【筆者】株式会社 船井総合研究所 HRD支援部 山中 章裕
今、なぜ評価制度を作らなければいけないのか?
改めて皆さんと共有させていただければと思います。
減り続ける人口
現在、採用難がどの業界でも起こっています。
経営相談をお受けする中で、採用できないことに慣れてしまっている経営者の方もいらっしゃるようです。
なぜこんなに人手不足なのかというと色々な要因があります。
一番大きな要因というと、やはり人口が減る段階に入ってきていること、かつ年齢層が徐々に上がってきていることだと思います。
2030年には生産年齢人口(若い人口)が約1,000万人減少すると言われています。
その後も止まらず、進み続けます。
一年一年で見ると今年はちょっと楽だったなとか、採用できたという年はもちろんあると思います。
しかし年を追うごとに採用がきつくなってきますし、人を確保することが難しくなってくることしか起こらないことを前提として考えていただきたいと思います。
人口減少時代に合わせた企業成長戦略の構築
売上計画と合わせた採用計画
昔は「ヒト・モノ・カネ」が三つ揃って商売がうまくいっていました。
今は完全に「ヒト・ヒト・ヒト」。
人材がいないことが最大のネックになることが本当に多くなってきています。
この人手不足は全業種・全商圏で続いていて、これからもずっと続くというのは変わりありません。
当然ながら企業の成長力というのはマーケティングが上手、販促が上手、営業が上手、これはもちろん大事です。
しかし、ある一定以上の組織規模になったときから、組織によって人材の採用力が、企業が成長するかしないかの分かれ目になることは間違いありません。
なので、企業の成長計画に合わせて来年いくらぐらいの売上になる、どのくらいの組織を目指す、3年後どうなる、5年後どうなるというものに合わせて、採用の計画、人材の確保の戦略を立てておかないといけません。
そろそろ仕事が増えてきたから、そろそろお客さんが増えてきたから人を入れようかと思っても、絶対に追いつかないです。
自分たちがこれからどうしたいかを前提に、採用の戦略、人事戦略を組んでいかないと追いつかない、これが今の時流で間違いないです。
マーケットの縮小に合わせた収益性の改善
そして、人が減ることによって何が起きるかというと、シンプルにマーケットが縮小します。
基本的に東京以外の全国の都市は全て人口が減ります。
大阪や名古屋などは、特に顕著に減っていきます。
そうなると、当然ながら買う人が減ります。
今までは量を売って客数を増やし売上のトップラインを上げたり、出店をかけていき自分たちのお客さんの数を増やしていくことが、売上を上げていく最大の戦略だったわけです。
しかし、これからの時代、出店したところでマーケットの減るスピードが速ければ収益を確保することができないことになっていきます。
なので、売上を単に上げ続けるだけではなく、同時にやらなければいけないのは収益性の向上です。
要するに儲からない店をいっぱい増やしても意味がないということです。
ただ人をいっぱい採用して、どんどん出店して売上を上げていったところで、利益が残ってないとなったら、その事業をやる意味はあるのかというところです。
ただ例外なのは、地域一番クラスと言われる店です。
圧倒的シェアの中で勝ち残る企業となるためには、ある程度の出店や量を押さえることは必要な戦略です。
地域一番店じゃない企業はそれだけ慎重に考えていかなければいけないという状況です。
収益性の上げ方としては、コストを削減するということもありますが、やはり1人あたりの生産性を上げていかないと、当然収益性を確保できない時代になっています。
人口減少時代に合わせた企業成長戦略の構築というのが絶対に必要です、というのが前提の状況というところです。
人財戦略が第一(人財ファースト)の時流の到来
なぜ人財の戦略に注力しなければいけないのでしょう?
