2022年の年末に実施した弊社主催の時流予測・提言セミナーにおいて、今後10年で伸びていく企業と沈んでいく企業について言及させていただきました。
両者の勝敗を分けるキーワードが、
・テクノロジー
・コングロマリット
です。
現在、コロナやウクライナ情勢、円安、インフレなどにより、世界も日本も体制の移行が始まっています。
この体制が移行する時期は、同時にテクノロジーの変化も生み出されています。
前回のテクノロジーの変化は1990年代のインターネットでしたが、今回はデジタル化・カーボンニュートラルに向けた新しいテクノロジーだと言えます。
日本企業の9割以上が依然としてDXに前向きでないというアンケート結果もあり、そのような中でDXに対応できる企業かどうかで大きな差が付きつつあります。
また、自社の本業だけでは衰退していく事業もあります。
今行っている事業が一本しかなく、外部環境に影響され一喜一憂されているのであれば、 多角化、コングロマリット化していくことも視野に入れる必要があります。
テクノロジーとコングロマリットの取り入れ方
ところで、それぞれテクノロジーとコングロマリットをどう自社に取り入れればよいのでしょうか。
テクノロジー
様々なテクノロジーがありますが、柔軟に対応して成長しているのは、ローカル企業よりもスタートアップ企業のほうが上手だと言えます。
スタートアップ企業に共通するのはデジタルを使うことです。
ローカル企業は、国内のスタートアップ企業がどのようなテクノロジーをつかって事業を実装しているのかを知っておく必要があります。
スタートアップ企業×ローカル企業のコラボレーション
急成長市場を作り出しているスタートアップ企業のもつ高成長という部分と、経営資源(資本・人材・物件・人脈)を豊富に持っているローカル企業がコラボレーションして互いに補いあう。
対局のものがかみ合わさることでイノベーションが起こります。
評価額と設立年数の軸でコラボレーションの仕方をお伝えします。
評価額高×設立年数長
上場を見越している可能性があり、ローカル企業を仕入れ先やパートナーとしてみている
評価額高×設立年数短
自社でどんどん成長する意識が高く、まだ連携が進みにくい
評価額低×設立年数短
成功事例を作るために中小企業とプロトタイプしていくニーズなどがあり連携しやすい。出資やオープンイノベーション型になりうる
評価額低×設立年数長
M&A等の検討もあり
現在、リモートワーク等によりオフィスの必要性が下がったことを受け、地方に転出するスタートアップ企業が増えています。
また、政府のスタートアップの支援策も多数あります。
スタートアップ企業支援策
一例をお伝えします。
特別試験研究費税額控除制度
企業がスタートアップ企業と共同研究や委託研究を行った際の研究費の一定割合を法人税額から控除できる
オープンイノベーション促進税制
スタートアップ企業へオープンイノベーションに向けた出資額の最大25%が所得控除される
自社株式を対価とするM&A
自社株式を対価とするM&Aを行うことで迅速なM&Aの促進や新たな産業・企業の育成を図る
ローカル企業として、ベンチャーへの投資だけでなく、自社のグループ内での新規事業創業、グループ傘下に入る、ジョイントベンチャーなどへの支援制度もあります。
外部、特に異業種企業の技術やノウハウの活用は中小企業の可能性を拡大し、新たな技術・サービス創出のきっかけとなります。
ローカル企業がスタートアップ企業とコラボレーションすることで成長ペースの底上げという効果を狙えるでしょう。
DXに関連した動画もありますので、下記をご覧ください。
経営者が最低限押さえておくべきデジタルの基礎知識(前編)|船井総研
コングロマリット
上述した通り、今は世界も日本も体制移行が進みつつあります。
市場が体制移行するに従い、一つの事業のみで成長しつづけていくのは難しく、
伸びる企業・沈む企業がはっきりしてきます。
現在業績が厳しく、鈍化したり減少している事業がある一方、業績が伸びていて収益性があがっている事業もあります。
弊社のクライアント企業5000社以上の業績推移分析においても、急激に業績を上げている企業があることが解っています。
急激に業績を上げる企業の多くは、時流に適応したビジネスモデルを再構築したり、選択したりしています。
本業が伸び悩んでいるのであれば、今後10年を見越して多角化・コングロマリットも検討すること。
昇っていく企業になるために、時流に適応しながら時流に乗った事業を選択し、再成長させていきましょう。
多角化戦略の組み方(6つの切り口より)
第二本業・狭属性・投資・イノベーション(マーケティングDX)・地方創生・ブランディングという6つの切り口から事業戦略を組むことができます。
それぞれお伝えします。
第二本業
衰退している事業 伸びている事業の一例をお伝えします。
不動産: 売買仲介↓ 宅地分譲、空き家再生↑
アミューズメント: カラオケ↓ スポーツ施設(インドアゴルフ)↑
美容・コスメ: 店舗販売→ EC通販↑
外食: 居酒屋↓ テイクアウト、冷凍食品↑
第二本業の選択基準としては、
・5年後本業の売り上げの3分の1
・10年後本業と同等以上なビジネス
・市場移行で成長が加速してきたビジネス
・都市部で成功し、まだ地方では成功事例がないビジネス
があげられます。
つぎに
狭属性
成長している客層・予算・商品にしぼり、ビジネスモデルへスピンアウトさせます。
狭属性にすることで成長事業に変化させることができます。
例:警備人材派遣
投資型
参入障壁が高いことが、競合が少ないというメリットとなります。
また、20%以上のキャッシュフローがでるビジネスを選択することが重要です。
例:コンパクトリゾートホテル、無人フィットネス
>>過去にAIフィットネスの動画も公開しています。
(前半)AIフィットネス事業の魅力【おすすめビジネスモデル】|船井総研
イノベーション(マーケティングDX)
デジタルマーケティング×時流商品(売りたいものではなく売れるもの)を基本に、定期購入でLTVを最大化します。
ポイントとして、数値分析をしてまわす、数字の戦いになるため、データドリブン経営が必須となります。
例:建材通販、オンライン特化リフォーム、冷凍食品通販、コスメ通販
地方創生型
多店舗化、複合化が狙える事業を選択してください。
例:クラフトビール いちご農園
ブランディング
若手人材を採用しづらい不人気業種でも、ブランディング型事業を始めることで企業全体の魅力が高まり、人材採用力が高まります。
例:温浴施設・グランピング・フィットネスクラブ・インドアゴルフ
【今伸びている新規事業】インドアゴルフ練習場立ち上げビジネスを解説|船井総研
まとめ
2023年の時流戦略提言セミナーより、テクノロジーという観点でのスタートアップ企業とローカル企業のコラボレーションと、
コングロマリット化における6つの切り口をお伝えさせていただきました。
今後の体制移行を見越し、自社で取り組んでいくことを先だって検討していただければと思います。