2021年のIPO市場の総括―過去10年のIPO市場の状況
さて本題ですが、2021年のIPO市場の総括に入ります。2021年は新規上場企業数が126社ということで、近年に比べて非常に多くの会社が上場しました。特に12月は約30社が上場承認されたということで、単月では過去最高だったのではないかと言われて おりますけれども、2020年以前は100社近くといっても実際90社前後でしたが、2021年は一気に126社というかたちで上場数が増えました。ですので、コロナ禍というところで皆さん様々な局面を迎えられていると思うのですけども、IPO市場だけに限って言いますとこの数字だけ見ると活況だったと言えるのではないかと思っております。126社が上場した背景として言われている部分でいきますと、まず一つが2020年はオリンピックイヤーということもあって上場企業数が増えるのではないかと言われていました。2015年ぐらいから上場準備した会社さんは、やはり2020年オリンピックイヤーをターゲットに経済も盛り上がっているだろうということで準備をされていた会社も非常に多いのですけれども、実際はコロナの影響もあって業績が少し伸び悩んだという会社さんも多かったこともあり、そのような会社さんが一期ずらして上場したというところもあって、2020年からずれ込んだため2021年は増えたという点と、もう一つが2022年4月から東京証券取引所が再編されます。それに伴って、若干上場の基準が上がるということもあって、その前に上場できる会社は上場しておこうといういわゆる駆け込み的な感じで増加するといった、それら2点の理由から2021年は多くなったのではないかと考えられております。
2021年に126社が上場したと言ってもほとんどの94社がマザーズへの上場というところになります。地方市場へは 2社とあるのですけども、こちらいずれも福岡証券取引のQ-Boardになります。
2021 年の IPO 市場の総括―2021 年新規上場企業の社長の年代
こちらは上場した会社の社長の年代をまとめてみました。2021年は平均年齢49歳で、マザーズは47歳というところです。60歳以上の上場の事例も非常に多いのですけれども、49歳~47歳が平均ということです。これらの上場した社長さんは、40歳になったタイミングぐらいで恐らく上場準備を考え始められたのではないかということがある程度想像できるかと思います。また、マザーズというとIT企業やITベンチャーのイメージを持たれている方も多いと思うのですけれども、そのような会社でも30代以下の社長さんは18%しかいないというところで、あとはもう40代以上、50代でも全然多いですし、60代も非常に多いというところです。ですので、若い経営者のITベンチャーにどんどん上場しているというイメージを持たれているかもしれないですけども、先程も少しお話したようにそれは先入観でして、実は社長の皆さんの年代というのはこれぐらいだというところになります。
〇2021 年の IPO 市場の総括―2021 年新規上場企業の業種
業種です。こちらのグラフの青い部分が44%で情報通信業です。いわゆるIT企業がほとんどを占めるかと思うのですけれども、それでも44%ですので、それ以外の業種も幅広く上場をしているというところです。2021年に限って言いますと、IT企業の数が例年よりも比率的には増えているという感じで見られているのですけれども、それでもまだまだ IT企業以外でも多くの会社が上場しているということが分かるのではないかと思います。
2021 年の IPO 市場の総括―2021 年新規上場企業の本社所在地
本社所在地です。やはり圧倒的に東京に本社を置いている会社が多いのですけれども、近年の特徴を言いますと、数年前まではあまりなかったのですけれどもここ数年は大阪や愛知が増えているという傾向がございます。それ以外にもスライドの右側にあるように、富山や岐阜、滋賀などからも上場企業が1社ずつ出ておりますので、様々な全国の会社さんが上場を目指されているということが分かると思います