◆開催日時:2020年10月19日(月)
◆講師:船井総合研究所 熊谷 敬徳
◆演題:「成長ステージに合わせた人事制度解説セミナー」
講座「成長ステージに合わせた人事制度解説セミナー」
本日の内容は「成長ステージに合わせた人事制度解説セミナー」でございます。
人事評価制度とは
まず、人事評価制度とは何かというところを確認していきます。二つ要素がございます。まず一つ目、評価を通じて、社員の成長や人間形成を促進させていく仕組みの人材育成の側面です。
そして成長に対して昇格・昇給・賞与で承認する仕組みの処遇を決めていくということです。
この二つの要素が、人事評価制度にはあります。そのため、人事評価制度がしっかり機能している状態というのは、この人材育成の部分と処遇決定の部分がうまく連動している、機能しているということが重要になります。
会社の成長ステージ
本日は、「成長ステージに合わせた人事制度解説セミナー」というところで三つの区分に区切ってお話させていただきます。
まず一つ目、規模が大体5名ぐらいから20名ぐらいの、いわゆる社長中心の組織であって2階層になっています。
これは、社長と以下社員です。大きい小さいが、いい悪いというわけではないのですが、ここでは小規模ステージというふうなかたちでくくらせていただいております。
このような会社様における評価制度構築のポイントとは、非常にシンプルに作っていくのが重要になります。
特に、等級制度と評価制度の部分は、構築していただくといったことがいいのではないかなと思います。
のちほどご説明しますが、がっちりとした賃金制度、また処遇制度といったものは、そこまではこの段階ではしなくてもいいと思います。
どちらかというと、先ほど申し上げた人材育成の意味合いということを非常に強化していただいて、評価制度というところをしっかりとまわしていくというところが、こちらの小規模ステージにはおすすめです。
続いて二つ目、規模20名から70名の会社様というところでいきますと、管理職の方も何人かでてきて3階層です。
いわゆる社長がいて、部長陣の管理職がいて、その下に社員がいるようなイメージです。
小規模から企業へ、家業から企業へといったようなかたちで、組織化が必要になります。
のちほど説明しますが、ここになってきますと、2軸といったキャリアプランをひいて、賃金制度と処遇制度を明確化していくことが必要になっていきます。
続いて、規模70名から100名以上というところになってきますと、管理職の方も多数になって、4階層になりまして、社長がいらっしゃって、部長がいて、課長がいて、その以下社員というところです。
ここでは、組織強化ステージと呼ばせていただいております。構築に関して基本的な内容は、小企業から企業ステージに移行する会社様とほぼほぼ同じだと思います。
しかし、新しい働き方の多様化で、時短社員等々のいろいろな働き方を認めるような制度というのは、人事評価制度とは別に、就業規則等に付与していく必要があると思います。
そのため、小規模ステージでは、等級制度や評価制度はシンプルに作っていくということです。
一番多いと思うのですが、小規模だったところから会社が成長して企業化していくステージというところについては、より一層賃金制度、処遇制度を明確にしていくことが重要です。
そして、より大きな会社様については、基本的には内容をブラッシュアップしながら、今の世相に反映した規定をプラスしていくというのが、人事制度を構築していくうえでのポイントになってくるというところです。
人事評価制度を構成する4つの制度
では、人事評価制度を構成する四つの制度というふうなところで、構築しなければならない四つの制度についてご説明させていただきます。
まず、人事評価制度のことを申し上げますと、この四つから成り立っております。
一つ目、等級制度です。これは、等級、役職、また役割を明文化した制度になります。
二つ目が賃金制度です。これも、分かりやすいのですが、また職能給や諸手当等を明文化した制度です。
三つ目が評価制度です。これは、定性や理念の部分、実務やスキルや職種別に問われるものなどを基準化した制度になります。
四つ目に処遇制度です。この等級制度、賃金制度、評価制度といったものを連動させる仕組みの制度です。昇降給、昇降格または昇給、降給等の処遇への反映のための制度です。
この四つを一つずつ各ステージに合わせて、こういうのが必要だというところをこのあとにご覧いただきたいと思います。
等級制度の構築―組織図の整理
まず等級制度についてお話しさせていただきます。
