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企業情報
- 会社名 株式会社サインインホールディング
- 設立 1985年4月
- 従業員数 100名
- 事業内容 株式会社アート建工 注文住宅の設計・施工・管理、分譲住宅設計・施工・管理並びに販売、リフォーム工事の設計・施工・管理、不動産の売買・賃貸・管理・仲介、建築、土木工事の請負、建築及び土木工事に関する設計及び管理、街づくり(分譲地開発) 、トコスホーム(規格住宅)、マチリブ(建売住宅)の運営
ラシクスル株式会社 グループホームを検討、運営する人に開業から運営にかかわるサポートの提供
支援で得られた成果
- 住宅販売事業の多角化、新たな主力商品の確立
- 「土地活用」をベースに「街づくり」事業への本格着手
1.プロジェクトの概要
プロジェクト開始前の課題
- 人口流出、減少に伴う商圏の縮小、メイン事業の頭打ち
提供したソリューション
- それまでの主力事業「注文住宅」から「分譲住宅」へと事業の拡大、商品によりブランドを分け、予算別ですべての顧客をカバー。商圏地域全体の顧客化に成功
- 建設現場の属人性を排し、品質の均一化、効率よい外注を行い、現場のマネジャーの負担を減らすためのDX活用
- 土地活用の手段として「障がい者向けグループホーム」を手始めに高齢者住宅、保育園など福祉系の横展開を実施
- 急激な成長に伴う人材採用・育成が追い付かない部分を船井総研のコンサルタントが「サインインホールディングの営業戦略、事業部長」としてカバー
導入後の効果
- 新業態の開発で毎年130%成長
- 「山陰の福祉事業者」としての確固たる地位確立
2.プロジェクトの詳細
①分譲住宅への進出をサポート、分譲地域の売れないとされた前例を打ち破り、130%成長を実現したほか、利益率も改善
サインインホールディングは鳥取県米子市、境港市、鳥取市を中心に一戸建ての住宅を販売施工している工務店「アート建工」などを子会社に持つホールディングス会社です。
1985年に設立し、注文住宅を中心に地域密着で事業を展開してきましたが、地場を置く鳥取県は県民人口が60万人未満の日本で最も人口の少ない県で、人口の減少に伴い商圏が縮小してきたことから、メインの注文住宅に加えて、新たな事業を検討していました。
同社の代表取締役、魚谷氏が船井総研のセミナーに参加したのをきっかけに、支援が開始し、分譲住宅に進出することにしました。同社は以前にも分譲住宅を手がけたものの、当時の鳥取県は分譲住宅の比率が少なく、撤退した過去がありました。
船井総研が提案したのは「コンパクト分譲」大きな土地を買って大量に家を建てて、数年にわたり在庫を売り続ける従来の形ではなく、小さい土地を購入して小さな建売の分譲住宅をつくり、完成する前から販売して在庫の回転をよくしていくモデルです。
従来のものより土地の取得にかかる費用が抑えられ、かつ売り上げが立つまでの期間も短い、リスクも低くできる形です。
新たな取り組みを行う同社に対し、コンパクト分譲の他県での成功事例や失敗しがちなポイントなどを共有し、分譲住宅になじみのない地域での販路を開拓していきました。
かつて建売分譲があまり売れなかったこともあり、船井総研の話を聞いてうまくいくと思いながらも、さすがに建物がないうちから売れることはないだろうと魚谷氏は思っていましたが、実際に開始してみると、販売する建売分譲住宅の約90%が完成する前に売れるなど、高い成果になりました。
分譲住宅の成功は、同社の利益構造も変えました。注文住宅は初回接客~契約までに数カ月を要し、販売には担当者の経験やテクニックも必要ですが、建売住宅はすでに現物があるので、早ければ翌日にも売上が立つ可能性があります。完成しているものを案内するので、注文住宅に比べて営業も容易で、営業担当者が未経験者でも売りやすいほか、製造コストも抑えられるので、利益率が改善しました。
船井総研が初めての取り組みをする同社に強く伝えたのは「建売住宅は立地と価格が8割」注文住宅をメインに販売してきた会社は、どうしても買い手の着く前から建てる家は「モデルハウス」のつもりでつくってしまいがちです。しかし、そうなると価格が上がるか、価格を下げるためには立地の悪いところに建てることになり、建売住宅を求めるニーズと合わなくなってしまいます。
「この場所に建てるならば価格はいくら」と決めて、建てる家はそこから逆算して考えていく、そのような商品設計の形を提案しました。
ほかにも伝えたのが「成功事例を素直にやりきる」ことです。すでに成功している会社は多くの失敗を繰り返し今の形があるので、ほかの地域で成功している会社のやり方をそのまま真似したほうが、成功スピードも速く、確率も段違いに高くなる。自社のこだわりを一切捨てて、やるべきこと着実にこなしていくと勝手に結果がついてくる。初めての取り組みを行う同社に念押し、その通りに実行してもらいました。
②販売価格別でブランディング、地域の全価格帯をカバー。急成長をマネジメント、DXでサポート
分譲住宅の販売が伸びるのに合わせて、船井総研は注文住宅との棲み分けを提案しました。具体的には顧客の予算に合わせた、それぞれの商品のブランド化です。同社の一番の高価格帯商品が、完全自由設計の注文受託ブランド「アート建工」、次がイージーオーダーの「トコスホーム」その下が分譲住宅の「マチリブ」です。そのようにブランドを分けることで、顧客は選択が容易になります。予算に合わせて買いたい家を選べて、また会社は顧客の要望に沿って上や下の価格帯商品を紹介できるようになりました。
そのようにブランドを分けることで、同社の商圏の「家を買いたい人の全価格帯」をカバーすることができたのです。
分譲住宅と価格帯別のブランディングにより、同社は大きく成長しました。
