新規事業立ち上げの際に起こる問題
ビジョンを立て、収益性の高そうな 事業案が見つかったとしても、新規事業を進めるのは簡単ではありません。
初めて新規事業を進める道のりは険しく、厳しく、困難ということです。
本記事では新規事業を立ち上げるにあたりよく見られる問題とその実例とともに、
挫折しやすいポイントや新規事業を考えるための着眼点についてお伝えしたいと思います。
問題1:社内での意見の相違
私がある会社のご支援をしたときに、実際に起こったことです。
会長が70代、社長が50代で、新規事業、成長ビジョン作りをしようとしました。
成長ビジョン作りの中に新規事業も入れて行こうとした際に、会長と社長の間で議論がおこりました。
会長は
「今までの既存事業以外のことをやるなんて絶対うまくいかない。素人がやって成功するわけがない。
このコンサル費用は無駄だからお前が社長としてコンサル費用分だけ車を売って稼げよ、俺は知らないからな」
と言われ、会長と社長の間で大喧嘩が起こりました。
これを踏まえて再度、船井総研として
・なぜこのビジョン作りが必要か
・なぜ新規事業をやらなければいけないのか
ということを、長時間プレゼンテーションしました。
その結果、ご納得いただき最終的には腹落ちしてスタートしたのですが、このようなことが新規事業開発には起きるのです。
問題2:新規事業推進者の選定について

具体的には、企業コンセプトを設計するところがスタート地点です。
ここから新規事業案を洗い出していきます。
そしてよさそうな事業案が出てきたとき、それが会社のコンセプトと合うのかどうかを議論をします。
そして実際に事業をしている人にインタビューをしたり、フランチャイズであればFC本部さんのお話を聞いて評価を得ます。
そこからさらに社内で根回しをします。
社長や会長、新規事業推進者の間で、この事業を事前に確認した上で社内で決議がなされます。
この決議がなされたからと言って、終わりではありません。
次に事業推進者を選定しないといけません。
この事業推進者が非常に重要で、新規事業を成功させるためには、圧倒的に高い当事者意識を持った方がその事業を推進しなければ成功しません。
そんな新規事業推進者を選定するのに、また社内の根回しが必要です。
例えば、「この人なら新規事業をきちんとやる」という人が社内で暇なわけがありません。
当然既存事業の重要なポジションにいる方だと思います。
その方を、新規事業のメンバーとして引き抜かないといけません。
そのためには根回しが必ず必要になります。
「このメンバーを引き抜きたい、確かに痛手かもしれない、でもその代わりに別のメンバーを代わりに充てる。
そして社長である私が完全にバックアップします」
というように、色々な状況を見て根回しをして、正式に任命をしていきます。
問題3:物件探し
そして店舗ビジネスともなると、物件探しも必要です。
物件を探していくと「この物件で本当にいいのか、勝負できるのか」という話が出てくるので、 そこでまた根回しが必要になります。
実際に取得の決議がなされてから、フランチャイズビジネスであれば契約をし、設計施工があり、研修をしてオープンへと至るわけです。
各種の専門家を招いたカンファレンスの実施がおすすめ
いかがでしょう?このプロセス、面倒臭いと思いますよね。
長いです。
こんなに大変なのか。
そうです、大変なのです。
だから、多くの会社で新規事業をしなければと漠然と思っていても、実際には新規事業が立ち上がらないのです。
そこで、新規事業の専門家を交えたカンファレンスを実施するのがおすすめです。
様々な業種の専門館を招いて「この新規事業は実際どうなのか」を会議で協議し、速攻で結論を出します。
例えばコロナ以前は外食や観光宿泊分野などテーマや議論が特に多くありました。
これからのコロナ収束後は、そのほかも加えた事業案が色々と出てくると思います。
12カ月で新規事業を作る最短ルートは大変ですが、このタイミングで検討したほうがいいテーマです。
新規事業を作るタイミングはいつが良いのか?
先ほど画像でお見せしたこのルートには、脱落しやすいポイントがあります。
・コンセプトが立ち、事業案が決まってきたが社内での根回しができない
・事業推進者を選定できない
・物件が見つからない
そのような部分で脱落するケースが多いのです。
この道のりを上っていきましょう。
しかしその道のりの中には脱落しやすいポイントがあるので、しっかりと進捗管理をしていけるような仕組みを作っていきます。
そうすればうまく成功します。
どのような新規事業をやるべきなのか

「うちの会社が新規事業をやるとしたらどのような事業が良いの?」
という相談をいただくケースが非常に多いです。
「船井さんのセミナーで進め方のイメージもつきました。
ビジョンが大事なのも、よく理解いたしました。
ではうちならどのような事業が合いそうですかね?」
というような話です。
結論から言いますと、当然ですが「その会社に合った新規事業」は会社によって変わります。
我々は、今だったらこのビジネスがお勧めですよなど適当なことは言えません。
まずは、あなたの会社に合った事業を提案します。
例えばおいしいものが食べたいと言われた時、ラーメンを出せばよいのか、カレーを出せばよいのか分からないのと同じです。
おすすめできるものは状況によって異なります。
逆に言うと、状況さえ分かれば、ある程度新規事業候補は絞れるということです。
特に
・経営者としてのやりたいこと、むしろやりたくないこととは何なのか
・今やっている業種は何なのか
・その上で今の会社の規模、会社の強みは何であるのか
・異業種経験の有無
・多拠点展開経験の有無
1拠点でビジネスを展開してきた会社があるとします。
分かりやすい例は、コインランドリーです。
コインランドリーは複数店舗を展開しないといけないわけですが、複数店舗の運営は今まで拠点マネジメントをしたことがない会社からしたらハードルが高いと思います。
やるとしても無人で管理できるような業態をしたほうがいいです。
もしくは1拠点でおおかたの売上を取れるような事業をするべきです。
自社の経営資源を活用できる新規事業
新規事業にも活かせる経営資源があるかという転ですが、下記に各業種での例を挙げてみます。
事例:不動産仲介ビジネス
例えば不動産仲介ビジネスを手掛けている会社の場合、それによって培ったノウハウは、不動産以外にも使えるはずです。
結婚相談所も人材ビジネスも「仲介」のスキルを活かして展開できるということで、新規事業に繋がったケースもあります。
会社の強みというのは、どのような立地、土地を持っているのかという視点もありますし、どのようなノウハウを持っているのかという部分もあります。
事例:中古品の買い取りビジネス
ものを仕入れて、値決めをして、展開していく。
例えば中古車を買い取って売っていくようなビジネスを展開している車の中古屋さんと、空き家をリノベーションして売っていくビジネスモデルはノウハウとしては近かったりします。
そのような会社であれば、車事業をしながら空き家ビジネスをするというのも一つの方向性になります。
事例:フィットネスビジネス
フィットネスビジネスを手掛けている会社が、
フィットネスで接点を持ったお客さんに対してこだわりの食を提案するというビジネスもあります。
実際、先日上場したカーブスも売上はフィットネス事業だけでなく、プロテイン事業も大きな売上の柱になっています。
今いるお客さんの名簿に対して展開できる商品は何なのか、ということを考えた上でいきついた答えです。
何かしら個々の会社の強みというものはあって、そこの会社がやるべき事業案というものがあります。
明日から新規事業案を具体的に考える際にどのような視点で考えていけばよいのか、というところに少しでもお力になれば幸いでございます。