企業経営で、財務管理・財務会計・管理会計という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。
それぞれ、財務、管理、会計という言葉が並んでいます。
文言が似ているため、誤って覚える方も少なくありません。
それぞれの言葉の定義は明確に違います。
本記事では、「財務管理・財務会計・管理会計の違い」をご説明します。
聞いただけでは混同しやすい3つの言葉が表す意味や違い、役割まで解説します。
財務管理
財務管理とは
財務管理とは、
①事業運営に必要な資金をどのように集めて、
②どのように使っていくのかを考え、
③企業成長のために資金管理、数値管理を行う
ことです。
企業は成長のために、事業展開に使う資金を外部調達します。
資金を運用し、収益を上げ、企業価値を高め、さらなる事業の展開を行う循環です。
好循環を計画的に実施するために、財務管理を行う必要があります。
財務管理の仕事
財務管理で行う仕事を具体的に説明します。
自社の状況を正しく把握するために、毎月試算表を作成します。
決算期には決算書を作成します。
それぞれの資料を基に、各事業部の分析を行います。
項目は「収益性」「生産性」「安全性」「成長性」です。
分析によって、各事業部の特性や傾向を把握できます。
結果、それぞれに応じた資金や事業計画を立てられます。
また、資金管理や、利益管理も財務管理の仕事です。
資金管理は、各事業と財務状況を把握した上で、借り入れのバランスを取ることです。
利益管理は、売上計画と実態を比較する予実管理を行い、
・次月以降の販売戦略をどう展開していくか
・どのような点に課題があるか
・改善点はどこにあるか
を把握することです。
②財務会計
財務会計とは
会社外部の利害関係者に、財務状況を報告するための会計です。
株主や銀行、取引先、投資家などが当てはまります。
中小企業では、納税、銀行からの資金調達などを目的に決算書をつくることが多いです。
企業成長の中で、金融機関や投資家など資金提供者との関係は非常に重要です。
・災害により資金繰りに困窮したとき
・大型投資を行うとき
・資金が必要になるとき
など、資金調達をするためには、過去の実績と将来性が重視されます。
財務会計は、過去の実績である財務状況を客観的に示す証拠です。
資金提供者などの利害関係者との関係性の構築、改善のために重要な役割を持っています。
財務会計の仕事
財務会計の具体的な業務は、
貸借対照表や損益計算書など財務諸表の作成などです。
金融商品取引法や、会社法など、法律や会計基準で定められているルールに則る必要があります。
➂管理会計
管理会計とは
管理会計は、社内で経営者や財務担当者が財務状況を把握するための会計です。
財務会計が、社外の利害関係者に対する仕事が主であったため逆です。
そのため、
・各事業の経費管理や売上
・データの収集分析
など、今後の事業計画策定に必要な情報を集めることが主です。
自社の経営活動を、なるべく客観的に把握するために、各部署の営業成績や、商品別の損益計算書を作成するなど、業務内容は非常に幅広くなりがちです。
また、事業計画と実績を比べて、その時点での状況が把握できます。
必要に応じて軌道修正を行うこともできます。
財務管理・財務会計・管理会計のポイント
財務管理・財務会計・管理会計、それぞれのポイントをお伝えします。
①財務管理のポイント
財務管理のポイントは、資金不足を起こさないことです。
財務管理は、財務状況を把握した上で事業計画に対して予算などの財務を管理する業務です。
しかし、全てが計画通りにいくとは限りません。
当初予算よりも増える事業もあると思います。
そのような事態に備え、以下の2点が重要です。
・過去の統計を参考に余裕資金や当座貸越などの資金枠を残すしておく
・すぐに対処できるよう進捗を逐一確認しておく
財務管理では、資金繰り表が可視化ツールとして有用です。
②財務会計のポイント
財務諸表は、正しいデータを社内各部署と共有する必要があります。
誤った情報を、金融機関や投資家など外部の利害関係者に提供すると、会社の信用力が大幅に低下します。
常に最新データを把握するためにも、各部署や部門間のコミュニケーションを密にすることが重要です。
効率よくデータを集めたい場合は、財務会計システムを導入するのも1つ方法です。
また、財務会計では外部の利害関係者への情報提供のため、規則通りの会計処理や報告が必要です。
担当者は法律や処理のルールを事前に理解することも重要です。
➂管理会計のポイント
管理会計では、必要な情報をまとめて明確にすることが重要です。
情報を明確にすることで、自社の経営状況を「見える化」できます。
管理会計は事業別に利益やコストを把握し、正しく評価するようにすべきです。
担当者も理解することで業務効率を改善
財務管理・財務会計・管理会計は、それぞれに違う役割を持っています。
経営者だけでなく経理、総務担当者が正しく理解することが必要です。
正しく理解することで、自社の業務に活かし、さらなる効率化ができます。
それぞれの内容・目的を理解して会社の成長のために正しく運用しましょう。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。