【講師】株式会社 船井総合研究所 創業者 船井幸雄
株式会社船井総合研究所の創業者船井幸雄が登壇した1990年代の経営者向け講演会から、「業績のあげ方」を抜粋。
業績のあげ方というのは、即時業績向上法というのを行い、それから力相応一番 法があります。この二つをまず行ってもらって、次に時流に合わせていきます。これが私の非常に基本的な答えなのです。(黒板の左から書いていきます。)今日も朝から何人かの方からご相談を受けていましたが、とりあえず「業績を上げるにはどうしたらいいのか」というと、業績を上げておくと難しい時にうまくやっていくことができます。
一つは即時業績向上法というのがあります。一つは長所を伸ばす長所進展法、それから二つ目が圧縮法、三つ目は今の時流に合わせるということです。それからもう一つは業績を上げるために知っておきたいことは力相応一番法です。
マーケティングについては、いろんな難しい理屈がいっぱいありますが、私は自分でも経営者ですし、そして非常に頭が単純なので、単純に物をまとめて考えしまう悪い癖があります(悪いか良いかは分かりませんが)。私が色々作った中で、一番実践的でいろんな方に喜んで頂いたのが、力相応一番法というマーケティングの基本的なノウハウというもので、自分の力に応じて一番になれる商品と商圏と客を作ろうという、たったこれだけなのです。これを力相応一番法といいます。
具体的に言いますと、商店街は一番大きなものを作ったら皆こちらへ集まってくるのです。競争が激しくなるとこちらへ集まってくるのです。ですので、一番になれる商品、商圏、客、これを見つけることがマーケティングで、力があったらあらゆる商品を扱ったら良い、なるべく大きな商圏で店を作ったら良い、あらゆる(客)層を対象にすれば良いのです。力がなかったら、商品を絞り込まなければならない、商圏を小さくしなければならない、客層も絞り込まなければならないということで、これだけがマーケティングで、非常に簡単です。
日本の企業の発展の歴史を見たら、田舎の小さい商圏で商品を絞って客層も絞ったのが、発展するに従って大都会へ出てきて良いのです。大都会へ出てきて、あらゆる商品を扱って、あらゆる客層を対象にするということです。力がなかったら、専門化しなければいけません。専門化とは客層を絞り込むことです。一番効率よく経営できるのは、力がつくことです。力があったら、商品は総合化すれば良く、あらゆる商品を扱い、大商圏で扱った方が良く、あらゆる客層を対象にすれば良いのです。
力がない場合は仕方がないから商品を絞り込むのです。商圏も小さくし、客も絞り込むのです。昔は、商品とは物だけだったのですが、これが90年代に、物+サービスに変わったのです。これからは、物+サービス+人でもって、一番になれる商圏と客を探せば良いのです。今の商圏内で今の客を相手にしたかったら、物でなくて、それにサービスと人をくっつけて一番になれるように変えていけば良いのです。というのが業績のあげ方の二つ目なのです。
大阪というのは、力相応一番になれなかったことに気が付かなかったから、全部東京に吸収されました。競争の原理というのがありまして、これだけの商圏があって、以前に店が少ししかない時は、各店共にまんべんなく流行るのです。そして、店がどんどんと増えてくると、一部がダメになってくるのです。もっとお店が出来てくると、一つの店しか流行らなくなるのです。一つの店とは、一番の店です。百貨店やスーパーだと、一番商圏内で売り場面積の広い店しか流行らないのです。だから昭和40年から日本の百貨店やスーパーはそうだったのです。私は一番店しか作らなかったのです。
だから人とサービスというのは建物とは違うのです。人とサービスはくっつければ結構いけます。くっつければ何とかなるということです。人というのは固定化のためのポイントになります。要するに、不特定客を対象とする商売は絶対駄目で、このように考えてもらえればいいと思います。これが二つ目に知っておいて欲しいことです。三つ目に知っておいて欲しいのは時流で、時流に合うと上手くいくということです。