人材ビジネスの成長戦略:補助金活用で新規事業を成功に導く

事業再構築補助金とは
まず、事業再構築補助金は、事業者の事業再構築を支援するための制度であり、返済不要の給付金です。この補助金は、中小企業等が経済社会の変化に対応するために、新分野への展開、事業転換、業種転換、事業再編などを支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。補助金は、融資とは異なり、返済義務がないため、事業者は資金調達の手段として積極的に活用を検討すべきです。
補助金の種類と特徴
国内には、地方自治体が発行するものも含めて2万を超える様々な補助金が存在します。これらの補助金は、対象経費、補助率、補助上限金額が異なるため、常にアンテナを張り、自社の取り組みに合致する補助金情報を収集する必要があります。補助金は、大きく分けて【汎用型】と【テーマ/流行型】の2つに分類できます。
•汎用型:
◦様々な用途に使える
◦公募が複数回にわたり行われるため、将来の投資計画のあてにできる
◦例:ものづくり補助金、事業再構築補助金
•テーマ/流行型:
◦政策に大きく影響を受ける
◦政府が伸ばしたい分野へ予算が振られるため、指定された分野は成長がほぼ確実
◦例:DX関連の補助金、グリーン・脱炭素関連の補助金
事業再構築補助金の詳細
事業再構築補助金は、特に人材ビジネスにおいて重要な補助金の一つであり、新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編といった事業再構築を行う際に活用できます。申請できる枠(事業類型)には、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、産業構造転換枠、成長枠、グリーン成長枠、サプライチェーン強靭化枠などがあります。これらの枠は、それぞれ対象となる企業の条件や補助上限額、補助率が異なります。補助対象となる経費は、建物費、機械装置費、外注費、専門家経費、広告宣伝費、研修費など多岐にわたります。人材ビジネスにおいては、特に「物価高騰対策・回復再生応援枠」と「成長枠」が活用しやすいと考えられます。
スケジュールと注意点
補助金の申請から交付までの流れは、以下のようになります。
1.申請
2.採択
3.交付申請
4.交付決定
5.発注
6.納品
7.実績報告
8.確定審査
9.確定・振込
10.5年間の事業化状況報告
注意点として、補助金は後払いであり、交付決定前に発注することはできません(事前着手を除く)。また、補助金で購入した設備は、他の目的に使用したり、自社以外で利用することはできません。
人材ビジネスにおける事業再構築補助金の活用事例
人材ビジネスにおいては、事業再構築補助金を活用して、以下のような事業展開が可能です。
新市場進出・事業転換・業種転換
•人材派遣業者が、接客で勝負するベーカリー事業へ参入する
•製造業向け人材派遣業から、自社工場での組立・検査工程の請負事業への挑戦
•人材派遣からシュークリームの持ち帰り専門店への新分野展開
•人材派遣会社による個別指導塾FCへの業種転換
•人材の力を活かして、人材派遣業がこだわりの焼肉店へ業種転換
•人材派遣・芸能部の強みを生かした越境EC販売支援事業への参入
•人材派遣業からの転換による不動産業者向けWEBシステムの開発
•人材派遣業から、技能実習生の入国後研修センターへ新分野展開
•職業紹介業からリラクゼーション業への業種転換
•人材紹介から整理収納グッズの企画開発・販売を行う卸売業への転換
•人材紹介会社の成約ロスを削減するプラットフォーム構築で事業転換
•美容事業者が行う、美容師人材に特化したキャリアコンサル型人材紹介事業
•飲食業からサービス業特化型の人材派遣事業・有料職業紹介事業への業種転換
•業界初!士業がエージェントとなる人材紹介プラットフォーム事業
•子育てママに優しい地域密着型内職斡旋事業への業種転換
•タクシー業界60年以上の顧客基盤を活用した、人材紹介業への挑戦
社内内製化・新規事業構築
•今まで派遣していた人材や、人材紹介事業で獲得しうる人材の得意分野を活かして、社内にて内製化、新規事業を構築するパターン
システム関連
•派遣スタッフ定着促進アプリ開発によるアプリサービスの展開
•勤怠・給与・労務管理ができるアプリを用いた派遣業界の課題解決
•GX人材紹介における省人・高速化実現のAIプラットフォーム開発
•国内の人材紹介業界の中小企業が「ダイレクトリクルーティング」に取り組むことができるようになるシステムを開発・展開する事業
•新たにマッチングシステムを構築しシニア人材紹介サービスを展開
これらの事例から、人材ビジネスの企業は、既存の事業で培ったノウハウや強みを活かしつつ、新たな分野に進出したり、業務効率化を図ったりするために、事業再構築補助金を有効活用できることがわかります。
