今、新規事業として農業参入を検討する企業が増えています。地域貢献やCSR(企業の社会的責任)といった観点から、農業は新たなビジネスの選択肢となりつつあります。しかし、農業参入には多くの課題が存在します。
例えば、
「どの立地・規模で何を栽培するのか」
「そのための必要な技術は」
「立ち上げ何年で事業計画はどうなるのか」
といった多くの壁に突き当たります。
そこでご提案したいのが、『体験型いちご農園への農業参入モデル』です。日本において、いちごは数少ない成長市場の一つであり、高収益な農業参入ビジネスを実現するための最適な商材です。専門的な人材が不要で、異業種からの農業参入も可能ないちご農園ビジネスについて、詳しくご紹介します。
なぜ「いちご」なのか?
数ある農産物の中でも、いちごが新規農業参入に適しているのには明確な理由があります。
まず、いちごは主要な果物の中で消費が安定している数少ない品目です。総務省の家計調査年報によると、一世帯あたりの果実全体の年間消費額は横ばい傾向にある中、いちごは消費額が5年以上連続で増加しています。さらに、小売・卸売価格も年々上昇しており、特に地域特産品のブランドいちごは販売価格が安定して高い傾向にあります。
次に、いちごは他の果樹系フルーツ(りんご、みかん、桃など)に比べて、育成から販売までのサイクルが非常に速いのが特徴です。水耕栽培を利用すれば、約1年で販売を開始できるため、早期に収益化を図ることができます。
最後に、いちごは「映えるフルーツ」としての魅力を持っています。近年、多くのホテルや飲食店で「いちごフェア」が開催されるなど、いちごはスイーツ業界で高い注目を集めています。その見た目の華やかさからSNSなどでも人気が高く、ブランド価値も高まっています。
ビジネスモデルのポイント
このビジネスモデルは、卸売ではなく「いちご狩り」を中心とした直売モデルです。これにより、高収益を確保することが可能です。
いちご狩りを導入することで、1月から5月にかけてファミリーやカップルの集客を見込むことができます。これにより、10アール(約1,000平方メートル)あたり年間700万円前後の売上を目指せる上、収穫作業の人員を削減できるため、省人化も可能です。
また、自社で生産したいちごを使った加工品の製造・販売も重要な収益源となります。余ったいちごは冷凍保存し、年間を通してジャムやスイーツに加工することで、フードロスをなくし、粗利の確保やブランド価値の向上に繋がります。加工品には、プリンや大福、クラフトビールなど多様な選択肢があります。これらの事業を付加することで、いちご狩りのオフシーズンでも集客や収益を確保し、1拠点あたり年間3億円の事業へと成長させることも可能となるのです。
事業参入のポイントとステップ
いちご農園単体で、売上高8,000万円、営業利益2,600万円程度を目指すことが可能なモデルです。ただし、農業参入にはハウスの製造費や修繕費など、まとまった初期投資が必要です。
広さ30アールの場合:初期投資は4,000万円から5,000万円が目安です。
広さ90アールの場合:初期投資は9,000万円から1億2,000万円が目安です。
投資額はかかりますが、観光農園として魅力的な施設を構築することで、投資に見合った集客と収益が期待できます。また、農園の面積を広げるほど、結果的に人件費率を抑えられます。
この農業参入ビジネスを始めるにあたり、専門的な人材は必要ありません。実際に運営しているいちご農園での現場研修を受けていただくことで、未経験者でも十分に事業を運営できるようになります。農業参入から黒字化までは、1年目に研修とハウスの建築・作付けを行い、2年目より観光農園を開園することで可能です。
この農業参入ビジネスを成功に導くために、船井総研では専門のコンサルティングをご提供しています。農業参入事業の実現可能性を判断するための市場調査や、売上目標に合わせた投資計画の策定、必要なパートナー企業の選定を行います。また、パートナー農園での栽培研修、売上につながる効率的な農園設計、さらにはオープン前の販促活動やオープン後の運営安定化まで、一貫してサポートいたします。貴社の農業参入事業の成功を、私たちは全力で支援します。
執筆者: 地方創生支援部 食品ユニット マネージャー 中野 一平 なかの いっぺい |