この等級制度を構築するにあたって、これは、どのステージにも該当するのですが、組織図を整理していただきたいです。
この組織図とは、いまの現場の組織図だけではなく、3~5年後にどうなっていくかというふうなことを明確化していただきたいです。
そこの将来性を明確化したうえで、将来必要な役職というものが分かってきますので、特に、小規模ステージにいらっしゃる会社様においては、現状で将来もあまり変わらないという場合であれば、それで結構だと思います。
しかし、小規模ステージから企業ステージへというふうなかたちで会社が成長していってる、将来成長させていきたいというふうな会社様においては、3~5年後といったところに合わせて、評価制度を作っていかなければ、すぐに精度の劣化が始まっていきますので、ここの部分は非常に重要になります。
また、組織強化ステージというところでいけば、組織改編等々に合わせて、大きく変更する場合は、それに合わせて等級制度の立て付けというふうなものも変えていかなければならなくなってきますので、まずいったんはどのステージにも共通して、この組織図といったものを整理していただければと思います。
等級制度の構築―2 軸のキャリアプラン
続いて、等級制度の構築でございます。こちらの左側を見ていただきますと、下から1、2、3、4、5等級というかたちで設定しております。
この1、2、3等級のジュニアスタッフ、スタッフ、シニアスタッフというところについては、いわゆるベーシックなステップ、ようは一般社員のステップになります。そこから、マネジメントコートとプレイヤーコースに枝分かれしていくというふうな設定を行っています。
こちらは、まだ小規模ステージの会社様においては、この左側のプレイヤーコースは作らずに、こちらのマネジメントコースのように作っていただいたらいいのかなというところでございます。
しかし、小規模から企業ステージへと変わっていただく会社様においては、昨今、マネジメントコースに進みたい方と、それともプレイヤーまたは専門職というふうなかたちでやりたいという方を受け入れていく必要が出てきているところです。
私も、こういったかたちの二軸のキャリアプランを作ることが一番多いのかなというところです。
これを同様に、70名以上の組織強化ステージの会社様においても、まだこのプレイヤーコースを導入していない会社様は、新しく作っていくことにより、マネジメントに進むだけではなく、それ以外のコースやそれ以外の働き方を認めるというかたちで等級を設定していただけるといいと思います。
そもそも等級設定というのは何かというと、皆様の会社における社員のレベル分けというところで考えていただければ結構でございます。
イメージとしては、1等級は、入社したての社員で1年ぐらいの滞在、2等級というのは、1年以上経って、仕事覚えて、ある程度自分の担当の業務とか、ルーチンの業務をやっているレベルが2等級です。
3等級は、基本的な業務やルーチンの定型業務とかを全てマスターしたうえで、少し応用の対応ができるという、ようは一人前と呼べるような方です。
それをシニアスタッフというふうなかたちで位置付けしております。
あとは役割に応じて上に上がっていくというふうなかたちなのですが、そのようなかたちで社員のレベル分けというふうなものを行うのが、この等級制度です。
等級制度の構築―等級要件の設定
そして、等級制度を設定したあとは、その等級に求められる要件というのを設定する必要があります。
こちらにおいては、ジュニアスタッフでしたら何をやってほしいのか、スタッフだったら何をやってほしいのか、シニアスタッフだったら何をやってほしいのかというふうなところを明確化しているということです。
そして、ここでマネジメントコースに進む場合は、チームの損益管理やグループの損益管理というふうなものをやっていただきますということです。
そして、プレイヤーコースを設定した場合も同様です。
エキスパートまたはエグゼクティブというふうな方には何をやってもらうのかというふうなところを明確化して、自律的に行動し自分の担当する業務で高い成果を出すことができるといったことや、エグゼクティブだと、会社の実績に大きな影響を与えることができるといったかたちで、等級要件というふうなものを設定していく必要がございます。
人事評価制度を構成する 4 つの制度
続いて、賃金制度についてお話ししていきたいと思います。
賃金制度構築―賃金制度の設定:基本給
賃金制度については、こちらの表にありますように、先ほど作った等級制度に合わせて、賃金設定を行っていきます。
