~AI時代の採用戦略:業務の8割をAI化する方法~
「求人原稿って、AIで書けるんですか?」
「AIで画像をつくっても、意味あるんですかね?」
――最近、現場からよく聞く言葉です。
ですが、AIの本当の可能性は、そんな表面的な“生成”だけに留まりません。
採用業務は、実はその7〜8割をAIで代替可能であり、そこに本質的な経営改善のヒントがあります。
採用業務は、AIとの相性が抜群にいい
いま、多くの企業が「AIで業務を効率化しよう」としています。
しかし、採用ほどAIとの相性が良い領域はそう多くありません。
求人原稿をAIで書く、画像を生成する――それはあくまで「入口」に過ぎません。
本質は、採用業務そのものを“構造化”し、AIで自動化・効率化できるところまで落とし込むことにあります。
AIで代替できる採用業務の一例
ここで、実際にAI化できる採用業務を整理してみましょう。
- 面接の録音分析:受け答えの傾向、応募者の特性、面接官の対応品質をAIが解析
- 応募者傾向のデータ分析:過去データから「採れている人材」と「目指す人材」のズレを可視化
- チャネル最適化:数百以上ある媒体の中から“勝てる媒体”をAIが選定
- 説明会の資料やムービー制作:パンフレットや動画もAIが制作・編集
- SNS・LINE・スカウトの運用自動化:発信・返信・フォローの一連をAIが代行
…など、定量化・構造化できる業務の多くはAIで代替可能なのです。
「人にしかできない仕事」は、ごくわずか
逆に、“人でなければできない仕事”とは何でしょうか?
- 内定出しの最終判断
- 内定者フォロー、定着に向けたイベントや食事会
- 本音を引き出す1on1面談や信頼形成
このように、最終的な意思決定や感情のケア、信頼関係の構築といった領域だけが、今後も“人にしかできない仕事”として残ります。
AI化で浮いたコストを「人材投資」に回す
ここが最大のポイントです。
AIで会社全体の業務を効率化し、削減できたコストを「人材投資」に回す。
これにより、
- 給与水準が上がる
- 労働環境が整う
- ジョブディスクリプションが明確になる
- 求職者にとって「選びたくなる会社」になる
といった構造的な採用力の強化につながります。
つまり、テクニックではなく、「条件そのもの」を良くできるわけです。
これからの採用は、「AI」と「構造」で勝つ時代へ
求人広告を出せば採れた時代は、もう終わっています。
これからの採用競争を勝ち抜くには、以下の2つが必須です:
- 採用業務そのものをAIで構造化し、再現性ある運用を構築すること
- AI化によって削減したコストを“採用力の源泉”である人材投資に振り向けること
この2つのサイクルを回せる企業こそが、次の時代の採用勝者になります。
執筆者: 人的資本経営支援本部 副本部長 山根 康平 やまね こうへい |