人財の採用は「未来への投資」
経営者にとって人材投資は最も投資効果の高い経営テーマです。
もしかしたらご経験があるかもしれませんが、1人の非常に優秀な社員が今まで解決できなかった課題をあっという間に解決したり、長く定着しなかったとしても、すごい人材が会社の課題を解決するということは時にあるわけです。
新卒だと分かりやすいですが、同じお金を払っているにも関わらず全然成果が違うことが人材の中ではよく起こり得ます。
全員同じ額の給料を払っている中で、たまたま1人だけすごい優秀で、他の子は普通ということです。
優秀な社員のことをハイスペックと言いますが、ハイスペック採用をやっていく中で言うと「採りすぎ」は起こりません。
なぜかと言うと、ハイスペックな人財というのは、いてくれれば成果を出します。
会社にいてくれた場合、なんらかの成果を出し、会社にとってなくてはならない存在で、もし仮に辞めてしまったとしても、その人の行く場所というのは色々なところにあるわけです。
逆のパターンで、なかなか活躍しにくい人材を雇用してしまったときに、じゃあ外に送り出せるかというと送り出す先もない場合、なんとかその社員を抱えてうまくやっていくしかない。
これは非常に難しくなってくるわけです。
やはり優秀な人財の採用にこだわることが絶対に必要です。
会社の宝になるような人材を計画的に増やす採用活動は、やっていくことが非常に大事です。
これは大企業でも中小企業でも同じです。
収益性を上げるために生産性を上げなければいけません。
生産性を上げるにはどうしたらいいかと言うと、「人財力」と「組織力」の二つです。
人財力の向上というのは、優秀な人材が効率よく働いてくれたらどんどん成果を出すわけです。
そういう状態になるというのが一番生産性を上げていく近道です。
なかなか活躍しにくい人材がいくら頑張っても、ある一定の成果を超えないということがあるというのも分かります。
なので、少しでも優秀な人材を確保するという採用・人事戦略が重要だと思っています。
明確な役割分担が効率を上げる
役割が重なっていたり誰が何をするか不明確な状態だったりする場合にも、絶対に効率が上がりません。
誰が何をやるのか、はっきりと分業できていたり、組織の役職が分かれていたりすると、その通りに皆さんが動けば、自分の最大限のパフォーマンスを発揮できるわけです。
それが曖昧になっていると2人の人が同じことをやってしまったり、半分半分になってしまったり、逆に何も手を付けなかったり、ということが起こりうるので結局生産性が上がりません。
今この時代においては生産性、収益性を上げなければいけないという状況と、そのために何をすればいいのかというところで言えば、設備投資などをし、自分たちが働く環境をよくするというのもあります。
しかし根本を言えば、私たちは人材の質を上げていくことにこだわらないといけないし、その中で組織が円滑に動くような仕組みを作っていかなければいけない。
こういった人材戦略というのが今非常に大事な時代になっています。
これを私たちは、「人財ファースト」と言います。
人財戦略の肝は「人事評価制度」の構築
中小企業の人材戦略はどういうことをすればよいのか。
これも二つあります。
日本型の新卒一発採用で計画採用を可能に
「会社の成長にリンクした採用」
これは先程冒頭でお伝えした通り、補充採用や「売上が増えたから人を追いつかせる」というのは間違いなく追いつかない時代になってきます。
なので、採用は事前に計画を立てておいて、いつ何人入れるかを決めないといけません。
それを計画採用と呼んでいますが、それをキャリア組、中途採用でやっていこうとしたら本当に難しいです。
私たちも中途採用のお手伝いをさせていただいていますが、計画通りいっているかと言われると、正直難しいところもあります。
もちろん成果が出て、中途採用がうまくいった場合もあります。
計画通りのタイミングで、必ず人数ずつ入社してもらうことは至難の業で、お金をいくら積んでも今はできなかったりします。
そういう時代です。
本当に計画採用を実現するとしたら、やはり日本型の新卒一発採用です。
4月に大量に確実に人を採用できるというのは非常に有利な戦略を敷くことができますので、
新卒採用で人材の質をいくらか上げていく、ハイスペックの人材を採用していくことが、人材戦略の中で一番大事なことです。
中小企業でも大手企業や役所に勝てる時代に
最近の状況で言うと、中小企業は大企業に採用で勝てる時代になっています。
少し前まで大手志向が強くて、絶対に勝てない、大手を志望と言われたらひっくり返すのはもう無理だという時代が前までありましたが、そうではありません。
分かりやすく言えばやはりベンチャー企業が一つの例です。
ベンチャー企業は、全然利益を生めていなかったり、夢だけで走っていたりするわけです。
