本講座で伝えたいポイント
それでは、本講座でお伝えをさせていただきたいポイントが三つございます。まずは、金融機関の最新時流、そして2021年下期にチャンスがあると、そして成長を続けている企業が行っている調達戦略というこの三点お伝えさせていただきます。
端的に、第一講座で何をお伝えしたいかと言いますと、やはりコロナによって企業、そして金融機関ともに大きな変化に直面をしているということです。目先のコロナ融資というものは一巡をしておりまして、今後どうなっていくかというところは企業側だけではなくて金融機関側も危機感があるというところで、両者の目線を知った上でぜひ皆様には調達を起点に再成長させるタイミングというものをしっかりと図って交渉していただきたいということです。そして、その絶好のタイミングは実は今だというところをお話したいです。危機的状況だからこそ取引環境を良化させるチャンスになります。今日のキーワードになりますが、ぜひ自社主導型の銀行取引というものを皆様には目指していただきたいです。
金融機関対応というところは、時流適応がやはり命になります。船井総研の業績アップのコンサルティングにおいても一番大事にしているところも、やはり時流適応になります。この時流適応というのは、どのビジネスを伸ばしていくかという戦略を立てていくのですが、やはり金融機関対応というところに関してもこの時流適応が非常に大事になってきます。相手を知らずして、一方的にこちらの要望を通してもなかなか通らないということで、現状金融機関が何を考えて、どういう情報、そしてどういうことをしてほしいのかというものを知った上で、我々企業側がそちらに対応していくということが非常に重要になります。ここにも書いてありますが、成長を目指す企業は自社主導の調達戦略が必要ということで、この自社主導が非常に大事なポイントになりますので押さえてください。
①金融機関の最新時流
では、実際に今の金融機関の動向はどういう動きがあるかというものに関して、新聞の見出しを抜粋してきました。直近の動きで言いますと、金融機関状況は実は少し好転をしておりまして、メガバンクを含む5大銀行の純利益は去年と比べて2.1倍に伸びています。ただし、この中身を見ていくと好転といえども、コロナで倒産企業が増えるというところの貸し倒れ費用の計上が少なくなったという部分で利益が出ており、表面上の利益が出ているということです。その他証券会社に関しても、黒字転換ができてきているということで、少しずつ金融機関の状況も良くなってきているということです。その他、銀行同士の業務提携や地銀DXというものが今後進んでいきます。金融庁長官が新しく変わりまして、初の理系出身者ということで、業績の部分やそして業界再編、デジタルトランスフォーメーションというところが新聞の見出しで多いのではないかと思います。これが直近の動きになります。
一方、1年前はどうだったかというものを見ていくと、私が去年2020年の9月の段階で講座をした際に新聞の見出し一覧としてここに記載してあるのですが、地銀決算の6割が減益や赤字であったり、苦境の地銀に多角化を促すことで銀行規制が緩和され、銀行の再編や商社といったものを立てやすくなったということで、再編のタイミングになりました。
そして、この1年でこの見出しを見ても大きく変わってると思います。状況が良くなっているというかたちが分かると思います。
そして、貸出姿勢というものも日銀の短観というところから調べることができますが、金融機関の貸出姿勢、これは各金融機関にアンケートを取って調査をしているものになります。緑色が中小企業、紫色が中堅企業の融資姿勢になりますが、これはリーマンショックからおってきた中で、実はリーマンショックの時代から考えると、貸出姿勢としては上に行けば上に行くほど緩くなっているので、借りやすい状況が続いてきたという中で、コロナで一旦落ち込んではいます。しかし、2020年期初の3月から6月にかけて落ち込んでいた貸出姿勢というものは今ほぼ横ばいであり、中堅に関しては少しずつ上がってきているという状況になってきています。やはりこの時流というものは、1年、またはこの半年でも大きく変わっていますので、今後調達を起点に考えていく今日ご参加いただいている皆様に関しては、金融機関のニュースをしっかりと追っていただきたいと思います。我々も1年前の知識で銀行との面談をしていっても時代遅れの話をしてしまいますので、常に金融機関の動向を見ていく必要があるかと思います。
①金融機関の最新時流―・2021年下期の金融機関の動向
