(宮井)今回も田崎さんに「なぜその企業は100年も継続するのか」について
お話をお伺いしたいと思います。
5つポイントがあるということなんですけれども。
(田崎)私がコンサルティングでお世話になってる企業様は、
非常に100年、200年超える企業様が多いので、その付き合いの中から見えてきたルールとかをここでご紹介したいなというふうに思っております。
100年企業が実践する5つの持続的成長戦略ということで、皆さんにお伝えしていきたいと思います。
まず1つ目が、物を売らずに価値を売るというふうな戦略です
2つ目が、個別対応をするという戦略
3つ目が、在庫を持たないという戦略
4つ目が、家賃を払わないという戦略
そして、
5つ目が、人を雇わないという戦略
です。
この5つについて、回を追ってお話をしていきたいというふうに思っております。
(宮井)今回は1つ目の物を売らずに価値を売れというところでお願いします。
これは、まずどんな意味だと思いますか?
実をいうと前回100年企業の店主さんとかその息子さんは、遊びの中から社会とか世の中を勉強するみたいな話を前回させてもらったと思うんですよね。
じゃあ遊びの中からそういう世の中の変化を見つける、気づきをもらうというのはどんな気づきって言ったら、要するに新しい価値を世の中から発見をするということの勉強をしているという意味に捉えていただいたらいいかと思うんですよ。
例えば物を売らずに価値を売れっていうことをお饅頭という商品を例えるとすると、
要は例えばお饅頭の価値って何かっていった時には、
例えば戦後お饅頭の価値っていったらお腹がすいた時にお腹を満たす物っていう価値ですよね。
でもお饅頭が戦後落ち着いてきて、お饅頭屋さんがたくさん出てくると、美味しいお饅頭のお店にお客さんは行きたくなるからお腹を満たすという価値からいわゆる美味しいという価値に人の価値観って変化するじゃないですか。
それでお店を選ぶわけじゃないですか。
ただ単にお腹を満たす目的のお饅頭を売り続けるお饅頭屋さんは実をいうと潰れていくわけですよね。
そして新しい価値の美味しいお饅頭を作るお店が、生き残っていくということになるわけじゃないですか。
じゃぁ実をいうと現在美味しくないお饅頭売ってるお店ってありますかね?
もうないですよ。
(宮井)生き残ってなさそう。
(田崎)もうほどほどみんなどこのお饅頭も美味しいじゃないですか。
だから美味しいお饅頭作っても実をいうとお客さんは価値と感じてくれなくなってますよね。
(宮井)当たり前のベースになってるんですよね。
(田崎)そうなんですよ。
ですから今の時代は、どんな価値をつけていったらお饅頭が売れるのか。
でも売ってるものは相変わらずお饅頭なわけですよ。
何の変哲もないお饅頭を実をいうと時代に合った価値に変化させながら売り続けるのが大事で、要はお饅頭というものを売らずに時代とともに変化する価値、人の価値観に沿った価値づけをするということに慣れていかないと、20年・30年・50年・100年事業はやっていけないという。
人の価値観は変わるもんですからね。
(宮井)そうですよね。
ちょっと前だったら映えるお饅頭とかですかね。
インスタ映えするとか。
(田崎)今はもうおそらく今豊かな時代ですから、その価値は多様なんですよね。
人の好みは千差万別になってきてますから、例えば有名なお饅頭が買いたい欲しいっていう方もいらっしゃいますし、ラッピングが綺麗なお饅頭を買いたいというところもあるかもしれません。
今おっしゃられたようなインスタで映えるお饅頭を買いたいという、そういう価値を求めてる人もいるかもしれない。
最近そうですね、その映えるというところもそうなんでしょうけど、中にいちご大福ならぬ、例えばみかん大福とかマンゴー大福とか。
そのまま果肉を入れる大福ね。
ああいうものも売れてる様子ですし、すごく新しい価値創造を絶え間なくしていくっていうことが、やっぱり潰れないためにも大事で、いわゆるお腹を満たすという目的の価値、物質的な価値だけにあぐらをかいてると商流は変わってきますので、その価値観の変化に敏感に勉強して、世の中を見て、その価値観に合わせた価値付けをしていくということが非常に重要。
付加価値とそれをいうわけですけどね。
付加価値の良さっていうのは別にありまして、売れないものが売れるようになるというところもあるのかもしれませんけど、同時に実をいうと老舗企業が上手だなと思うのが、付加価値=粗利益なんですよ、実をいうと。
ですから何の変哲もない例えば原価50円のお饅頭が、
例えば普通の店頭で売られてたら100円で売ると、粗利が50円だとするじゃないですか。
でも例えばそれが綺麗なお店で、そして綺麗なラッピングで、教育が施されたスタッフで、
お使いにもするようなきれいな化粧箱にも入って、そして隣にカフェが併設されてて世の中の話題になっている。
そしたらその1個のお饅頭は100円ではなくて、500円の値段をつけても女性は欲しいって思うんですよね。
これが付加価値ですし、このあたりが老舗企業が実をいうとものすごく得意とするところですね。
付加価値の付け方が非常に上手。
実をいうと老舗企業だから質実剛健っていう無骨に美味しいものを安く提供するんだ、
私は原価50円で作ってそれを安く100円で売ってお客様に貢献するんだといってるかと思ったらそうではなくて、非常に付加価値の付け方が上手で、50円の原価のお饅頭を500円で、
もちろん男性にしてみたらバカ高い饅頭だなと思うんですけれども、
女性目線からすると500円のお饅頭って夢のようなお饅頭ですよね。
そういう夢を見させるという価値も老舗企業は非常に分かってらっしゃって、
付加価値づけが上手だななんてことをたまにたまに思いますね。
なるほど そういうことなんですね。
物を売らずに付加価値、価値をつけて売るということに慣れてる。
非常にそこらへん敏感上手ということが、100年続く企業からは得られるルールかなと思いますね。
(宮井)去年でしたっけ?とらやさんが洋菓子メーカーのピエールエルメとコラボレーションしたりとか、そういう取り組みが老舗なのにすごい進んでるんだなっていうのを。
店舗もおしゃれですしね、和のテイストで。
(田崎)ただ当然積極的な変化っていうのは褒め称えられるものかもしれないんですけども、物凄くリスクですよね。
新しいチャレンジがずっこけたら本当にやばいですからね。
(宮井)ブランド自体が変わってしまうっていうことも起こりますもんね。
でもそういうふうにリスクを取りながら、前に前に進まれてるっていうことですよね。
(田崎)そうです。
(宮井)なるほど、わかりました。
今回は5つの戦略のうち1つ目の「モノを売らずに価値を売れ」についてお話いただきました。
田崎さんありがとうございました。
(田崎)はい ありがとうございます。
(宮井)次回は「個別対応せよ」についてお話いただきます。
お楽しみに!