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- DXのためのアナログトランスフォーメーション(AX)成功事例
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DXはアナログトランスフォーメーションありき
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の成功は
「AX(アナログトランスフォーメーション)」にあることは間違いありません。
「アナログトランスフォーメーション」とは、
「“アナログ”技術で世の中をより良いものにする」こととお考えください。
※ちなみに「AX」とは造語であり、一般的な用語ではありません。
これを使ってDXの意味を因数分解すると以下です。
「DX」=「AX」+「デジタルツール」
この意味は、
「DXは単なるデジタルツールの導入ではなく、
まずアナログでのトランスフォーメーションがありきで、
その効果を最大限にするためにデジタルツールを活用する」となります。
実際の事例紹介
製造業A社の紹介と当初の課題
ここで、実践事例として従業員80名程度の製造業A社の営業部門でのDX事例を取り上げます。
A社の主力製品は小さければバイク1台、大きければ大型トラック1台が入るくらいの
金属製コンテナBOXで、中には電気系統の精密機材が納められています。
営業マンは5名程度で、当然ながら製品知識がないと売れません。
第一の課題は営業の属人化で、どうしても営業ノウハウに個人差が出ることでした。
もちろん営業マニュアル等はありますが、それだけでは限界がありました。
第二の課題は、営業支援として設計者が必要だったことです。
営業の最終段階ではCADによる図面提案が必要なので、設計者の協力が欠かせません。
スムーズに受注できれば良いですが、設計者を動員したのに失注となると
営業コストだけではなく設計コストもマイナスとなって掛かります。
それ以上に、営業段階で設計者の工数が取られて、
設計者不足の中で本来の設計業務に集中できないことの方が問題でした。
つまり、営業の課題以上に、実は設計側の課題でもあったのです。
A社が導入した新システムは「業務見直し」から生まれた
そこで、設計スキルのない営業マンでも活用できる「図面設計自動化DX」の仕組みを作りました。
その仕組みはこうです。
まず、このシステムに合わせ、営業の初期段階で使用する「顧客ニーズ仕様書」を
標準フォーマット化しました(病院に例えるならば患者カルテ)。
そして顧客からの要望を営業マンがヒアリングする際に
タブレットを使い「顧客ニーズ仕様書」にデータ入力をして、
A社が構築した図面設計自動化システムにインプットします。
すると、仕様書に記入された顧客ニーズを元に、自動で図面が作成できるのです。
これまでは、営業マンがヒアリングしたら、一度、会社に持ち帰り、
設計者とミーティングして、設計者が図面を製作して、
その後に営業マンが顧客に提出するという流れでした。
早くても1週間、遅ければ1か月も掛かっていました。
それが何とこのシステムを使うことで、1~2時間という短時間で
しかも顧客の目の前で図面作成が可能になりました。
加えてこのシステムを使用することで属人化していた営業も改善されるメリットもありました。
このシステムはパッケージソフトではなく、A社オリジナルでオーダーメイドしたものです。
最大のポイントは、設計者依存にせず、図面提案を営業マンが行うという発想であり
まず営業業務の改善をした結果、設計業務の改善に繋がったことです(アナログトランスフォーメーション)。
DXのカギは現状業務の改善にある
紙の帳票をデジタル化したとか、リアルをリモートにしたというのは
「デジタルチェンジ」であって、「DX」とは言えません。
まず、現状業務の改善(アナログでのトランスフォーメーション)がありきで、
その効果を最大限にするためにデジタルツールを活用する、そういう発想が必要です。
「DX」=「AX」+「デジタルツール」という考え方を是非ご理解ください。
菊池 功