小規模ステージの会社様は、プレイヤーコースというものがなければ、1、2、3、4等級までがベーシック、そして、5、6、7、8というふうに設定したところがマネージャーになるという1本のコースでもいいかとは思います。
しかし、プレイヤーコースを設定した会社様においては、このプレイヤーの等級も、お給料を分けていくという必要がありますので、これを等級号俸制というのですが、こういったかたちで整理していきます。
賃金制度構築―賃金制度の設定:役職手当
そして、役職手当についても同様です。リーダー、チームリーダー、マネージャーは何等級以上の条件で、いくらなるということです。
ここでは小規模から企業ステージへのところでチーフマネージャーでも、1、2、3レベルに分けていくということをしてるのですが、これはいろいろな会社様運営形態があります。同じ店長という名前なのですが、拠点を任せるというか拠点がいくつかあって、そこの拠点の人数が違うというふうなことであれば、手当に段差をつけるというふうなかたちも、やり方としては非常に良いというところです。
ここで注意しなければいけないところは、会社の都合で大きい人数の店舗から小さい人数の店舗に移動したときに、役職手当を下げるのか下げないのかといった問題になってくると思うのですが、基本的には会社の都合であれば変更することはしてはいけないと思いますが、本人の能力というところであれば、変更せざるを得ない合理的な理由になるかなというところです。
何が言いたいのかというと、状況に合わせて、例えば一つの役職でも三つのレベル分けをするなど臨機応変に作っていくということが重要になってまいります。
賃金制度構築――賃金制度の設定:賞与の設定
続いて、賞与の設定です。
賞与については、所定内賃金かけることの個人の評価の係数と部門の評価の係数、こういうものが掛け合わさって、算出するというのが一般的です。
基準になるのは、所定内賃金が多いのですが、所定内賃金かける1ヵ月分なのか0.8ヵ月分なのかというふうなところが、会社の半期の実績によって決めていくというところです。
そして、今の時代、賞与の仕組みというところが、1ヵ月分を夏は必ず出すといったことや、1.5ヵ月分を冬は出すといったように、月数を確定しない制度のほうがいいかと思います。
何がいいたいかというと、昨今、業績を維持するのも難しい業界もあります。
したがって、その時の半期の業績に合わせて、賞与原資というのも本来変わってくるはずです。
そのため、賞与原資内で配分ができるようにということです。
お示ししてるような仕組みでいきますと、所定内賃金が0ヶ月から2ヶ月分というふうなかたちで変動するというふうなことがありますが、ようは賞与原資の大きさによって0.8ヵ月や0.7ヵ月や0.5ヵ月に変動するということです。
また、賞与は評価結果も部門の達成度というのも加味しますが、全社の業績によっても基準の額というのは変動するというかたちでお示ししている仕組みになっています。そのようなところを明文化するということです。
人事評価制度を構成する 4 つの制度
続いて、評価制度ですが、こちらに書いてあるように、定性や理念の部分と、実績や実務の部分を基準化していくというふうなものを組み合わせた制度になります。
評価制度構築―経営理念・行動指針の設定
弊社の事例でいきますと、このようなかたちで、創業者精神のうえに経営理念、経営ビジョン、行動指針というふうなかたちで、船井総研が大事にしたいことを言葉に落とし込んでいっています。
この経営理念、行動指針の設置というのは、どのステージの会社様においても、一番重要な部分になってくると思います。
もはや小規模ステージの会社様においては、その理念にとった行動がとれているのかというところで、評価項目が、この経営理念の行動指針の部分だけでもいいと思います。
弊社は、このようなかたちで、創業者の精神で、よく働き、よく稼ぎ、よく学びというふうなところから、経営理念としては、明日のグレートカンパニーを創る、それを実現するには世界一自由な会社であるべきだと、行動指針としてはというかたちで導き出しております。
また、ロゴ変更が、今から7年前にあったのですが、会社として組織体や組織図が今後の進め方で変わるというタイミングで、評価制度というものも見直しています。
評価制度構築―評価シートの作成:分類
そして、評価シートの作成の部分に入っていくのですが・・・
※ セミナーの講演録と当日使用したテキストをダウンロードいただけます。