その中で、じゃあ2021年の半期が終わり下期はどのように金融機関が動いていくのかというところでいくと、四つの大きなポイントがあると思います。黒字転換はしているもののやはり収益構造としては、まだ本業のほうで収益が上がってこないという状況がしばらく続いていますので、収益構造の多様化ということで手数料収入を付加していくような事業が増えていく、そして貸出審査の厳格化ということでコロナ制度融資によってゼロゼロ融資等々言われていますが、じゃぶじゃぶに出していた融資が一段落をした中で据置期間を置いた企業での返済が始まってくるタイミングになります。そのため資金繰りが今は安定していても、今後厳しくなるということで、貸出姿勢の厳格化が今後も進んでくると言えます。そして、デジタルトランスフォーメーションということで、デジタル適応が必要になってくるという部分と業界再編、この四つが下期に関しては大きなテーマになってくると思います。
①金融機関の最新時流
では、この中で皆さんにぜひとも押さえていただきたい部分は、二つです。特に押さえていただきたいポイントは、貸出企業のいわゆる審査の厳格化ということで、これまで以上に融資の審査は厳しくなります。厳格化する一方で、プラスに転じてくる企業もありますが、全体感の動きとしては貸出審査が厳しくなるため財務状況が少し脆弱な企業、収益がなかなか伸びてこないという会社にとってはやや辛くなってくると思います。そして、プラスアルファで手数料の収入強化ということで、ここは皆さんには関わってくるかと思いますが、第2講座富士酸素様の講座の中でもお話しますが、いわゆるストラクチャードファイナンスやコミットメントライン、私募債といったような手数料を付加した融資というものも今後増えてきますので、貸出姿勢は厳格化するものの、このようなややレベル感の高い融資で手数料を取ってくるというのが2021年下期の動きになってきます。ですので、まずこの二点のような動き方だということを全体感として覚えていただきたいと思います。
①金融機関の最新時流―・コロナ市況の金融機関の特徴
では、金融機関別にどのようなかたちで銀行が動いていくのかというのも見ていく必要があり、先ほどまでお話したものは全体感のお話になります。この金融機関の時流を読み解く中で、お取引金融機関、相対する金融機関の動きというものを重視していかないといけない、そして金融機関の中で大きく四つに大別をされていくのではないかということで、ガツガツ営業系、横綱相撲系、ジリ貧系、殿様商売系というふうに書いてありますが、全体感の動きとは別に各金融機関の動きというものも変わってきます。自社の取引金融機関がこの四つの中でどこに属しているのかというものをぜひ皆様には探っていただきたいと思います。どこの四つに所属しているのかを調べる方法としては、一番簡単なのは金融機関が定期的に発行しているIRです。ディスクロージャー誌というものを見ていくと、銀行の今後の展望や動きというものが見えてきます。その中で業績の良い金融機関、そして業績が悪い金融機関、あとポイントになるのはシェアが低い、高いというところも一つ目線に入ってきます。やはりシェアが高い金融機関であれば、横綱、殿様商売系というふうに書いてありますが、あぐらをかいたかたちでの経営ができるということで、そこまで積極的なことをせずともしっかりと融資や相応の預金、貸金というのが出てきますので、そこまでアグレッシブにならないということです。逆にシェアが低い金融機関は、どんどん自社のシェアを上げていかなければならないということで、積極的に営業していったりということで、業績とシェアこの2軸で見ていただきたいと思います。この四つの中でぜひ皆様にお取引いただきたい金融機関でいくと、実は一番いいのは左上のガツガツ営業系になります。これは、積極的な融資姿勢でシェアの拡大を狙っていますので、今後新規取引やメインバンクの残高を肩代わりしてほしいといった提案がきやすいのがガツガツ営業系です。そして、横綱相撲系というところも非常に良い取引ができてきますが、ここは相応の規模のある金融機関ですので、少し難しい融資というものを構築してもらいます。第2講座でお話しますが、いわゆる協調融資、シンジケートローンといったノウハウを持っているのは地場での一番大きな金融機関に多くありますので、そのようなところをうまく活用していくというものも必要になってきます。直近ですと、横浜銀行という地銀で、非常に大きい、トップ地銀さんがありますが、横浜銀行と東京の地銀のきらぼし銀行が業務提携を行って、横浜銀行のこういったストラクチャード関係の難しい融資のノウハウをきらぼし銀行に提供していくといったような業務提携が結ばれていたり、先ほども申し上げましたが手数料がかかる融資を銀行は積極的に求めているという現状になります。
①金融機関の最新時流―・事例①(IR資料より)
IRに関しては、事例にどのような金融機関があるのかというのを紹介させていただいております。ここは詳しく説明はしませんので、ぜひテキストをダウンロードいただいたあとにこちらは読んでいただきたいと思います。様々な金融機関のIRを見ていくと特色が大きく変わってきますので、その特色をしっかりと把握した上でどの金融機関と取引をしていくかといった選定が大事になります。
①金融機関の最新時流
ですので、今まで話したことをまとめていくと・・・