そんな中で先のプランを見て「この夢に付いてくる人、集まれ」と言う優秀な人が入っていたり、その中で収益性が追いついてきたり、その中でようやく自分たちの給料が増えてきたり、もしかすると急に潰れてしまうかもしれない、そういう会社に好んで採用する人が増えているというのが今の時代の特徴になっています。
私たちは多くの会社を見させていただく中で、地方の中小企業が大企業に比べて出している給与や待遇などが、実は全然負けてなかったりします。
皆さん気付いてなかったり、ルールがないからそこに再現性を持たせられなかったりしていますが、実際に出せる給与はあるという会社も結構あります。
特に入社10年以内なら中小企業のほうが出世が早いケースもあります。
役所や地方銀行など、そういうところに入ったら絶対イレギュラーは起こせない、待つしかないです。
それは待てないという若者も増えているし、待つぐらいだったら自分の力で持っていくタイプの若者も増えてきています。
かつ、10年後、大企業だと思っている会社が存続しているのか、今と同じ状態で間違いなくいい状況で10年後を迎えられているのかと言うと、実は大企業も全然10年先が見えないし全く安定感がないということを学生もみんな分かっていますし、求職者も分かっています。
なので、その中でより短期的にというか10年以内にしっかり自分の力を付けて自分の結果を出せば給料に跳ね返ってきたりするというところに対して夢を感じたりします。
あとは地域貢献という志向も強くなっています。
地元に貢献したいという企業も出てくる中で言うと、本当に中小企業が大企業に勝てる採用時代に突入しています。
大手企業に勝てる中小企業とは
その中で何が勝てる中小企業と、勝てない中小企業を分けるのでしょうか。
それは、やはりキャリアプランです。
大手企業は5年後、10年後は一応見える。
見えるけれどその通りにしかならない。
中小企業はいくらでも変化が起きるけれど、その道筋が全然決まっていません。
もしかしたら20代で1,000万もあるよということで、
「ではどうやったら1,000万もらえるんですか」
と言ったらそこに明確な基準がなかったりします。
そこを「こうすれば1,000万出せるよ」や「こうすればこういう役職に就けるよ」ということが言いきれれば、やはり大手企業と戦えて、しっかり話ができます。
ハイスペック採用には人事評価制度の構築が肝
ところで、中小企業経営者の皆さんには、是非ハイスペック採用していただきたいですが、その中でも肝になるのが人事評価制度の構築です。
「人事制度」「評価制度」「賃金制度」の連動は必須
中小企業の人事評価制度づくりにおいて、これは絶対にやってくださいというのがもう実は決まっています。
大きく分けると四つあります。
事業戦略に連動した人事評価制度の四つの評価軸というのを必ず入れてくださいというところです。
■業務遂行能力に応じた等級(ランク)の定義
業務遂行能力に応じた等級(ランク)を定義することがまず一つ目です。
その人がどれくらい仕事ができるかということを、きちんと定量化しましょうということです。
それは会社によって違います。
・売上を上げられる人が偉いのか
・仕事の幅が広い人が偉いのか
・特定のラインに入るとすごく深い人が偉いのか
これは本当に職種と会社によって違います。
その会社ごとによって少しずつカスタマイズする必要があると思いますが、そこをきちんと評価しましょう。
これをスキルだったり等級で表現するということが、まず一つの最低限必要な要素です。
■KPIを設定しプロセスを評価する
二つ目が実績です。
難しいのが、例えば、職人肌の方の評価です。
職人肌の方は非常に仕事が丁寧でよくやってくれます。
しかし、個人の売上や生産性や実績で言うとなかなか光ったものが出てこない。
個人別でも実績が出るのであれば、営業成績で評価するのが一番早いですが、なかなか1人あたりの営業成績に落とし込めないのであれば、やはりプロセス思考であるKPIの設定が必要です。
その遂行状況を基に評価するというところが二つ目です。
■数字でけではない定性面も評価する
三つ目は、定性的な評価です。
いくら売上を稼いでいて数字面での評価が高くても、経営方針への理解が低かったり、会社のルールを守らない人を評価してはいけません。
■昇格基準と役職に求める内容を定義する
四つ目が昇格基準と役職者に求めることというのを、きちんと決めようということです。
例えばリーダーと言われる人が皆さんの会社にはいると思います。
どうやったらリーダーになれるのかということを決めないといけません。
プラス、リーダーになったら何をやらないといけないか、何に責任を負わないといけないか、それを決めないといけません。
これも会社によって違います。
・KPIの達成状況
・売上
・営業利益
・退職率
など、それ以外にも数値評価できるもの、何に対して責任を持っているのかというのは、これは必ず組織の役職者に言わなければいけません。
