取組事例② 設計AI
設計AIについてお話します。業界によっては設計や作図みたいなものが出てくると思いますが、基本的にこれも同じ考えです。B社の課題ですけれども製造業で製品を自社開発していて、設計の専門スタッフがいましたということで、なかなか設計というのは相当な経験がやはり必要になってきます。経験から得る勘やコツが重要であり、そして育成が難しいというのが一般的に言われています。希少価値のある業務です。採用するにもなかなか難しい技術職です。このB社にとっては強みであり、ボトルネックということです。
同じです。どうやって設計をするかというと、データになります。設計仕様書、そして3DCAD、設計図をデータ化していくということです。先程の事例とほぼ一緒になってきます。これをしっかりデータ化して集めていくということです。従って、Aさんの設計図、Bさんの設計図、その設計図を3DCADで溜めていくことになります。AIの特徴としましては、文字でもいいですし数字でもいいですし、こういった3次元のデータでもいいですし、動画などのかたちでデータにしておきデータベースを一つのシステムにオリジナルで作ってしまうということです。
それで、先程と一緒です。設計者はお客様のニーズの仕様書をインプットします。そうすると、過去に作ったデータからAIが探してくれます。それだったら3年前に例えばAさんがお客様のニーズをインプットしていたとすると、AIがはじき出してくれまして3年前にBさんが作った設計図が同じようなニーズでしたと設計図を出してくれるわけです。そうすると、出てきた設計図を見ながら、その設計書の方は「なるほど、これは確かにお客様のニーズに合った設計だね、じゃあそれを参考に描こうか」と参考にできますからそこから先をやるということです。
これはまさに、ワードの文章を100文字入力してそれを保存しておき、保存したあとで文章を書きたいとき、そういえばこの前書いたWordの文章が参考になるということで保存していたものを呼び出します。100文字を呼び出したら、「じゃあ100文字のうちの30文字ぐらい変えようか」と言ったら、時間が100分の30で済んでしまうわけです。そうすると100分の70が効率化になるということですから、それをどんどん積み重ねていくと、100文字の文章がどんどん良くなるということです。
AIと人間の融合です。AIに全て任せない、人間が最後はうまくやるということです。設計者が自分では経験していない他の設計者の経験・ノウハウや自分自身の過去のノウハウを簡単に参考に出来る・活用出来るというものになります。これは実際に経験のある方はみんなやっています。「あ、あれやったな、あれ覚えているね」といった具合にです。これは人間同士もそうで、「あの人と前に会ったね」みたいな感じで顔を覚えているわけです。人によってはそれを名刺で顔を登録しておいて、「ああそうかそうか、3年前にこんな案件があって思い出したわ」みたいな感じで覚えているわけです。
しっかりと名刺を保管する、あるいはその方の顔の写真を保管する、その時の話した内容なども保管しておけば見て参考になります。そうすると3年ぶりに会っても、あの時こんな話をしましたねということは非常に参考になりますし、その時点でもう優位に立つことができます。全くそれと一緒だということです。
ですから、普段皆様がやっている行動をAIに移しただけですから何の不思議もなく、いたって普通の動きだと思います。その結果、経験の浅い人でも底上げができます。経験値のある個人ノウハウを標準化できるようになっていきます。ですので、AIは皆様が普段やっていることをそのままやってくれるだけというようにご理解いただいてもいいと思います。
これを徐々に積み重ねて、データが増えれば増えるほど豊富になっていき、参考になるデータが増えていって精度が良くなって、設計スキルのDX化が可能になっていきます。