新規性に関する要件
事業再構築補助金では、「製品の新規性」と「市場の新規性」が必須となっています。
•製品の新規性:既存事業から容易に製造/提供できる製品/サービスではないこと
•市場の新規性:既存事業と異なる市場であること(既存事業の顧客を奪わないこと)
例えば、介護人材に特化した人材紹介会社が、保育士に特化した人材紹介を行う場合、必要資格が異なるため市場の新規性を満たしますが、サービス自体は人材紹介なので製品の新規性は満たしません。一方、介護に特化した人材派遣会社が、介護の人材紹介事業を行う場合、市場の新規性は満たしませんが(どちらも人材不足の介護事業者を対象とするため)、人材紹介事業と人材派遣業は異なるため、製品の新規性は満たします。しかし、介護に特化した人材派遣会社が、保育士の人材紹介事業を行う場合、どちらの新規性も満たします。
また、人材派遣業者がベーカリー事業に参入する場合や、製造業向け人材派遣業が自社工場での請負事業を行う場合も、サービスと市場の両方の新規性を満たします。
人材ビジネスにおける成長枠
職業紹介業・労働者派遣業は共に成長枠の業種に指定されているため、新規参入も多いです。このことは、人材ビジネスが成長分野として認識されており、事業再構築補助金の活用によって、さらに発展する可能性を示唆しています。
採択結果分析と採択のポイント
過去の採択結果を見ると、事業再構築補助金の採択率は、公募回によって変動しますが、平均すると約45.9%となっています。船井総研グループ企業の採択率は82%と非常に高い水準を誇ります。
不採択になりやすい事業計画書
•客観的データを入れていない
◦競合や世の中の時流の変化を踏まえていない
•当たり前のことしか書いていない
◦例:設備を導入すれば効率があがるのは当たり前である、という点についてしか書かれていないケースが多い
採択に至るためのポイント
•独自性と自社の強みを生かすこと
•事業再構築補助金の申請は年度内に検討することがベスト
•採択実績が多数ある専門家に依頼することで採択の可能性を高めるのが良い
事業計画書を作成する際には、客観的なデータや市場動向を分析した結果を盛り込み、自社の強みを明確にして他社との差別化を図る必要があります。また、事業計画は現実的かつ実現可能性の高いものにする必要があり、補助金の検討時期を見極め、早期に準備に取り掛かることが重要です。
船井総研グループのサポート
船井総研グループは、過去12年間で527件、256億円の採択実績があり、補助金活用支援専門コンサルティング会社として、高い採択率を誇ります。特に、技術に強く、NEDOなどレベルの高い補助金にも対応可能です。
船井総研グループは、以下のようなサポートを提供しています。
•平均採択率82%の高い採択率
•採択までのサポート
◦万一不採択となった場合には、採択されるまで何度でも着手金無料(期限:3年以内)
•採択後のフォロー体制も万全
◦補助金をもらうまでに提出する書類は、採択決定後の方が多い
◦補助金を知り尽くした当社がお客様と並走し、受給に至るまで、採択後の書類に関するサポートも行う
補助金で参入可能な新規事業ソリューション
船井総研グループは、補助金を活用して参入可能な新規事業ソリューションとして、以下の例を挙げています。
•人材紹介事業
◦有料職業紹介登録を行い、紹介手数料を収入とするビジネスモデル
•高校生就職応援メディア事業(COURSE:コース事業)
•警備業(2号警備:「交通誘導請負」事業)
◦道路工事現場や駐車場などで、通行する人や車両の誘導を行う◦既存事業内での警備内省化によるコストカット
◦シニア活用を通じた社会貢献
◦社員の高齢化による契約満了時の再就業先
◦地域連携体制の強化
◦次期若手幹部候補の育成
◦足元商圏を中心に10億
・20億円規模で事業展開が可能な新規事業
これらのソリューションは、人材ビジネス企業が新たな収益源を確保し、事業を多角化するための有効な手段となります。
まとめ
人材ビジネス業界は、常に変化する社会情勢に対応していく必要があります。事業再構築補助金は、人材ビジネス企業が新たな事業展開や業態転換を図る上で、非常に重要な役割を果たす資金調達の手段です。補助金を活用することで、人材ビジネス企業は、新しい市場への参入、事業の多角化、業務効率化のための設備投資など、さまざまな戦略を実行に移すことが可能になります。事業再構築補助金の申請には、専門的な知識やノウハウが必要となります。船井総研グループは、豊富な経験と高い採択率を誇り、事業再構築補助金の申請から採択後のフォローまで、一貫してサポートしています。人材ビジネスにおける事業再構築を検討されている企業は、ぜひ一度、船井総研にご相談ください。
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