この四つの項目というのが必ず含まれていないと、少し片手落ちな評価制度になってしまいます。
キャリアプランに連動した賃金制度づくり
評価制度というのは、キャリアプランと連動しなければ意味がありません。
キャリアプランと連動させるためには賃金制度としっかり組み合わせなければいけません。
これが等級、要するに業務遂行能力によって等級(ランク)を決めて、それによってテーブルが変わります。
1等級、見習いの人は20万スタート、3等級にいったら25万、30万ですよと、そういうようなスタート基準を決めます。
それが毎年評価のランクによって徐々に上がっていき昇給していくというような、そういう賃金テーブルをまず作っていただきたいです。
そして、
・実績評価と定性評価の給与への反映方法
・結局どうやったら給与が上がるのか
・どういうふうに反映させるのか
・賞与はどういう基準でいくら出すのか
・昇給幅はどれぐらいにするのか
など、これらも決まっていないと運用が全く効果が出ません。
今で言うとやはり働き方改革をするための、残業の部分も賃金テーブルの中には織り込まなければいけません。
要するに「人事制度」、「評価制度」@賃金制度」、この三つがしっかり回っているという状態が中小企業における人事評価制度のズバリです。
キャリアプランに連動した賃金制度づくり
評価制度というのは、キャリアプランと連動しなければ意味がありません。
キャリアプランと連動させるためには賃金制度としっかり組み合わせなければいけません。
これが等級、要するに業務遂行能力によって等級(ランク)を決めて、それによってテーブルが変わります。
1等級、見習いの人は20万スタート、3等級にいったら25万、30万ですよと、そういうようなスタート基準を決めます。
それが毎年評価のランクによって徐々に上がっていき昇給していくというような、そういう賃金テーブルをまず作っていただきたいです。
そして、
・実績評価と定性評価の給与への反映方法
・結局どうやったら給与が上がるのか
・どういうふうに反映させるのか
・賞与はどういう基準でいくら出すのか
・昇給幅はどれぐらいにするのか
など、これらも決まっていないと運用が全く効果が出ません。
今で言うとやはり働き方改革をするための、残業の部分も賃金テーブルの中には織り込まなければいけません。
要するに「人事制度」、「評価制度」@賃金制度」、この三つがしっかり回っているという状態が中小企業における人事評価制度のズバリです。
未来の組織と人財を描きながら、足元の成果を最大化
ここからは、船井総研の事例をお話させていただきます。
船井総研の中では、この人材戦略と事業戦略をうまく連動させて非常に高成長に持ち直したという実績がございます。
ポイントは2つあります。
未来の会社のために設計すること
今の組織や今の人たちを中心に考えてしまうと、人事制度運用開始までに、組織が変わってしまいます。
人事制度が早くても数カ月、大体運用するまでに1年間の中での運用がかかりますので、できあがった時点でこれちょっと古いねとなってしまうのが普通です。
これでは意味がないです。
そうではなくて、10年後、少なくても5年後くらいは会社のイメージをする必要があります。
そのときには支店が何個増えているか、部署が何個増えているか、この役職がもう一個上に役職が増えているか、こういったものを意識しながらビジョンを作り経営計画を策定する、これがまず最初です。
そして経営計画を実現できたときも組織図や役職者の責任範囲、このときには部長という部署を作っておきたい、部長にはこう見てもらいたい、この数字を責任範囲としてもらいたいというところをちゃんと決めます。
そして、経営計画を実現するための採用計画も立案して、経営計画を作ってそのときの組織図を作り間に合うだけの採用計画を立案する、この三つが1番目です。
これが実現できたら、その事業戦略を実現するための人財育成の制度を作るということが2番目です。
端的に言えば業務標準化と戦力化です。
要するに足元で入ってくる人財をどれだけ早く成長させられるか、どれだけ早く戦力化させるかということに、こだわった育成をしなければいけないというところです。
そして未来の組織、これからなる組織のために必要な人財のために、例えば部長職を作りたいのであれば部長になれるような育成、研修を作らなければいきなり任命してできるものでもないので、きちんと育成の計画を立てることが必要です。
中期的な育成計画と定着率向上、組織をしっかり遂行できるための定着を設計してそのための仕組みを作ることが三つ目のポイントになります。
なので基本的には未来の組織をイメージしながら未来の組織のために、その組織になれるための人事戦略を作ることが大前提です。
その中でも育成スピード、優秀な人が入ったときに早く育てていく環境を作ることが、人事戦略と事業戦略の連動だと思っています。
Great Value 2020