平成28年は7.2億円だった売上は、130%成長を遂げ、令和3年の売上は40億円。令和2年度成長性・売上高伸び率(注文系ビルダー部門)で全国3位、令和2年度の着工数実績は鳥取県で2位、2019年度鳥取県着工棟数No.1ビルダーを獲得するなどしています。
※住宅産業研究所調べ
会社の急成長に伴い、必要になったのは人手です。人材の採用、育成が急務となりました。採用に力を入れると同時に、船井総研で業務の標準化を支援しました。属人化しがちな工事現場、施工現場の業務プロセスを見直し、業務におけるブラックボックスをなくし、業務プロセスの標準化を進め、個々の工事の状況が見えるようにシステム化しました。標準化ができれば分業もできるようになり、また外注も可能になりました。
売上拡大のブレーキになっている要因は「これ以上できない」です。自社で対応しきれないならば、工程を外注することで改善できます。そうして、人手不足のマイナスをかなりなくすことができたのです。
このほかにも、案件が増えることで現場で起こるようになったトラブル等に対し、事例の共有やケースの一元管理などにRPAやサイボウズを導入する」など、DX推進をサポートしました。
DX推進も、「そもそもDX以前に紙を使ってできないことは改善が必要」ということで、先述の属人化していた業務の標準化と合わせて力を入れて行っています。
また、実務は外注することである程度カバーできても、業務全体を統括する幹部やマネジャーは不足するので、船井総研のコンサルタントが事業部長の位置でメンバーのフォローやタスク管理を実施しました。
③障がい者福祉事業進出をサポート、「街づくり」の夢を支援
魚谷氏は、住宅事業以外にも「街づくり」にも関わっていきたいという意向がありました。魚谷氏の親戚の方に障がいのある方がいて、そのような人たちの働く場所や住む家をに困っているという話から、障がい者向けグループ住宅を販売する「福祉を目的とした土地活用」をしたいと相談を受け、船井総研はまずそのような需要があるか、事業として採用を行い進めていくべきかの下調べや、米子や境港の障がい者施設視察、事業者へのヒアリングなどを実施しました。
調査の結果、需要があると確信が持てたことから人員増を決定し、障がい者向けグループホーム事業に進出しました。障がい者福祉事業は横のつながりが強い業界で、実績のない事業者の新規参入が困難だったことから、まずは自社で建設を行い、そこに事業者に運営で関わってもらうことにしました。
そして「ラシクスル」という会社を設立し、事業をスタートさせたのです。
鳥取県の障がい者向けグループホームは、中古住宅を改修していたりと、質が高いと言えないものが多くありませんでした。そのため新築の建物で参入するというラシクスルの取り組みは、運営業者にも好意的に受け止められ、事業は軌道に乗り始めました。
現在「山陰の福祉事業者のほとんどはラシクスルの知り合い」と言えるほど、同社は強固な地位を築いています。
3.船井総研を選んだ理由
サインインホールディングの代表取締役、魚谷宗司氏は以下のように語ります。
「一般的にコンサルタントは、“仕事の型をつくる”“事業戦略を一緒に考える”といった形で、事業のひな型を作成し、組織に落とし込むところまで行うのが一般的な業務の範囲だと思いますが、我々と船井総研のお付き合いで言うと、もう少し細かいところまでお願いしています。
例えばマーケティングであれば、広告のひな型をつくるだけでなく、実際の広告の運用のところまでお願いをしています。
上流工程に当たる設計と、下流工程の運用をセットでお願いしているので、僕らはとても楽ができるのです。
分譲住宅であれば、建設、販売の仕組みをつくるところはもちろん、個別のマイクロマネジメントもお願いしています。たとえば「この物件が売れていない」となれば、「売るためにはどのような方針を立てるか」そして「この方針でいこう」となれば、次回の会議ではその進捗をチェックするというように、本来はこちらが内部でやらないといけないかもしれないけれども人手不足等で対応できていないマネジメントの部分をやってもらっているのです。
だから、コンサルティング会社とそれを受けるだけというよりも、もっと会社に入り気味という感じの関係になっています。
物事は決めてもやり切らなければ意味はないですから、やり切るところまで並走してくれている、この部分がとても助かっています」
4.担当者コメント
「魚谷社長は住宅販売、障がい者福祉もあくまでも“地域をよくしたい”事業を通じてまちづくりを行っていきたい“という大きなビジョンのための手段の1つと位置づけられています。街が魅力的になり、地域の人口が増えて、地価が上がれば街はさらに発展する、そして雇用を生み出し、かつて仕事がないからとこの地域を離れた人も、戻ってこられるような場所になることを目指す。そのような大きな夢を掲げられています。実現には10年、15年はかかるであろう壮大な計画です。
そのような社長の目指す「街づくり」をより高いレベルで実現するべく、現在はクリニック、歯科、病院の建築受注も進めているほか、駐車場、コインランドリーなどの提案もしていく予定です。
今後はより新たな地域への展開拡大をサポートしていきたいと思っています。
このほかにも、アート建工は山陰でナンバーワンの住宅販売会社を目指していますので、まずはそれを実現し、さらなる強固な地盤を築くためのお手伝いを、引き続きできればと思っています。
人口の少ない山陰ですので、採用できる人員には限りがあるとしても、人手不足が成長のブレーキにならないよう、さまざまな形でご支援していきたいと考えています」
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