップ等の品名が特定できる形での広告はできません(NG例:「〇〇(品名)によるノミ、ダニ予防措置の対応が可能です」)。
● 11.飼育動物の健康診断
具体的な検査項目(「身体検査」「血液一般検査」「尿検査」「糞便検査」「エックス線撮影」「超音波診断検査」など)を併せて情報提供することが望ましいとされています。
● 13.獣医師の役職および略歴
研修履歴は、内容が多岐にわたるため、広告できません(NG例:「〇〇研究会〇〇研修コース受講」「〇〇団体推薦獣医師」「テレビ出演獣医師」)。
広告可能な略歴の例として、「〇〇大学〇〇研究室 卒業」「〇〇動物病院 院長」「〇〇動物病院 〇年勤務」などがあります。
● 18.愛玩動物看護師が勤務していること
診療の補助として特定の診療行為を行っている旨の広告はできません(NG例:「当病院では、愛玩動物看護師が採血を実施しています」)。
広告可能な例として、「当病院では、愛玩動物看護師が〇名います」「当病院では、愛玩動物看護師とともにチーム獣医療に取り組んでいます」などがあります。
その他広告可能な事項(技能、療法、経歴に関わらないもの)
● 診療施設の開設予定日
● 診療施設の名称、住所、電話番号
● 勤務する獣医師の氏名
● 診療日、診療時間、予約診療が可能である旨
● 休日または夜間の診療・往診の実施
● 診療費用の支払い方法(クレジットカードの可否など)
● 入院施設の有無、病床数など施設に関すること
● 診療施設の人員配置
● 駐車場の有無、台数、料金
● 動物医療保険取扱代理店または取扱病院である旨
● ペットホテル併設、トリミング実施、しつけ教室開催など
禁止される広告
低価格競争や不適切な診療による動物への被害を防ぐため、以下の広告は禁止されています。
1. 比較広告
他の診療施設と比較して、自院が優良である旨を広告すること(例:「〇〇病院よりも~~な治療を行います!」「〇(タレントや著名人)が通う動物病院です!」)。
2. 誇大広告
事実を不当に誇張したり、飼育者を誤認させる広告を行うこと(例:「効果抜群の〇〇を提供します!」「〇エリア最大級の動物病院です!」)。
3. 費用に関する広告
提供する獣医療に関する費用を広告すること(例:「業界最安値の〇〇治療を行います!」「〇〇治療を~~円から提供します!」)。
今回の獣医療広告制限見直しのポイント
今回の改正の主なポイントは以下の2点です。
【1】獣医師の専門性、経歴の広告が可能になったこと(ただし、農林水産大臣の指定するものが認定した専門性に限ります)。
【2】様々な診療行為の広告が可能になったこと(ただし、「問い合わせ先」「主なリスク、副作用」「診療の内容」「費用」の併記が必要です)。
今回の改正は、規制を厳しくするものではなく、むしろ緩和された内容と言えます。獣医師には正確かつ適切な情報提供の努力義務が課せられた上で、自院からの適切な情報発信が推奨されています。
獣医療広告ガイドラインに違反した場合、50万円以下の罰金、業務停止、獣医師免許の取り消しといった罰則があります。そのため、速やかに広告やホームページの見直しを行い、効果的な情報発信を行うことが重要です。
船井総研の経営相談
今回の獣医療広告ガイドラインの見直しは、
動物病院の集患戦略・ブランディング・経営の方向性に大きな影響を与える改定です。
改正内容を正しく理解し、ガイドラインを遵守したうえで効果的な情報発信を行うことができれば、
新規患者の獲得・既存患者の定着・経営改善に繋げることが可能です。
もし今、
● 「何から手をつければいいかわからない」
● 「やるべきことは見えているが、優先順位が決まらない」
● 「やりたい取り組みはあるが、実行まで至っていない」
こうしたお悩みをお持ちでしたら、
ぜひ一度、動物病院経営専門のコンサルタントが在籍する船井総合研究所にご相談ください。
当社では、今回のガイドライン改定を踏まえた具体的な対策はもちろん、
貴院のビジョンや診療方針に合わせた、実行可能なマーケティング戦略をご提案いたします。
現在、
● 動物病院経営に関する無料個別相談
● 広告規制対応を踏まえたホームページ診断サービス
もご提供しております。
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船井総合研究所は、貴院の経営課題の解決と、持続可能な発展を全力でサポートいたします。
正しい情報発信を通じて、地域から信頼される動物病院経営を共に実現してまいりましょう。
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