船井総研は実は、約10年前、今のホールディングスの社長である高嶋(2022年現在会長)が就任する前というのは3年間営業利益も伸びず、社員数が増えずというところで、停滞していた時期がありました。
そのときに新しく人事戦略と事業戦略の連動ということでまず設計したのが、3カ年ごとの事業計画です。
収益性の向上、成長性の向上、企業価値の向上というところで3年ごとにテーマを置いてこの10年間で達成してきたということをまず設計しました。
事業戦略と人財戦略の両輪でグループの成長を加速
以前、弊社の新卒採用人数は50人でした。
50人だと、増え人数と辞める人数とがトントンになってしまいます。
なので、その数を純増するための人数というところで100人にしました。
ところで、船井総研は以前、「私にしかできない仕事」というスターコンサルタント型の採用をしていたことがありました。
優秀なコンサルタントによる売上アップの仕組みでしたが、売上の停滞があったところで、チームコンサル型に切り替えて、ソリューションや、研究会をベースにしたビジネスモデルに切り替えていきました。
「私にしかできない仕事」→「皆で、チームでする仕事」
属人的スターコンサルタント型のコンサルティングスタイルから、ソリューション型、誰でもできるだけ安定した成果を、残せるだけのコンサルティングの仕組みに変えていきました。
チームで提供することをメインにビジネスモデルを変えていきました。
そのときに人事戦略というので、評価の方針やKPIの部分も変えていったというのが、私たちが実践してきたことです。
採用、育成、教育、評価を統括する部門
同時期にやってきたことが人材開発本部という部門の立ち上げです。
これは何かというと、採用や育成や定着など人材周りに責任を持つ部門を立ち上げたということです。
この部門は四つのKPをもっており、で採用数、定着率、生産性、昇進率。
要するにいっぱい採用して早く成長させて辞めずにどんどん出世させる、ということに責任を持つ部門というのを作りました。
いわゆる手続き的な採用ではなく、完全に攻めの部分として作ったというところです。
当時、船井総研が考えていたのはこの四つです。
■退職率目標の設定
まずやっていたのが退職率というのを決めました。
当時の船井総研の退職率目標というのは7%で、2017年の実績は10%でした。
この目標の退職率というのは低ければ低いほどいいというわけではないです。
企業の成長のスピードによっては多少の●入れ替えが起こるステージもありますので、それを計算してある程度目標を立ててやっていくということです。
今の段階ではこのぐらいの数字にしておくべきというのが経営者の判断で決めていることです。
■昇進スピードの設定とアップ
あとは入社後の自立期間、何年以内にどれぐらいの等級(ランク)に上げていくかというのを決めていきます。
■生産性の向上
そしてその自立が進んでいくことで生産性が上がるというのが私たちの実績です。
この評価制度を運用した結果、昇進するスピードも早くなったというところが私たちのやってきた実績でした。
早期成長(キャリアパス)の合言葉を作る
早期成長の合言葉を作る、これが先程お話したところの入社後の目標になります。
新人社員が入ったら、まずどこを目指すかというのは全社員統一でこの目標を決めています。
実はこれは少し変わりつつありまして、以前の船井総研の目標というのは3年でチームリーダーになる、3,000万の粗利を稼ぐ、これが全社員、若手がみんな目指すべきゴールで、若手が入社したらまずこれを目指すという合言葉でした。
これでみんなと全力で走っていくというのをやった結果、3年で3,000万と言っていたら、今では2年で5,000万というところも出てくるようになり、生産性はどんどん上がりました。
いずれにしてもこういう指標がないと走れない、これをみんな目指していくということをしないといけないというところです。
当然このときの評価制度、賃金も報酬の部分でも見える化するというのもポイントではあります。
まとめ
評価制度の本質は、事業の成長に合わせたKPIを盛り込んで達成させることで「戦力化スピードを上げる経営ツール」であるということです。
事業計画との連動も必須で、それを実現するためにはKPI、実績評価というのも入れなければいけないということです。
そして、社内で実現したい「自立期間・成長スピード」を決め、キャリアパスへの合言葉を決めるということです。
成長するためのスピードを会社の中でしっかり定義することです。
これは役職、等級に合わせて何を目指すか。
その評価、賃金の流れも含めて決めて、社内に浸透させていくというです。
三つ目が、評価制度というのは何のために作るか、です。
評価制度を作ることが目的ではなく、採用や育成、生産性向上、定着率、全てに関わる非常に重要な部分だと思っています。
そして単に制度を整えるということではなく、事業計画と連動した制度にしていただければと思います。