業界の現状について
現在、エネルギーコストの上昇や脱炭素化への要求の高まりを背景に、政府も省エネを推進しており、中小企業における省エネ設備の導入は喫緊の課題となっています。そのような中、補助金の活用は省エネを後押ししてくれるものとなり、中小企業向けの補助金制度が拡充されています。しかし、補助金の種類は多岐にわたり、要件も複雑であるため、中小企業が自社に最適な補助金を見つけ、申請を成功させるのは容易ではありません。
省エネ・脱炭素化は、中小企業にとって経営上の重要な課題となっています。エネルギー価格の高騰は、中小企業の経営を圧迫しており、省エネ設備の導入によるコスト削減は急務です。また、ESG経営やサプライチェーン全体での脱炭素化の流れを受け、中小企業もCO2排出量削減への取り組みを求められています。
このような状況を受け、経済産業省や環境省は、中小企業の省エネ・脱炭素化を支援するための補助金制度を拡充しています。これらの補助金は、省エネ設備の導入費用の一部を補助するもので、中小企業が省エネ・脱炭素化を後押しすることを目的としています。
2025年の省エネ・脱炭素化関連補助金に関する情報
中小企業の省エネ・脱炭素化を支援する補助金が多数用意されています。ここでは、中小企業が活用を検討すべき主要な補助金について解説します。
経済産業省の補助金
•省エネ補助金:
◦目的:事業者の更なる省エネ設備への入替を促進するため、「先進設備・システム」、「オーダーメイド型設備」の導入を支援します。
◦対象:工場・事業場における省エネ設備の更新、電化・脱炭素燃転型の設備導入などが対象となります。
◦補助上限:
▪工場事業場型:15億円/年度(非化石を含む申請の場合 20億円/年度)
▪電化・脱炭素燃転型:3億円/年度(非化石を含む申請の場合 5億円/年度)
▪設備単位型:1億円/事業全体
◦補助率:1/3~2/3(企業の規模によって異なります)
◦ポイント:中小企業投資促進枠が新設され、従来の先進枠と比べて省エネ要件が緩和されています。また、電化・脱炭素燃転型では、中小企業限定で工事費も補助対象となります。
•系統用蓄電池等導入補助金:
◦目的:各種電力市場での取引等を通じて余剰再エネの吸収や調整力の供出が可能な系統用蓄電池や水電解装置のリソースの導入を支援します。
◦対象:系統用蓄電池、水電解装置の導入が対象となります。
◦補助金額:10億円~40億円
◦補助率:1/2~2/3(申請区分により異なります)
◦申請要件:
▪蓄電システム:最大受電電力が1,000kW以上の設備であること。
▪水電解装置:定格消費電力が250kW以上の設備であること。
環境省の補助金
環境省は、脱炭素化を推進するための補助金を複数提供しています。
•SHIFT補助金:
◦目的:CO2削減計画に基づく高効率機器の導入や電化・燃料転換等の設備の更新に対して補助します。
◦対象:工場・事業場におけるCO2削減設備の導入、電化・燃料転換などが対象となります。
◦補助上限:
▪標準事業:1億円(補助率1/3)
▪大規模電化・燃料転換事業:5億円(補助率1/3)
▪中小企業事業:5,000万円(補助率1/2)
◦ポイント:CO2削減計画の策定が必要となります。
•建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業:
◦目的:ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に必要となる省エネ、省CO2性の高いシステム・設備機器等の導入にかかる費用の一部を支援します。
◦対象:ZEBの実現に資する省エネ設備、再生可能エネルギー設備などが対象となります。
◦補助上限:3~5億円
◦補助率:1/3~2/3(延べ面積、ZEBランクにより異なります)
•省CO2型リサイクル等高度化設備導入促進事業:
◦目的:使用済製品等のリサイクル促進及びリサイクルプロセス全体のCO2排出抑制を図るため、省CO2型の資源循環高度化設備を導入を支援します。
◦対象:廃プラスチックのリサイクルに必要な設備、リユースに必要な設備などが対象となります。
◦補助金額:数千万~数億円
◦補助率:1/2(中小企業)、1/3(中小企業以外)
•ストレージパリティ達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業:
◦目的:自家消費型太陽光発電や蓄電池などの導入を行う事業に要する経費の一部を補助します。
◦対象:太陽光発電設備、定置用蓄電池が対象となります。
◦補助上限:3,000万円
•コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業:
◦目的:二酸化炭素の排出抑制及びフロン類の排出の抑制のため、脱炭素型自然冷媒機器を導入する事業に要する経費の一部を補助します。
◦対象:冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗における脱炭素型自然冷媒機器の導入が対象となります。
◦補助率:1/3
◦補助上限:5億円
国土交通省の補助金
物流脱炭素化促進事業:
◦目的:物流施設等において、大容量蓄電池等を活用した物流脱炭素化促進のため、再エネ電気の利用に必要な設備や、その電気を利用する車両等の導入を行う実証事業に要する経費の一部を補助します。
◦対象:太陽光発電施設、大容量蓄電池、EV車両用充電スタンド、物流業務用EV車両などが対象となります。
◦補助率:1/2
◦補助上限:2億円
これらの補助金は、中小企業の省エネ・脱炭素化を強力に後押しするものです。しかし、補助金の申請には専門的な知識やノウハウが必要となるため、専門家のアドバイスを受けながら進めることをお勧めします。
補助金申請を検討する際にまずすべきこと
補助金申請を検討する際には、以下のステップで準備を進めることが重要です。
1.申請対象設備のリストアップ、見積書入手、導入スケジュールの作成
◦どの設備を導入することで省エネ・脱炭素化を実現できるのかを具体的に検討します。
◦複数の業者から見積もりを取り、費用対効果を比較検討します。
◦設備の導入スケジュールを明確にし、補助金の申請期間に間に合うように計画を立てます。
2.活用できる補助金の調査、投資内容が要件に合致するかの確認(省エネ率の計算)
◦自社の事業内容や設備投資計画に合致する補助金を慎重に調査します。
◦補助金の公募要領を確認し、投資内容が要件を満たしているかを検証します。
◦省エネ率など、補助金の申請に必要な数値を計算します。
3.資金調達方法の確認、補助金申請内容の確認
◦補助金の支給決定を受けるまでの間の資金調達方法を検討します。
◦申請書類に不備がないか、記載内容に誤りがないかを慎重に確認します。
船井総研がお手伝いできること
省エネ補助金の申請は複雑で、時間と労力がかかります。そこで、船井総研では、中小企業の皆様が補助金をスムーズに活用できるよう、全力でサポートいたします。
船井総研にご相談いただければ、
•貴社に最適な補助金の選定
•申請書類の作成支援
•採択後のフォロー
など、補助金申請に関する全てをトータルサポートすることが可能です。省エネ設備の導入をご検討中の中小企業の皆様、ぜひご相談ください 。最新の補助金情報を基に、貴社の省エネ・脱炭素化を成功へと導きます。