日本の100年超企業は4,5000社、世界シェア50%
日本の100年企業は、約4.5万社。これは世界の100年企業の約50%を占めます。
日本に100年企業がなぜ多いのか?
これは私たち日本が誇るべきことであり、この日本という国に、または日本の国民性に、永続的成長するための“何か”があるはずです。
そうした中、私たちは、「持続的に成長する」企業の本質を押さえるために、日本の100年企業の調査、研究を始めました。
企業は、どんなに一時的に急成長しても、どんなに時代の寵児としてもてはやされても、永続しないと意味がありません。
そうした国内の100年企業を知ることで、「本物」の成長とは何なのかの本質を知ることができると考えています。
「本物」の経営~日本の100年企業 永続・成長の秘訣
日本の100年企業の調査、研究を始める中で、すばらしい、注目するべき企業がたくさん出てきています。
その中の1社に株式会社能作様があります。創業109年(1916年)の銅、錫の鋳物メーカーです。
“守る”伝統から“攻める伝統というコンセプトのもと、ここ西暦2000年以降で売上、社員数を20倍以上伸ばされている企業です。
能作様は、4つの「しない」経営方針を掲げていらっしゃいます。
➀儲けを優先しない
儲けではなく、「楽しむこと」を優先されています。ですからノルマ、売上目標を立てられません。自身が楽しいと思うこと、「〇〇たい」なことを尊重することで、社員の(内発性の)意欲を引き出すことを重要されています。
②社員教育をしない
教えるのではなく、自分で気づかせることを重要視しています。人から教えられた内容は「〇〇するべき」になります。それは本人にしっかりと身に付きません。しかし、自らが気づいたことは「〇〇たい」思考になり、それに対して手を抜こうとか、さぼろうとかの考えはなくなる、というお考えです。
③営業活動をしない
自社製品を“売ろう”とされません。そうではなく、第三者が“売ろう”としてくれることを目指されています。 そのためには、自分たちがどのような考えでこれに取り組んでいるのか、なぜこの商品を作ったのか等、を自分たちの思い、考えを“伝える”ことを重視されています。
➃同業他社と戦わない
競走ではなく、地域や人と共創するスタンスを大事にされています。どんなに儲かることでも、地域、人のためにならないことはされません。企業から自社製品、商品を買いたいという連絡がきても必ず、地域の既存の問屋にご連絡くださいと対応されます。また人を大切にされます。機械・設備の効率化は必要でも、人(社員)をモノで扱うような、人の効率化は絶対にされません。
“伝統”を活かすには、そこで働く人の意欲を高めること
能作様には、鋳物メーカーとして100年の年月をかけて、培ってこられた文化的、技術的“伝統”があります。その“伝統”の良さ、魅力をどのように活かし続けることができるか持続的成長に必要です。
「“守る”伝統から“攻める”伝統へ」、この言葉、能作会長の能作克治さんのお言葉です。
100年企業としての魅力がある“伝統”を活かすためには、そこで働く人の心の底からの意欲(内発的動機)を高めることが必要です。
能作様は、前述の➀~➃の経営方針によって、多様な人材が活躍できる環境がつくられ、社員の意欲(内発性の動機)が引き出すことを実現されています。
内発性の動機を引き出すことで、経営、仕事、ものづくりを“楽しん”でいらっしゃいます。
能作克治さん、2023年に社長を継承された能作千春さんとお会いするとまさにそう感じます。
そして、鋳物メーカーとして培われてきた“伝統”を活かした様々な新商品開発、新規事業立ち上げが実現しています。
日本の100年企業の持続的成長の秘訣は、自社の持つ魅力ある“伝統”を、そこで働く人たち、地域の力によって、魅力ある商品・サービス、新規事業、新規展開に昇華させているところにあります。
引き続き、日本の100年企業を調査、研究を続けたいと思います。
このような方におススメのセミナーです。
【セミナー概要】
オンライン開催:参加費無料
日程◆2025/7/25 (金)、7/29(火)、8/6(水)
時間◆13:00~16:00
会場◆オンライン
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執筆者: パーパス・グループ経営推進ユニット ディレクター 南原 繁 なんばら しげる |