こんにちは、船井総合研究所の岡です。
今回は、戦略の考え方に関してお話をします。
戦略という言葉は皆さんもよく使われるのではないかと思います。
「戦略的ではないな」「もっと戦略的に考えろ」など、経営者の方もよく使われると思います。
しかし、正しい戦略を作っている会社や
正しい戦略の捉え方をしている会社をなかなか見たことがありません。
戦略の切れ味をよくすることをどのように実現できるかというと、
「戦略の切れ味はビジョン=ゴールの明確化で決まる」ということです。
これについて今回はお話したいと思います。
「戦略」とは何か?ビジョンとの違い
ではまず「戦略」とは一体何でしょうか?
「〇年後にこうなっていたい」「このくらいの売上高になりたい」という
自社が目指すものがビジョンであり、ゴールです。
そのビジョン=ゴールを目指す上で、そこへ行く道は幾通りもあります。
同じ山頂を目指すにも、北側を通っても南側を通ってもいいわけです。
「暖かい道を通りたいからこっちを通ろう」「人数が多いから広い道から行こう」など
道の選び方はさまざまです。
選ぶ道は自分たちの状況や戦力によって異なります。その道筋の選択が「戦略」なのです。
ビジョンに向かってどのように進んでいくかということが戦略です。
地域シェアや売上高をこのくらいとっていこうというビジョンが決まったとき、
それを分解して社員に「駅前だけシェアを取りに行こう」とか
「駅の東側の地域だけを取りに行こう」などと指示を出します。
これがはかりごと(作戦)であり、これを決めるのが戦略です。
そのため、ビジョンがはっきりしていない会社が戦略を立てられるわけはありません。
しかし実際に中小企業の多くではビジョンが不明確、
またはビジョンが社員に伝わっていないケースがよく見られます。
それでは効率的に勝つことはできません。
戦略とはビジョンの達成方法である
それでは明確なビジョンとはどういうものでしょうか?
例えば「社会に貢献していくような会社にしよう」というように、
「このようなことをやっていきたい」というものは使命やミッションと呼ばれ、
ビジョンとは異なるものです。
「いつまでに地域に売上を10%寄付できるような、社会に貢献する会社を作ろう」
「いつまでに利益をいくら出して社員の給料を倍増しよう」
というようなものがビジョンです。
ビジョンとは時間的なゴールや売上高や生産性、店舗数などの目標を
数字で示したものが望ましいでしょう。
なぜ数字がいいかというと、それは数字にはぶれがないからです。
気持ちや「頑張ろう」という意思は極めて定性的であり、
1頑張っても10頑張っても同じ「頑張っている」という評価になってしまいます。
そのため、「いつまでにこれをどれくらい実現する」など
定量的な目標値に数値化することが望ましいです。
戦略的な考えができる経営で重要なことは、未来志向です。
未来が見えない会社に戦略はあり得ません。
戦略というものは中長期のものであり、戦術は半年程度のスパンで取り組むもの、
戦闘というものは今日をどうするかというごく短期的なものです。
未来をイメージし、未来からの逆算で戦略を考える
まず未来にこうなっていたいというビジョンが決まれば、
写真やマインドマップなどを用いて視覚でイメージできるようにします。
そして戦略を決める際は、決まったビジョンから
逆算して考えられるように取り組まれるのが一番いい決め方です。
これができている会社とできていない会社では、戦略に差が出てきます。
現状からの積み上げ式でいくと、戦略になりにくいです。
手段と目的とよく聞きますが、行動が手段化してしまうのです。
切れ味の良い戦略は、とにかくゴールをすることを共有し、
そのためにはどのような作戦をするかを共有していかないと、
奇襲戦も正攻法もできません。
戦略とは“勝ち方のシナリオ”である
ビジョンを達成するためにこのようなシナリオで行こうとするとき、
様々な戦略がありますが、そこで重要なことがあります。
そもそも「そのビジョンは正しいのか」「その戦略は取るべきやり方なのか」ということです。
企業経営の場合は優位性を発揮して勝ち残らないといけないですし、
それがお客様への魅力に繋ります。
そのためには、競合に勝てるような商品や、
独自のターゲットや時間帯など、
他にはないやり方を見つけているかどうかが重要になってきます。
実行して勝ちが見込める正しいやり方なのかと問うことが重要なのです。
例えば、高齢者に絞ったカラオケやモーニングカラオケなど、細分化して特化したサービスです。
その例に、ドン・キホーテさんが挙げられます。
創業者の方が夜中に開店をして陳列などの作業をしていたら、集客活動もしていないのに
深夜に開いている店舗はそこしかなかったため多くのお客さんが来店したそうです。
いわゆる深夜マーケットです。
そして意識的に24時間営業にすることとなり、
それを意識した品揃えもしていったということです。
他にも、ポルトガル語のPOPがあったり、ブラジル人をターゲットにしたりするスーパーマーケットなどの
細分化して特化した企業例もあります。
要するに、周りにある一般的な大型店に勝てないのなら、
絞り込んだ時間帯やターゲットで競合に勝っていくことです。
戦略はわかりやすく単純化して実行度を高める
辿り着けそうなゴールやビジョンが見えてきた際に重要なのが、
社員全員にどのように落としこめるかということです。
経営者の方は、マーケットの成長率やライバル企業の存在、
売上高やシナリオなど様々なことを計画に入れて戦略を立てておられると思います。
そしてその戦略をもとにした戦闘レベルの作業を分解し、単純化して
社員一人一人にシンプルに伝えていく必要があります。
部門別管理をし、部門や部隊の役割を明確化することで作業を分業し、全体で大きな成果を出すのです。
単純な戦闘には、単純な戦術が良いです。
また、戦術自体はっきりしたものである必要があります。
戦術と戦略を合致していくことが重要です。
戦略というものは、いわゆるストラテジーというものであり、ミッションやビジョンに大きく影響を受けます。
例えば、「このような国や企業を作ろう」と掲げるミッションに対して、異なるPDCAを回すと現場の人は腑に落ちません。
そこで一番良いのは、経営者が脈々と受け継いだフィロソフィー(哲学)を
ミッション・ビジョンに言語化していき、そのためにこの戦略で行こうと提示することです。
通常、ビジョンを達成するために組織戦略やプロモーション戦略をこのようにするといった戦略に関しては、
経営計画の中で作成することが多いのです。
「こういうことをする」という経営計画の中に「そのためにはこれをやっていく」という戦略が出てきますが、
その上のレベルであるミッションやフィロソフィーなどは、
いわゆる理念本や「私たちが目指す取り組み」として明文化しておかないと、切れ味が良くない状態で浸透していくと思います。
ミッションやフィロソフィーは頻繁に変えるものではありません。
ただし、状況が変化していく中では、経営計画書や戦略を作り直すことがあるわけですが、
必要に応じて時流適応し続けることが重要です。
状況とは、市場の変化とライバルの動きのことです。
経営陣は、状況に合わせて一番効率的な戦略を考えるべきです。
まとめ
まとめますと、一番重要なことは、ビジョンを明確化するということ、
そしてそれを未来からの逆算で戦略に落とし込むということです。
そうしないと、戦略の切れ味は良くならないということです。
今回の話は以上になります。
ありがとうございました。