はじめに
皆さんこんにちは。株式会社船井総合研究所、金融・M&A支援部です。本日は、財務分析の基本について5つのポイントを押さえて解説させていただきます。
まず、そもそも財務分析とはどういったものなのか、そして、財務分析には欠かかすことできない財務諸表について解説し、5つの分析方法を解説させていただきます。
1.そもそも「財務分析」とは?
財務分析とは、財務諸表を参考にしながら、企業の経営状況を財務的な側面から分析することです。算出された数値が業界内の標準値や同業他社と比較して適正な水準にあるのかをチェックします。財務分析を行うことにより経営上の課題を発見できる可能性もあり、数年間の数値の推移を分析することにより、会社の将来予測にも活用できます。
他にも企業に投資や融資を行う際の判断材料に役立てられます。
2.財務分析に欠かせない「財務諸表」とは?
財務分析に欠かすことできないのが、財務諸表です。財務諸表には貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3種類があります。貸借対照表には決算時点での資産や負債、純資産の金額が記載されており、バランスシートを略してB/Sとも言われます。貸借対照表を確認する際は、その年の数値だけでなく、過去数年の数値を比較して増減に注目することが重要です。
損益計算書には、一定の期間内における企業の業績が記載されております。略して、P/Lと呼ばれ、事業年度の一定期間での売上や経費について記載されているので、その企業が最終的にどれくらいの利益を上げたのかが確認できます。キャッシュフロー計算書は、どのような流れでお金が増減したのかが記載されております。こちらは、中小企業には作成義務はありませんが、上場企業には作成開示が義務付けられています。
3.財務分析の分類① 収益性分析
ここからは、5つの財務分析方法について解説させていただきます。一つ目は、収益性分析です。収益性分析は、企業がどれくらい儲かっているのかを調べる指標です。企業の目的で最も重要なことは利益を出すことです。収益性を見る場合、総資本利益率、自己資本利益率で確認でき、それぞれ保有している総資産、自己資本を効率的に活用し利益を埋めているかを確認するための指標となります。ここで効率的に利益を上げているのかを確認することがとても重要です。
4.財務分析の分類② 安全性分析
二つ目は、安全性分析です。安全性分析は、企業の借入に対する返済能力を確認することで、企業の倒産リスクを図るための指標として活用されます。ストック分析では、流動比率を確認することで、短期的な返済能力を確認します。流動比率は、すぐに現金化できる資産と1年以内の返済の必要な負債の割合であり、この数値が高いほど短期的な返済能力が高いと言えます。フロー分析では、キャッシュフロー計算書を用いて、一定期間内の資金の流れを確認します。営業、投資、財務の3つの側面から資金の流れを確認し、キャッシュの流入、流出の経路をしっかりと確認することが重要です。
5.財務分析の分類③ 効率性分析
三つ目は、効率性分析です。効率性分析は、企業の保有している資産がどれくらい有効に活用されているのか分析することで、資産のバランスが適正か、資産が利益につながっているのかを確認します。総資本回転率は、資産をどの程度効率的に活用できるかを示す指標であり、この数値が高いほど、少ない資本で効率良く利益を上げていると言えます。在庫回転率は、在庫の数が適正かを確認するための指標です。もし、在庫回転率の数値が低い場合、長期間滞留している在庫の可能性があります。ただし、在庫の適正数は業種により異なるため一概に高いから良い、低いから悪いという指標ではありません。
6.財務分析の分類④ 生産性分析
四つ目は、生産性分析です。生産性分析は、企業が商品を生み出すにあたり、生産諸要素を効率的に活用できているかを分析する指標です。資本、従業員の生み出す付加価値の割合を確認することで効率的な生産が行われているのかを確認します。
7.財務分析の分類⑤ 成長性分析
最後に五つ目の成長性分析です。成長性分析は、これまでの成長推移を確認することで、今後どれくらいの成長を見込めるのかを判断するための指標です。分析指標として、売上高増加率、総資産増加率が挙げられます。数値だけに着目するのではなく、企業ごとの事情を加味しながら売上や伸びを確認することが重要です。
8.財務分析をして経営に役立てよう
最後に、財務分析を行う上での注意点をお伝えします。財務分析には、様々な指標が活用されるため、その意味や違いをしっかりと把握した上で自社に合った数値を用いること、そして分析結果を自社の推移や他社と比較し改善できるポイントを考えることが重要になります。
今回は、財務分析のポイントについてご説明させていただきました。ご視聴いただきありがとうございました。