◆開催日時:2020年4月21日(火)
◆講師:船井総合研究所 宮花 宙希
◆演題:「中小企業も対応が必要!働き方改革&労務対策セミナー」
日本の働き方改革法案の狙いとポイント
本日は、今後の法律改正についてのポイントや、働き方改革関連法案によってどういったことが中小企業で必要になってくるかということをご説明させていただきます。
また、新型コロナの影響によって働き方がリモートやテレワークなど、様々な企業で進んでいくかと思われますので、その辺りにも触れてお話ししてまいりたいと思います。
また実際に船井総研でどういった取り組みをしてきたかという事例も交えながらお話させていただきたいと思います。
最初は法律改正についてということで、日本の働き方改革の進めるポイントにおいて、1つ目に「1億総労働化」ということがあります。
日本の国策におけるテーマは、少子高齢化で人口が減少していく中でいかに労働力を確保していくかということになってくるかと思います。
実際に働き方の多様化や、様々な方が働けるように国としてどう法律を整備していくかという動きがあります。
2つ目に「同一労働・同一賃金での賃金引上」ということです。
生産性を上げるために同一労働・同一賃金、同じ仕事をしている方には同じ賃金を支払うという施策が動いております。
3つ目に「時間管理と規制による生産性向上」です。日本は他の欧米諸国に比べても休みが少ない、残業時間が長い等、生産性が高くないという問題があります。
特にここ数年、残業や過労死といった問題がメディアでも取り上げられているかと思いますが、この時間管理と規制によって生産性を上げていくということが日本におけるテーマの一つとして掲げられています。
働き方改革関連法案施行スケジュール
実際に法律改正について国が出しているデータも交えながらお話したいと思います。
「働き方改革関連法案施行スケジュール」ということで、こちらは労働局が出しているデータですので詳細はホームページ等でご覧いただけます。
1つ目に時間外労働の上限規制として、大企業は2019年の4月1日からすでに始まっておりますが、中小企業も2020年4月1日にスタートしております。
特に時間の問題、労働時間状況の客観的な把握が特に求められる点になりますので、ご確認いただきたいと思います。実際にご説明をしてまいりたいと思います。
見直しの内容
見直しの内容を7つ書かせていただいております。
1つ目に「残業時間の上限を規制します」。
今までも未払い残業等がテーマで上がってきますが、残業時間に上限を設け、それ以上働くことを認めないという内容になります。
特に大事な点といたしまして③の「1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を義務付ける」ということです。有給休暇の消化率などは採用においても重要なポイントになってまいりますが、法律によって働いている期間によって付与される有給休暇が決まっていますので、その中でも5日間は取らなければいけないということになります。
⑤「労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務付けます」。これは管理職等も含めて実施します。
労働時間の状況を客観的に把握するということがポイントになってきます。
実際に会社によっては時間の管理をタイムカードなどで、手書きで締め日にまとめて提出や、毎日決まった時間に出社し、毎日決まった時間が帰社時間になっている等あるかと思います。
しかし、そこに客観的な要素がないと労働管理ができていないということになってしまいますので、ご注意頂ければと思います。
残業時間規制について
「残業時間の上限を規制します」という①に関してこちらのページをご覧いただければと思います。
今まで左側に書いてありますように法律上は残業時間の上限がありませんでした。
就業規則で決めてある所定労働時間を超えた分に関しては割増で残業代を支払うことが必要でした。
それが改正に伴い、法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなります。
この右側の絵に赤文字で、残業時間の上限、月45時間、年360時間と書いてあります。
残業時間の条件というのは原則として月45時間、年360時間という基準が設けられますので、こちらに注意しながら、超えない範囲で労働管理をしていく必要があります。
もちろん残業時間を超えない遵法、法律を守るということ自体重要です。
しかし実態把握ができていないということ、管理ができていないということ自体が企業にとって大問題になります。
また、労働時間をしっかり管理できないということは今まさにリモート勤務を進めよう、テレワークを進めようといった際に適切な施策が今後打てなくなってしまうといった問題がございます。
ここはしっかりと法律の内容を確認し、破らないように注意していただきながら進めていただきたいと思います。
同一労働・同一賃金について
続きまして、同一労働・同一賃金に関してです。
皆様の会社で働く社員の方の雇用形態、例えば正社員のほかにパートタイム、有期雇用、契約社員等様々な雇用形態があるかと思います。
基本的には同一労働・同一賃金ということなので同内容の業務を行っている場合に関しては、基本給や昇給に関しても同じルールに基づいて行う必要があります。
また、ボーナスに関しても・・・
※ セミナーの講演録と当日使用したテキストをダウンロードいただけます。